ライアー
掲載日:2026/04/01
「ライアー」
吐き捨てるように呟いた
春の空気に似合わない
ずっと冷たい声
桜は知らないふりをして
春風に揺られているばかり
その優しさが胸に突き刺さり
そっと視線を逸らした
「嘘だよ」
軽く笑えたのなら
こんなふうに
痛まなかっただろうに
たった一言を
全て冗談にできる
けれどそれは
なかったことにはできなくて
傷つけた言葉
傷ついた心
それらは嘘にできない
十二時の鐘が鳴ったあと
午前の嘘が剥がされる
残るのは
優しい笑顔か
それとも嘘笑いか
嘘だから
忘れて、なんて
そんな軽い言葉で
嘘になんてできない
できやしない
散りゆく桜は
何も知らない顔をして
ただそこに
春を贈っていた
ご覧いただきありがとうございました。
笑えない嘘つき
誰かに届きますように。




