表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/81

えぴそーど 9

ルミナスの王に面会し、病弱な両親にも会い、サーシャとダグラルはカフェ・マリーで寛いでいる。



マリーは姉の言葉に、不満をぶつける。


「本当にハイヒットの家に泊まらないの?」

「ええ、もう宿も取ったしね」


サーシャの育った自宅は、すでにマリーとマリウス達の家となった。

気を使うよりも宿でゆっくりと休みたい。


「もう、サー姉様ったら…。他人行儀よ」

「マリー、許してよ。ダグラルと久し振りに陸を味わいたのよ、2人きりでね」

「うわぁ、姉様が惚気てる…」

「あのね、惚気るのはフィーだけのものじゃないわよ?」

「そう、そうよね」


と、サーシャが絵に目をやる。

ガナッシュでも見たことのある作者の絵を見つめた。


「この絵、ここでも飾ってるの?」

「え?まあね。好きなのよ」

「いい絵よね、ガナッシュの絵も、好きだわ。けど、売らないんでしょう?」


大好きな姉に作者を明かしていないことに罪悪感を感じながら、話を進める。


「そう、作者が興味ないのよ」

「だけど、マリーは購入している。でしょ?」

「転売しない約束なのよ」

「そう、残念だわ」


罪悪感が大きくなる。


「まぁいいじゃない」

「けどね、この絵が好きな子がいるのよ」


その言葉にダグラルが頷く。 


「ああ、スティーヴは良く眺めていたね」

「そうなのよね。この絵を見てると、心が落ち着くんだって」

「スティーヴって?」

「ほら、私達にの所に家出してきた男の子がいるって、いってたでしょう?その子のこと」


マリーが思い出して頷いた。


「ああ、そういえば、そんな話してたわね。その子、どうなったの?」

「今、ルミナスに来ているの。両親を説得して、私達に会わせれば正式に雇ってあげることになってるわ」

「ふーん、けど、貴族の息子さんだったんでしょ?」

「そう、ズレイグ家のね」

「姉様…ズレイグ家って、本当?」


マリーは絶句した。

ルミナスでは有名な貴族だ。ズレイク子爵。今は確かルミナスの税務を取り仕切っている筈。


「だ、大丈夫なの?」

「さあね、けれどもスティーヴの父君には内緒でお知らせしてあるの、陛下にお願いしてね」

「そうなの」

「それで、子爵からは5年程預かって欲しいって連絡があったのよ」

「豪儀ね…」

「そう思うわ。で、5年経ったからお返しにきたって感じ」

「お返しって、寂しくないの?」


サーシャはダグラルを見た。ダグラルの瞳は優しい。


「そりゃね、私達、子供がいないし。けど、貴族の息子さんだもの。それ相応の場所があるわ」

「まぁね、仕方が無いことだわ」

「だから、お別れにね、あの絵を贈りたかったのよ」

「そうなの…」


姉に対する罪悪感で一杯のマリーだ。


「だけど、私達、スティーヴの事を、息子みたいに思っちゃった、ね?」

「そう、だね。会えなくなるのは寂しい、ね」


大きい体のダグラルは涙腺が脆い。今も危険な状態。


「ダグラル、泣かないのよ?」

「う、うん…」

「後で慰めてあげるから、ね?」


姉は大胆になったものだとマリーは感心する。


「明日は城での食事会よ。姉様達の婚礼も兼ねているんだからね、程ほどにね」


と嫌味をいってみた。


「あら、そうね」


とかわされただけに終わる。

姉は人生を楽しんでいる、マリーは心が温かくなる。



そして、妹は、きっと、この部屋の片隅でこの話を聞いて、少し怒っているに違いないわね。

私とデュークさんの方がラブラブなんだから、て。





わかったわよ、フィー。みんな元気よ?安心しなさい。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ