悪役令嬢の悩み。
エリスはまずこの国の側室について理解していない。この国の側室は王妃不在の時には代理もこなせる位の器量が必要となる。国王の閨に侍るだけが側室の仕事ではない。王妃が外交で国にいない時の夜会では王妃の代わりに準備し出席して貴族達と社交しなければならないし、それぞれの方達は特出した能力で子供達の教育も行っている。屋敷に招待をされれば王家に連なる者として相応しい態度で出席しなければならない。
私もそれぞれの側室の方々にお世話になった。話術・経済・政治・芸術等それぞれの方々に教わった。
エリスは淑女としてのマナーが男爵令嬢のはずなのに身についていない!と王妃様が嘆いていたが、王妃様、側室の方々の基準が少し高いのではないかと少し私は思っていた。
でもカイン殿下の話は、彼女はこの世界を現実として生きていないのではないか、世界の中心は自分だと思っているのではないかと思われるものだった。
まず、公式に側室として認められなければ立場はただの愛人。子供を産んでもその子は王位継承権を与えられない。と王妃様に言われたことからカイン殿下に対してヒステリーを起こしたそうで・・・。
「なぜ私を正妃にしてくれないの!ただの愛人なんて・・・、側室にもなれないなんて!何で私が幸せになれないの!この世界はおかしい!」
と、それ以外にもわけのわからない言葉を叫んでいたとのこと。
侍女に対しても、ドレスや装飾品が気に入らない。食事はお茶はマナーを注意されると好きにさせてくれないと激昂するとカイン殿下は報告を受けていた。それについてカイン殿下がエリスに対して注意しようとしても皆が自分を虐めると被害者ぶるらしい。
そのようなことが何度もあり、側室の方々の教育ができないとの言葉もあり学園でのことを考えたらしい。
「真実を知っていただき、また私に対しての謝罪ありがとうございます。それでエリス嬢について今後はどうなさるおつもりですか?」
実家に帰ることはできないだろうし、修道院におとなしく行くとは思えない。まずきちんと現実をみることをしないとどうにもならないだろうし、カイン殿下がエリスを切り捨てるという非情な判断をできるとは思わないがつい尋ねてみた。
「エリスは・・・。今は私はどうしていいか情けないことだが考えられない・・・。側室にできないのは理解しているが、先はまだ考えられない・・・。」
やっぱり判断できなかったようだ。王妃様のご負担になるだろうがお任せするしかないだろう・・・。むしろ側室にさせられないと理解しただけでも成長したと考えるべきだろうか?私は自分の考えに悩んだ。