悪役令嬢の期待。
カイン殿下とエリスは仲良くやっているらしい。
カイン殿下に執務室で会った時に
「エリスが最近セシリアが売り出したアクセサリーにとても興味を示しているんだ。宝石の組み合わさったネックレスが欲しいと言うんだが取り扱っているかな?」
私が考えたのは庶民にも買えて、王都に来た観光者がお土産に買っていけるような小物でネックレスは取り扱っていない。
「ネックレスは取り扱っていませんが・・・。王妃様に相談なさいましたか?」
カイン殿下とエリスに信用がないためにエリスが使うものは全て王妃様の与えたものだ。カイン殿下が勝手に物を買い与えると際限がなくなってしまうと考えられているらしい。
「そうだな。そんなに値の張るものは考えていないのだが・・・。」
「王妃様に相談した後にダリア様に相談されてはいかがでしょう?他国にもその国特産の宝石を使った装飾品がありますし。」
たまにはエリスにプレゼントをしたいのだろう。王太子として個人的な資産を持っている殿下が購入する分には王妃様もお許しくださるのではないかと思い提案してみた。
「そうだな。セシリアも何か欲しいものはあるかな?」
「特には何も・・・。ただもし良いものがあったら教えていただきたいですわ。」
「わかった。もし何かあったら言ってくれ。」
会話した数日の後に、王妃様からカイン殿下の個人資産から購入する許可をいただいたとのだった。
ダリア様には相談せずエリスが装飾品を貴族用に売り出している国を見つけていたとカイン殿下が笑いながら言っていた。そこは皇太子が推奨しているらしい。
カイン殿下が個人的に親しいそうで、直接お手紙を送ったとのことだ。
「以前、学園に少しだけ留学していたランスロット帝国の皇太子になったヴァンディミオン殿から手紙をもらってから何度かやり取りはしていたんだ。今回ネックレスを取り扱っているか聞いたら、あるとのことだったんでお願いしたんだ。」
黒い髪の蒼い瞳の彼が思い浮かんだ。外交でお祝いに行った王妃様が、帝国は広大な国土と豊富な資源に恵まれていて軍事力も優れているから彼がこれから先どのような行動をするか少し気を遣わないといけないと言っていたが、彼は特に争い事を好まず穏やかで自分の身分をよく知っているから大丈夫だろうと思った。
彼も広大な国土だからこそ飢えるものを見捨てないようにしたいと言っていた。
カイン殿下に良い影響を与えてくれると良いと思い私は話を聞いていた。




