第七話 検討
病院から徒歩で二十分程度歩き到着した花火家の戸をがらがらと開けると夏輝の母・菜々子が待っていた。
「君が、祭天獄くん?」
「ウィッス。なんか迷惑かけまーす」
「ふぅん」
細目で見つめられるので、天獄はなんだか変な感じだなぁと思いながら家の中が涼しかったのでそれもまた良しとした。
「ホームレスなんだってね」
「はい! 家無いっす」
「うちのコについてどう思う?」
「二本の足で立ってるなって思いまっす。えっと、あと……髪生えてますね。目も耳も二つずつあるし、鼻もあります。口もね。えっと……チンコなさそう」
「あるわバカタレ」
菜々子は「この人はちょっとおかしい感じの人なんだろうなぁ」と細目で分析しながら、「わかったわ」と言った。
「どんな事ができるの?」
「火に焼かれても死なないので焼却炉とかに飛び込めまっす。前に火事の現場に飛び込んだときはさすがに一ヶ月くらい寝たけど、今こうしてピンピンジャーです」
「んー……もしかすると、君はすごい難しい感じの人なのかなぁ……?」
「そうかな、どうでしょ」
菜々子はウンウンと頭を悩ませた。
悪い奴ではなさそう、バカそうだけど。息子がここまで懐いているのも珍しい。ぶっちゃけ別に住まわせても良い。
「君、人に愛想よくできる?」
「わかんねっす。無理なんじゃないっすかね〜」
正直すぎる。
「うーん……ま、いっか!」
考えるのをやめてみた。
「住み込みで働かせてあげる」
「やったー。でも、なんでー?」
「良い人そうだから」
「えー俺人じゃないっすよ〜」