悪役令嬢は資料作成する。
エリスは最近おとなしく今までの態度が嘘だったかのように側室になるため努力している。
私にも謝罪の手紙が届いた。カイン殿下の執務室で仕事に区切りができた時にそのことを言ったら、他の取り巻きの方々やその婚約者達にも謝罪の手紙を送ったそうだ。
カイン殿下にも今までの態度を謝罪し、側室になるために努力すると言ったらしい。会いに行くと勉強していてわからないところ、疑問に思った事柄を質問してくるらしい。カイン殿下が嬉しそうに話してくれた。
やっとこの世界はゲームではなく現実だと理解したのだろうか?私はゲームとしてのこの世界をよく知らないが、きっと彼女はきっとよく知っていたと思う。でなければ王子をはじめとした方々を取り巻きにはできないだろう。
これから先彼女が側室として認められるためにする努力は大変なものだろう。でもカイン殿下といるために彼女がしなければいけないことなのだから私は何もしてあげられない。カイン殿下と頑張って欲って欲しいと思う。
私のしている仕事のひとつである孤児院の管理についての書類をみていると、私の実家である侯爵家以外に教育を施してくれている方々の家からの寄付もあり将来が楽しみな子供達が多いとの声が上がっているとあった。
教育はとても大事だ。知識がなければできる仕事は限られてしまうし、肉体労働も尊いが、身体の弱い人間や怪我をしていまった人間には続けられなくて貧民に堕ちてしまう。
最低限の教育が身についた子供達ならば、孤児院から通いで職人の元でその道を目指させてもいいし、貴族の家で仕える事もできる。子供達の意見を聞いてからだが、将来やりたい仕事にできるならば就かせてやりたい。各孤児院で優秀で王立学園に行ってもやっていけそうな子供もいると書いてある。
寄付は奨学金のように使ってもいいかもしれない。王家からの助成で最低限の衣食住ができているし、実際携わってくれている方々と、子供達についての資料を吟味し面接し能力のある子供にはもっと高度な教育を受けさせる制度を作ることを提案してみよう。
私は王妃様に孤児院の子供達についてお話があることを手紙に書き、私の話を聞いてもらうために資料を作ることにした。携わってくれている方々と話し合うための時間も作らなければならない。
カイン殿下との仕事はある程度終わっている。そもそも国にとって大事な執務は国王様達が主体となっているし私たちはまだお手伝いや覚えるための見習い期間なので、今の私の大事な仕事はこの孤児院の子供達について将来の選択肢を増やしてあげること。
ただ、王家の助成から作られている孤児院なので勝手なことはできないからまず王妃様の許可をとろう。できれば私の管轄にしてくれると助かるのに、と思いながら私は資料作成する。