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第3話 最速×共有×再会

あれから数日が経過した

学校は当然、ダンジョンとジョブのことだけでなく不審者2人の件もあってかただいま休校中


さて、あれからあったことを簡単に言えばダンジョンから出てきた魔物は銃などの科学兵器は聞かないことが判明した、さらにジョブのスキルによるダメージが入るとかが確認されたらしい


政府はなんかダンジョンを探索するための探索者、いわゆるシーカーと呼ぶ者を育成する教育機関を設立するとか、しないとか


それと幼馴染の紅月あかつき美羽みわが心配で家にやってきたけどルナの正体がバレることは無かった。強いて言えばルナが美羽にもみくちゃにされたくらいか...


美羽は生粋の犬好きで犬科の動物なら全部好きってレベルで好きだから事前に調べておいたルナの狼姿に似ている狼の名前を一応覚えていたら、それをピンポイントで言い当ててきた


そういえば美羽は《魔剣師》というジョブを手に入れたらしい、僕はさすがに《神気使い》とは言えないと思い、《闘気使い》って誤魔化すことにした。


僕は奇術が使えるから嘘では無い

それに、美羽をこちらの事情に巻き込む訳にはいかないため、嘘をついた。ただでさえ、神威迷宮にダンジョン、ジョブ、さらに僕に送られてきたこのメッセージ.....


+++

如月彼方、あなたは世界の法則から外れました。よって【制裁者】スペリアによる"断罪"が決定しました


断罪の日程は今からちょうど1ヶ月後、それまでに自殺をすることを推奨します


神に仕えし者より

+++


なんか、舐められてる感がすごくてここまで挑発されるとさあ、正面から潰せないかなってルナに言ったらルナが「妾もやるのじゃ!徹底的に潰すのじゃ!」といってやる気が可視化された魔力になって溢れ出ていて慌てて止めたのもいい経験かもしれない.....いや、そんなことないわ、普通に危なかった


なんか溢れ出た魔力が周囲を凍らせてた。氷属性の魔力かな?


まあそんなこんなで僕たちは神威迷宮に潜り、モンスターハウスっていうモードをやっている。ルールは簡単、生き残ること。たったそれだけだけどその分魔物の数が多く、しかも一体一体が強いってのもあって、《領域察知》とスキルなしの剣術で戦うが彼方はこれ以上スキルなしの剣術も上達しないという気がした


「ルナ、こっから先はスキルの組み合わせを試したいんだが、いいか?」

「うむ、妾もそう考えていたところじゃ」

「僕の場合は領域スキルが鍵かな?」

「妾は家に戻っておくのじゃ」

「わかった。さて、"集中"」


そして、落ちていく。ただただ己の中へと意識を沈めていく


極限まで集中力を高めていく中で、自身の可能性を見極めていく


必要なもの、いらないもの、それらを分けていく中で、視えたひとつの可能性を手繰り寄せた


「スキル発動、《千里先すら支(フィールド)配する超重力(グラビティ)》」


時に話はかわるが、こことは別の世界には魔法使いと呼ばれる者たちには1人前の基準があった。その基準とは、自身のいざと言う時の全魔力を賭けた切り札というものがあった。切り札と言うだけあって、ものにもよるが一対大多数の状況すらひっくり返す切り札を持つ者もいたという


その切り札は時にこうも言われていた、己の進み続ける先を示す道―――【進化の道しるべ】―――と

そして【進化の道しるべ】とは、己と対話することの出来る者たちが開くことが出来るとも言われている


そして彼方は無意識にそれ(・・)を認識していた。そして彼方の直感がそれ(・・)に答えがある、と導き出していた


その可能性の先へ、一歩。たった一歩だが、それでも確実に進み出していた


複合新スキル《千里先すら支(フィールド)配する超重力(グラビティ)》、彼方が極限まで高めた集中力がそれ(・・)に触れ、導き出した"強くなるための最適解"であり、ルナに言われた『最小で最大を効果を発揮させる』という助言を実行した結果、《領域察知》と《領域支配》と《千里聖眼》の派生スキル《重圧の魔眼》を組み合わせたことにより生まれた新しいスキルであり、別の世界の切り札と同等の力を持っていた


そして、今回彼方がやっているのは魔物が押し寄せ続けるモンスターハウスモードであり、全方位から押し寄せる。そして領域察知は自身を軸(・・・・)にして周囲の空間を察知する

それが合わさった結果は、目に見えていた


魔物は押し寄せるが近づく前に潰れ塵になって消え去り、次が来ての繰り返しになり、新スキルのスキルレベルはグングン上がって行った


(まだ、まだ足りない。もっと効率化しろ、もっと最小で最大の効果を、もっと、もっと集中しろ!もっと感覚を研ぎ澄ませ…)


―――ピコン♪


[スキル《千里先すら支(フィールド)配する超重力(グラビティ)》のスキルレベルがMAXになりました。スキル《千里先すら支(フィールド)配する超重力(グラビティ)》がスキル《王の威厳》に進化しました]


今の彼方にはその通知音すら聞こえていないようだった

そしてさらに深く集中していく、そして彼方は――


***


「……?彼方?」

家に帰ってのんびりして待っていたルナは何かを感じた

嫌な予感を感じ、急いで彼方の元へ向かう

彼方の気配は庭にあった


そこには―――――


***


「ふぁ〜〜〜、眠い、うぅ、夜更かしするんじゃなかった。でもこれは欠かせないから仕方ない!」

桃色のミディアムストレートの髪に青い瞳を持つ少女は犬や猫に使うブラシを選定していた


「あぁ〜、ルナちゃんのあの毛並みをモフりたい」

そう、彼女こそ彼方の幼馴染の紅月美羽その人である

彼女は生粋のモフモフ好きである。その中で犬科が好きすぎてブラシだけでもこだわりがあるほどだ


選定を終えたあと、ふとこんなことを美羽はいった

かーくんも嘘つきだね(・・・・・・・・・・)

美羽は気づいていた。本当は彼方が《闘気使い》ではないと


「ふふっ、かーくんは相変わらず嘘をつく時はいつも視線が泳いじゃってるんだよな〜。ふふっ」

少し頬を朱色に染め微笑む


「かーくんの本当のジョブはなんだろうな〜。でも、その時はきっと本当のことを話してくれるよね」

彼女の本当のジョブは《想像の具現者(イメージサモナー)》というジョブであり階級は、世界級(・・・)であるがそれは本人が知る由もない。だが、強力であることは自覚していた


「かーくんならきっと、大丈夫だよね」


そんなことをつぶやき、美羽はリードなどを選定し始めた


***


ああ、落ちていく


どこまでも深い、深い海に


――


あれからどれくらいたっただろう


まだ落ちていく、終わりのない、海に


声が、聞こえた


泣きそうな声が聞こえた


―――ような気がした


それでも落ちていく


また、声が聞こえた


今度は別の声だった―――と思う


それでも落ち続ける


また、声が聞こえた


はっきりと声は聞こえた


声はこう言った


『あなたはまだこちらへ来るべきではない』と


その言葉と共に落ちなくなった


何かが背中を押した


浮上していく


目覚める前にさっきと同じ声がした


『またね』と嬉しそうに言った


***


「ん、ん?………知らない天井だ」

「起きたのね。初めまして、意識ははっきりしている?自分が誰かわかる?」

起きた彼方に話しかけたのは青い瞳に同色のロングヘアのポニーテールをしている白衣を来た女性だった


「なんで病院にいるんだ?」

「あなた、まさか覚えてないの?」

「?」

「あなたは"庭"で右腕を失った(・・・・・・)状態で倒れてた(・・・・・・・)のよ。それを紅月さんが見つけて通報してくれのよ」

「腕?………本当にない、え、まじか…」

「ショックなのはわかるけどまず事情を――」

「ご飯どうやって食べればいいんだ」

「――聞いて.....ってこんな時にご飯の心配!?」

「食は大切だぞ!僕たち人間の三大欲求わかってて言ってんのか?」

「いや、キレるところそこ?」

「ってか、だれ?」

「はぁ、私は青柳あおやぎ静香しずかよ。一応あなたの担当医でもあるわ」

「ふーん」

「興味なさそうね」

「うん、興味ない。ぶっちゃけどうでもいい」

「なんか逆に傷つくわ」

「あ、そう」


それはさておき、と青柳は話を区切った

「体調は大丈夫?」

「異常なし」

「そう、びっくりしたわ。入院してから三週間も眠っていた(・・・・・・・・・)のだから」

「三、週間?」

「ええ、そうよ」

「まずい、行かなきゃ!」

「え、ちょっと待って、あなたはまだ………はぁ、行っちゃった」


家に帰るために走っているが看護士さんたちに「廊下は走らない!」と言われるが無視して急ぐが入口付近で食い止められてしまう


「家に、帰るんだっ」

「元気なのはいいが検査してからだ」

「はやく、っ!?」


ものすごい寒気が入口からした

ギギギ、と顔を入口に向けるとそこにはキレイな笑顔の美羽がいた(なお、目は笑っていなかった)


「え、ちょ、その手はなん」

「お・し・お・き☆」

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


見事にアイアンクローがクリティカルヒットして、病院に悲鳴が響くのであった。そしてそのまま美羽にズルズルと病室まで引きずられていく彼方であった


≠≠≠


その後美羽にこってり絞られ、検査をして怖いくらいに異常がなかったのが不思議がってたが即日退院出来た

あと、病院側が右手の義手のおすすめの店を紹介されたが、僕の右腕は肩から先がないため期待することといえば回復系のジョブ、それも高位のジョブなら再生出来そうと考えていたが居るかも分からないもんを探すより普通に過ごすことにした


「ただいまー」

「お邪魔しまーす」


帰ってきた訳だが3週間もたった実感がない

それより神威迷宮のことが美羽にバレてないかちょっと気になるな、と考えていたところリビングの方から人の姿(・・・)をしたルナが抱きついてきた


「彼方、心配したんじゃぞ………」

「……ごめん」

「………………………」


泣きそうな声を聞いて彼方は素直に謝った


「さっ、かーくん♪ちゃんとかーくんの口から説明してくれるよね?」

「……え、お、おう」

「(ニッコリ)」


それからリビングで美羽にゴブリンが学校に出た日のことから今までの事を話した。右腕を失った原因以外全て


「ふーん、かーくん、私のことは誘ってくれなかったんだ。ふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」

「いや、そもそもあそこはまだダンジョンの本質じゃないと思うんだ」

「どういうこと?」

「それは妾も気になるのじゃ」


一呼吸置いてから話し始める


「あそこは神威迷宮って名前だ。だが迷宮って言う割には闘技場、つまりコロシアムの形になってること自体がおかしいんだ。迷宮と書いてダンジョンって読むわけじゃないことから迷宮へ入るための前条件を揃えるためにコロシアムで戦わせてるんじゃないかと僕は考えているんだけど、ルナは何か知ってる?」

「っ!それは本当か?だとすれば相当まずいのじゃ」

「ルナちゃん、どういうこと?」

「今の彼方は既に1回進化しておる。じゃが、それでも本質が迷宮ならその迷宮階層に入ることすら認められない状態ということじゃ」

「つまりコロシアムは前提条件を揃えるためだけどその前提条件がとても難易度が高いってこと?」


「そういうことじゃ」と相槌をうつルナだったが、その話を聞いて彼方は黙って考え込んでしまった


そこに何かを察知した美羽が右手を構えて言った


「かーくん、何か隠してるでしょ」

「(ギクッ)」

「(ジト目)」


「サ、サア、ナンノコトデショウ」

「かーくん、アイアンクローか肩関節を外すのどっちがいい?」

「え、ちょっと待って、話せばわかる」

「無理☆」

「うぎゃぁぁぁぁああああ」


アイアンクローコワイ


ー閑話休題ー


さて、無事(?)成敗された彼方は隠していたことを話しだす


「僕の右腕のことだけど、これをやったのは神威迷宮の迷宮階層第八十五階層ボス部屋にいたボス、【神竜アルファクトル】に攻撃してあと一歩のところで疲労の影響で油断した僕の右腕をガブッとやられて、右腕食われてイラってして仕返しにスキルてんこ盛り魔力全乗せのビームでやり返したら倒しちゃって、さすがに疲労と怪我と魔力不足で意識がやばかったから転移魔法陣にのって帰るって念じたら庭に転移してそんまま意識を失ったってこと」


「「…………」」


絶句している2人をよそにりんごジュースを呑気に彼方は飲んでいた。そして彼方は思った


(りんごもいいけどやっぱりみかんだな。あ、今日の飯どうやって食べよう。………よし、《領域支配》でスプーンとかを動かして食べるか?いや、そういえばなんか迷宮階層に入ってから手に入れたスキルの中になんかいいのあった気がする。どれかな)


そんな事を考えてステータス画面のスキル欄を見ていた

そしてこう思った


(不便、だな。うん、なんか整理できないかな。なんか、なんかないかなー。おっ、これかな?)


上手くいき、スキル欄が整理されて『ジョブ』『攻撃』『防御』『探索』『回復』『付与』『特殊』と、分けられた


(へぇ、このスキル『特殊』の部類なんだ。ってかこれ迷宮階層以前から持ってたやつだ。完全に忘れてたけど使えそう。でもまずはこっちの『特殊』スキルから使おう)


彼方が目をつけたスキルは《天魔の鎧》という『特殊』スキルで迷宮階層第五十五層のボスが持っていたスキルである


==========

名称:天魔の鎧

説明:神威迷宮第六十層フロアボス【天魔波旬】の固有スキルであり、あらゆる攻撃を防ぐ。

効果:変幻自在の鎧を生み出しあらゆる攻撃を防ぐ

==========


【天魔波旬】は三目の鬼のような姿をした悪魔なのだが残念ながら登場から約5秒で退場したフロアボスである。ちなみに倒したのは力の一点集中という名のゴリ押しである


話を戻すが彼方は天魔の鎧の変幻自在という能力に目をつけた。この鎧は物理攻撃にも対応しているため、触れるのだ


「《天魔の鎧》」

鎧を全身ではなく右腕の形にしていく、そしてそこには擬似的な腕が完成していた。問題があるとすればこれは家の中と変装時以外使えないということだ


病院に腕が無くなったのは記録されているため公の場では使うことが出来ないというデメリットがある


さて、突然スキルを発動させた彼方を見ていた2人はハモった


「「う、腕が生えたー!(のじゃー!)」」


「うーん、ダメだな。いまいち不安定になっちゃう」

「いや、それだけでもすごいのじゃ」

「うんうん、そうだよ。でも、事前に何か言って欲しかったなー(ニッコリ)」

「アッ、ハイ」

「あ、そろそろご飯にする?」

「ちょっと早くないか?」

「妾は腹が減ったのじゃー!」


と言ってルナは「ぐてーん!」という効果音がしそうな動きでソファーに寝転んだ

「じゃあ、私が作るー!今日はカレーライスの気分!」

「いや、自分が食べたいだけじゃん」

「なにか文句ある?」

「イエ、ナイデス」


晩飯を作るのを手伝っていたところ彼方のスマホが鳴った


「ちょっと電話してくる」


そう言って廊下で電話にでた


「もしもし」

『あ、もしもし彼方ー?明日から3日間休暇を取ったから今日の夜ご飯用意してくれる?』

「いいよ、でも珍しいね。それより周りに止められなかった?」

『こんなの朝飯前よ。あ、夜だから晩飯前ね』

「あ、そうだ。帰ってきたら話したいことがある」

『わかったわ。ところで今日の夜ご飯は何かしら』

「今日はカレーだよ」

『カレー、やった!あ、お隣の美羽ちゃんも誘いなさい!これは母親命令です!』

「いや、もういるんだけど」

『あら、美羽ちゃんとは上手くいってるの?』

「平気、ってか今日も美羽の方から来たからね。ハハ」

『そう、じゃあ美羽ちゃんにもよろしく伝えといてねー。あとヤるなら避妊はしてね』

「え、ちょっ、何言ってんの母さん!?」


その後、時間だけ聞いて電話を切った


「美羽、今晩母さんが帰ってくるって言ってたからカレー母さんの分もお願い」

「えっ、久遠さんが帰ってくるの!?久しぶりに会うな〜」

「まあ、母さんって基本的に忙しいからね」

「あ、多分久遠さんにからかわれたでしょ」

「……………」


「あ、図星だった?ねぇ、久遠さんになんて言われたの?」

「え、いや、その――」

「ふむふむ、エッチなことを言われたと」

「いや、そんなこと――」

「多分避妊してねとか言われたでしょ」

「イ、イワレテナイヨ?」

「………」


美羽が右手を構え用途した瞬間彼方は条件反射で言い直した


「言われました...」

「よろしい。それじゃあ手伝って?」

「わかった」


彼方はチラッとルナを見るがルナはねているようだった。「まあ、完成したら起こせばいいか」と彼方は台所で美羽の手伝いをするのであった


≠≠≠


「美味いのじゃー!」

完成したカレーをパクパク食べながらルナはカレーを絶賛していた

3人で食べていると玄関のドアがガチャと開いた音が聞こえた


「ただいまー」


玄関からそんな声がリビングまで聞こえた

その声にルナはピタッと食べていた手を止めた

「美羽ちゃんやっほー、元気に、、して、、、、、た」

彼方の母、久遠は驚きを隠せないでいた

「おかえり、母さん」

「う、うん。ただいま。そっちの女の子は?」

「………母さんが1番知ってるはずだよ」

「うそ、ライカ、、なの?」

「………久しぶりじゃな、クオン」

「ライカっ!」


久遠とライカは抱き合い泣いていた


彼方と美羽は静かにリビングから抜け出して、彼方の部屋にいた


「本当に知り合いだったんだね」

「ああ、ただ、今は――」

「うん、わかってる。今は2人にしてあげよう。それに、私も聞きたいことがあるしね」


ベッドの上に一緒に座って話を再開させた


「なんでもどーぞ」

「じゃあさ、かーくんがそこまでして強くなろうとしてる理由、教えてくれる?」

「え、うーん、まあいっか。実は時々夢を見るんだ」

「夢?」

「うん、夢。小さい頃は怖い夢程度にしか思わなかったんだけど今でも見るんだ。しかも小さい頃よりも鮮明に………」


彼方の声は震えていた


「夢の中で僕はただ見ているだけだった。何も出来ずに見ていることしか出来なかった。だから、だからっ――――――」


美羽は彼方の頭を胸に抱きしめて頭を撫でながら言った


「大丈夫、大丈夫。怖かったよね。辛かったよね。大丈夫だよ。"彼方くんなら乗り越えられるよ"。だから大丈夫。辛かったら言っていいんだよ。怖かったらいつでも一緒にいてあげるから。だから、大丈夫」


その言葉が彼方の心包み込んでいく


「美羽、その、ありがとう」

「どういたしまして」


***


泣いて抱き合ってからどれくらいの時間が経ったのか、2人はソファーに座ってこれまでの事を話していた


「それにしてもライカはどうやってこっちの世界に来たの?私たちが使った【世界転移門ワールドゲート】は加護の力を使って使用不可にしてたのに………」

「妾は【世界転移門ワールドゲート】を使ってきた訳じゃないのじゃ」

「じゃあ、どうやって来たの?」

「妾はクオンが死んだと知った時に神獣から邪神となってあの世界を、破壊したのじゃ………」

「……そっか」

「そして破壊の限りを尽くしていたのじゃが、気づけば森の中にいたのじゃ。そして妾は、彼方にあった」

「彼方に?」

「うむ、そうじゃ。そして、彼方はクオンの魔気とリューガの聖気を出しておったのじゃ」

「なんで、、、、、、それはおかしいわ!だって、だって、彼方の力はあの人が封印したんだもの!」

「リューガか....」

「そうよ。力を根源から封印して封印の解放句は私とあの人以外知らないはず....」

「リューガじゃ、あやつが昔言っておった。『守る力を繋ぐために』と言っておったが、ここから先は聞こえなかったんじゃ。すまぬ」

「ううん、ありがとう。あの人が彼方のために、解放句を教えていた可能性だけでもわかって良かった」

「うむ、どういたしましてなのじゃ」


そこで久遠はリビングに彼方と美羽がいないことに気づいた


「気を使わせちゃったなー」

「じゃが、それだけ愛されておるからじゃろ」

「そうね」

「それと今の妾の名はルナじゃ」

「いい名前ね。じゃあ改めておかえり、ルナ」

「ただいまなのじゃ」


かくして、2人は再会を果たしたのであった


余談:この後、彼方が美羽に抱きしめられていたのを久遠に見られてからかわれることになるのだがそれはまた別のお話である

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