天国で
8月27日午後9時17分、搬送された病院であおいは死んだ。
結婚してから7年目、私が35歳のときにようやく出来たかわいい一人娘。それがあおいだ。あおいを産んだときには、島根の両親が初孫の誕生に狂喜乱舞したものだ。明るく快活なあおいはいつもにこにこしていて、誰からも愛される存在だった。あおいが生まれてからは、生真面目で仕事一筋だった夫もなるべく早く仕事を切り上げ家に帰ってくるようになった。小学校の運動会の時は40代半ばの夫があおいに良いところを見せるために、若いお父さんたちと競争したものだ。張り切りすぎて、コーナーの所で転んでいたけれど。一家の中心は常にあおいだった。そう、あおいは私たちにとっての太陽だったのだ。
そんなあおいがわずか8年の人生に幕を閉じた。
人は誰しも一度は死について考える。なぜなら死とは、すべての生物に必ず訪れるものだからだ。私も若いころはよく死について考えていた。人は死んだらどうなるのか。私が出した結論は死後の世界など存在しないということだ。人間は死ぬと脳の活動は停止する。すなわち、その時点で思考も停止するということだ。死後、私たちを待っているものなんて何もない。無に帰すだけだ。死後の世界なんて、死ぬのが怖い人たちが、死への恐怖を和らげるために考えたものとばかり考えていた。
でも、最愛のあおいを亡くした今、私は天国の存在を信じる。すべての苦痛から解放されたあおいは、きっと天国に向かっているはずだ。大丈夫、あおいはだれからも愛されるから、向こうでもすぐにたくさんの友達ができるよ。
天国って、死への恐怖を和らげるためのものではなく、愛する人を亡くした人を慰めるためにあるのかもしれない。
私はこれからも生きる。あおいの分まで精一杯生きる。天国でまたあおいの笑顔を見れることを信じて。




