水色のロリータ
「るーるーるー♪るーるーるー♪るーるーるーるーるぅー♪」
柊那由多は歌い終える。チープなBGMが流れるなか、水色のロリータ衣装に身を包んだ彼女は、スカートの裾を両手でつまみ、ていねいにおじぎをする。
その瞬間、温泉をボーリング(掘削)する機械のパイプから、勢い良く温泉がとびだす。その温泉は、もちろん雪だるまです!
雪だるまは地上に勢い良くとびだし、空中にうちあげられます。急に視界がひらけます!一面に広がる真っ青な空!
そして、空中で頂点までたっすると、温泉のなかに落下します。温泉のなかで雪だるまは改めて空をながめ、呆然とします。本当に地上にでることができるなんて、夢みたいでした。
踊るようにボーリングマシン(掘削機)を操作する少女に視線をやると、彼女はにこりと会釈をします。柊那由多はすべての温泉が掘削機から出きったことを確認すると、マシンをとめて、両手を空につきだし、声高らかに宣言します。
「ボーリング完了!これより、温浴効果をゲットします!…よいしょっと」
柊那由多はボーリングマシンから降り、くるくると回ります。するとロリータ衣装がまばゆい光に包まれます。その光がやわらぐと、ロリータ衣装はスクール水着に変わっています。そう。柊那由多は変身をしたのです!
水着姿に着替えた彼女はウインクをしてから、横方向に3回転半ジャンプをして、温泉のなかに飛び込みます。
「温浴効果ゲットです!」
温泉の中には、温泉になった雪だるまがいました。
雪だるまは柊那由多に話しかけます。
「ありがとー。ボーリングアイドル☆柊那由多さん」
「お礼なんていりません。これが私のお仕事なのです。それに、私はまだあなたの願いを叶えていません」
「願い?」
「女の子に会いたいのでしょう?その子なら、ほら…そこにいますわよ」
柊那由多が指差す向こうには、雪だるまが会いたくて、会いたくて、また会いたかった、あの女の子がいました。