悪役令嬢の気になること。
孤児院に協力してくださっている方々にアイラ様も協力してくださることを教えたところ、とても喜んだ返信が届いた。王族ではなくても王家に連なる方の直接の支援は他の方々にとって自分の働きを認められたと思えるからだろう。これからも協力は惜しまないと言っていただけて人材育成のための教師役の確保はできただろう。
王妃様にアイラ様紹介のお礼の手紙を出したところ数日後にお茶会の誘いがきた。
後宮での正式なお茶会とのことできっとエリスも参加するのだろう。正装でくるようにとの言葉があった。
正装とは、コルセットを締めパニエによってスカートを膨らませ、髪も綺麗に結い上げ装飾品にも気を配らなければならない。立太式の時ほど大変ではないが最近は略式が多かったので今から少し気が重い。
エリスも参加するとはある程度の王妃様の基準に達したのではないかと思う。彼女がきちんとしない限りこの後にカイン殿下の側室を入れるという話にならないだろうからそこには少し期待する。
そういえば最近カイン殿下の元に宰相のご子息のユーリ様が戻ったと聞いている。国王様、宰相様に鍛えられている日々だとか・・・。将来宰相になるためにとても厳しいだろうが頑張って欲しい。一度評判を自分で落としたのだから挽回するためには仕方がないだろう。
そんなことを考えながら、お茶会当日になってしまった。
本日の私は水色の清楚なドレスに、耳や髪や首をトパーズとプラチナで作られた装飾品で飾っている。でもやっぱり鏡を見るとやっぱり悪役令嬢っぽい。
王妃様指定の庭園に訪れるとエリスがいた。最初の頃はコルセットを嫌がり侍女に対してヒステリーを起こしていたと聞いていたが、きちんとピンク色のドレスを着て髪も結い上げている。アクセサリーはトルマリンだろうか?大人しめな格好でまとまっている。
お茶会が始まり、日頃の感謝を王妃様が述べた後、皆でにこやかに話をしていると王妃様が
「セシリア、孤児院の方は順調ですか?」
「アイラ様のご協力を得られてとても助かっています。私一人ではここまで皆さんの賛同を得られたか・・・。教育の大切さを皆さん理解してくださり、王妃様のご助言感謝しております。」
そう言った時皆が笑っている中エリスに少し違和感があった。なぜだろう?
他の国で流行っている装飾品や、王都に来ている旅芸人等色々楽しい話題を皆さん話して終始和やかにお茶会は終わった。
部屋に戻っていつも通りの格好になり、ゆっくり考え事をしたいと侍女を下がらせお茶を飲みながら今日の事を反芻する・・・。
エリスに違和感があったのは私に対して何か思ったからではないか?
でもこれ以上何かエリスにできることはあるか?
王妃様に最後通牒をされている以上エリスが自分の我侭を通すことはできない。
カイン殿下もエリスが何か言っても私に対して何かできることはないだろう。
エリスも確証はないが私と同じこの世界を知っている人間ではないかと確信してる。でなければあんなに高位の方々と男爵令嬢が親しくなれないだろう。高位の方はそれぞれ自分の周りにはその身分に人が寄ってくるのを幼い頃から経験している。だから疑い深い方々を侍らしていたエリスはこの世界を知っていたと思った方が納得できる。でも本人に確かめたことはないし確かめるのは危険だろうから確かめる気はない。
少しエリスの様子も気にするべきかと思い私は休むことにした。