悪役令嬢のリスト。
各領地の農作物の収穫が終わってしばらくすると社交シーズンが始まる。王都にずっといる貴族もいるがこの時期は領地に引きこもっていた貴族達も王都にある屋敷にやってきて他家を招待したり招待されたりして顔繋ぎをする。もちろん城でも王家主催の夜会が開かれる。
王妃様はこの時期とても忙しい。夜会の会場の準備は主に王妃様の采配で行われるため側室の方々に私も王太子妃として加えていただき、飾りつけ・夜会での楽団の選出・演出をそれぞれが得意分野の側室主導で王話し合う。
それに加えて女性の最高位は王妃様なので王妃様に順ずるように王家のデザイナーと相談しドレスを仕立てなければならない。王妃様は金糸、私は銀糸の刺繍の入ったドレスを着ることが決定し、側室の方々も王妃様と私にあわせたドレスとなった。
そして準備には参加していないが、なんとエリスもこの夜会には出席するそうで側室になれるかどうか見極めようとしているとのこと。ドレスから装飾品から全て王妃様が指示を出しエリスに送られるようだ。ここで駄目だった場合の手切れ金代わりになるらしい。
側室とも元の男爵令嬢でもなくただのカイン殿下の愛人としての参加だそうで、周囲の貴族に品定めさせる意味合いもあると思う。エリスはある意味で有名なので周囲の貴族達が監視役となりすぐに王妃様たちに失点があれば知らされる。貴族ネットワーク恐るべし。余談だがこの貴族ネットワークからはじかれる事はこの先のポッチ人生のはじまりである。
夜会当日私は王太子妃として、カイン殿下のエスコートで貴族達の集まる会場に国王様、王妃様の後に入った。
国王様たちは最初壇上にある椅子に座っていて私たちが一番にダンスを踊る。
何度も幼少の時から踊っている相手だからかとても踊りやすい。私たちが一曲終わると他の貴族が踊りだす。ちなみに未婚の貴族は特別な仲ではない相手とは三回踊ってはいけない。一度目は社交辞令、二度目はカップルです、三度目はこの人と結婚します、と周囲に知らしめることになるからだ。
踊った後それぞれの貴族達の挨拶を受けながらエリスの様子をみてみると、任命された騎士にエスコートされて以前の取り巻きとその婚約者たちの所にいき頭を下げている。
婚約者である令嬢たちのことはよく知っているので、多少エリスが問題を起こしても穏やかに騒ぐことなく速やかに騎士に連れ出させてくれるだろうと思い気持ちを切り替える。
その後私はダンスを様々な方と踊ったり、奥様の集団や学園で一緒だった令嬢たちと話をしたりして情報収集をした。
孤児院や作業所に協力してくれる方々と手を貸してくれている側室の方を交えて話をしていると、他の方々も噂を聞いたとかで、寄付や援助を申し出てくれる。ありがたいことだ。
余興も終わり国王様の終了の挨拶で退出した私は離宮に戻り、夜会では食事ができなかったので軽食をつまみながら協力を申し出てくれた貴族リストを作成することにした。




