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怪奇エンバーMETEOR  作者: モッズコート
廻の一「曇香雨」
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第二話 閑暇

 コンビニのバイトを終えて、ちょっと臭いかもしれないな判断した天獄は銭湯で朝風呂を浴びて、バックパックの中に入れていた服に着替えて、次のアルバイト先に向かった。


 牛丼屋で、これまた人がいない。透明の卓上アクリルパーテーションを眺めながら客が来るまでボケーっとして、車が駐車場に近づいたら顔をそちらの方に向けてみて、客ではなかったら「なーんだ」と呟く。


「暇だなぁ……。いいことだなぁ……。でもこの暇は早く終わって欲しいもんだなぁ……」


 地方都市の牛丼屋何ていうのは、昼間でも人などあまりいないものなので、このような時勢になると、「開けてるのが勿体ない」くらいになってくる。


 個人営業の店がどんどん減り始めているらしい。


 天獄の友人も、「いとこが開店一週間目の店を閉じるかもしれない」と言って複雑な表情をしているのを見たことがある。


 こういう場合は普段ならSNSを見るのだけど、おすすめタイムラインが屑と馬鹿と間抜けとうんこ研究家しかいなかった。


 うんこ研究家のプロフィールにとんで、過去の投稿を見てみると、なんだか去年の夏終わりから雰囲気がパリッとし始めたように見える。


(あ、この人、隣県(いわて)の人なのか)


「ネタ切れ気味なのであと4年くらいでうんちの研究やめるかもしれません」という投稿があり、反応が多く寄せられている。「4年も続くのか……」だとか、「なんでいままでネタ切れしなかったの?」だとか。


 あくびをしながらいじっていたスマートフォンをポケットの中にしまい込んで、ため息をつく。


 そのアルバイトが終われば、今度はコインランドリーで服を洗う。洗い終わるまでの時間を待ちながら、スマートフォンと、モバイルバッテリーを充電する。


(さみしいな……)


 恋人とか友人とかがいっぱいほしい。

 このご時勢集まることができなくとも、文字でのやりとりでもそれ相応に楽しいだろうに。


 天獄の友人は時勢とか関係なく、普通に全員が全員抱え込んでいた各々の問題に潰されて死んでしまった。


「…………」


 金が貯まったら何処かに部屋を借りて、ひっそりと暮らしたいな。週一で会える友人を居酒屋か何処かで作りたいな。……などと考えてみる。


 できようものか。


「…………」

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