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ひねくれ黒猫の異世界魔法学園ライフ  作者: Win-CL
2-2-2 激熱対抗戦編 Ⅰ 【準備期間】

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第148話 『普通に戦えるといいけどなぁ』

毎日、朝の8時台に投稿予定

たまに大幅にずれる可能性があるので、ブクマ推奨です

「――グループでの訓練授業?」

「いちいち鸚鵡(おうむ)返しするんじゃない。アホに見えるぞ」


 ヒューゴの素っ頓狂な声に、テイラー先生が酒瓶の底を向けながら、これまた今更な指摘をしていた。二年に上がってからたまにある、グループごとの短時間授業。その途中でのことだった。


 あれだけドタバタしていた試験が終わって、数週間。これといって、目立った出来事が起こるわけでもなく。実に普通の学生らしく、科の授業に出たり、このグループでの授業に出たり。のんべんだらりとした生活を送っていたところで、『楽しい知らせを持ってきてやったぞ』と突然に告げられたのが、例のグループでの訓練授業についての話だった。


 楽しくもなんともないんだけど。いらんお世話だった。


「ちなみに、だ。拒否権は無いからな?」

「うぇ……決定事項かよ……」


 嫌な予感がした。果てしなく嫌な予感が。


 だいたい定期的に学生大会だのスカイレースだの、大きな催し物が行われるのがこのパンドラ・ガーデンだけども……。驚くことに、一度も楽しいと思ったことがないぞ。どうなってんだこの学園。


「訓練っていったって……なにするの?」

「どうせ後から発表されるだろうが……まぁここで話しても問題は無いか」


 とか言いながら、教室の戸棚の中から新しい酒瓶を取り出す先生。いつもの授業に使っている教室じゃないけれど、基本どこにでも隠し置いているらしい。


「自然区の“ヤバい”地域を使っての対抗戦。――というより、耐久訓練(サバイバル)だな。指定した時間まで生き残ってたら晴れて合格だ」


「……生き残ってたら、とは……?」

「なんだ、もう穏やかじゃないんだが」

「あー。やだやだ、もう聞きたくなーい!」


 レースの時も誰か巨大魚に喰われて死にかけていたし。

 平常運転のはずなのに、死人が出る心配をしなきゃならないってなんだよ。


「生き残る力を試すものだからなぁ。失敗すりゃそりゃ死ぬだろ?」

「軽率に殺すなっ!」


 やらされる身としては、堪ったもんじゃないぞ!


 一応はフォローとして『ある程度実力のあるであろう、二、三年からしか参加できない』らしい。逆に言えば『一年程度の実力じゃ、ほぼ死ぬから』と言っているのと同じである。


 ……聞けば聞くほど出たくなるんだけど。


「あの……。いま、対抗戦ともおっしゃってましたけど……」

「そうそう、他のグループも出てくるの?」


「あぁ、参加するぞ。とはいえ、一度に出るのは数組程度だけどな。――ひっく」


 人数としては四人一組。一年を除いてメンバーを確保できる組が少ないこともあり、寄せ集めの面子で参加する組もあるとか。


「そんなら最初っからグループ同士で戦った方がいいんじゃねぇか?」

「それか、個人個人でのサバイバルとか……」


「あー、なんだ。学園長が言うには、“とっておき”もあるらしい」


 ヒューゴが言うように、グループ同士の総当たりやトーナメントでもいいと思う。なんでわざわざ自然区までいって、命を危険に晒さなければならないのか。その学園長の“とっておき”がなんであれ、メリットが感じられない。


「いいか? 倒す能力を見るんじゃない、生き残る能力を見るんだぞ。――っかー、美味いなぁ!」


 まずは酒瓶を置いてくれませんかね。


「……グループでやるのにも意味がある。一人だけでは限界があることでも、協力すれば乗り越えられる。そうだろう、違うか?」


 他人といることで発揮できる力もあれば、抑制しなければならない力もある。個人個人の戦闘能力よりも、数人での連携が試される。と、先生が言っていることは分かるものの、いまいち真剣みに欠けていた。


「もちろん、他のグループに攻撃を加えるのは全然アリだ。お前らにそんな余裕があれば、の話ではあるが」


『説明はこんなところだな』と大きく酒瓶を煽っていた。


 学生大会の時はそのルール故に、学科で有利不利が決まってたりしていたし。まだ、こちらの方が戦略を練ったりできる点で平等なのかもしれない。グループ同士で潰し合うのも込みでのサバイバルなら、どこから狙うのかということも考えないといけないけど――


「別に俺たちなら楽勝だぜ! 何度も依頼も受けてるし、他のグループよりもすげぇ奴と戦ってきたし!」

「ははっ。まぁ、自身があるのはいいことだ。経験を自覚するのも大切なことだしな。自ずと自分の役割ってのも見えてくる。……まぁ、普通に戦えるといいけどなぁ――」


 というのが、今回の発端の話――






「――ちっくしょう!!」


 木々の隙間を縫って全速力で駆ける。

 音を立てぬよう、誰にも見つからないよう。

 自然区の中を、()()()()()()駆け抜ける。


 ――あの笑みは、この先に起こることを予期してのことだろうか。


 大混乱。大混戦。そして大波乱。

 必死に森の中を駆け回る生徒たちを。

 必死に襲い来る敵と戦う生徒の姿を。


 グループ訓練……正直舐めていた……!


「この学園のイベントが……」


 予想外の事態から始まり、混乱の中に立たされた状況での生存能力。

 そして個人個人のいろいろな“しがらみ”であったり、因縁であったり。


 それぞれに抱えているものがあって。

 それは他人とぶつかることで、容易に爆発したり、形を変えたりする。


 傍から見る分には面白いだろう。

 しかし、自分達からすれば笑いごとじゃない。


「まともなわけが……なかったなぁっ!!」


 ――波乱に満ちたイベントの幕開けは。

 始まる数日前から、既に兆しを見せていたのだった。

挿絵(By みてみん)


ここまで読んで頂き大変感謝です。もしよろしければ、下部の☆欄にて現段階の期待度等の気持ちを表して頂けますと今後の励みとなります。沢山の人に読んでいただけるよう、皆さんの声や応援をどうかよろしくお願いします。

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