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初めての依頼

1ルク=1円

1000ルク=1000円

です

コンコン


「起きてる?」


コンコンコン


「辰?」


コンコンコンコン


「いい加減にしなさ〜い!」


バンッ


「もう朝よ! いつまで寝てんのよ!」


朝から元気な声を上げ扉を勢いよく開けて辰の部屋に入ってきたミリスはまだ寝ている辰を起こしに掛かる


「起きなさいって言ってるでしょ!」


「ん〜、あと五分だけ」


「五分だけって、そんな事言うんだったら置いていくわよ!」


ミリスは金色の髪を揺らしながら、辰を揺さぶって起こそうとしている


「置いていくって、どこ行くの?」


「あんた一文なしなんでしょ? 私もお金持ってないから、依頼こなしてお金稼ぎに行くのよ」


「あぁ」


「分かったら早く起きなさい!」


ミリスは辰が包まっていた毛布を掴んで引っ張り取って無理やり辰を起こした


「起きた起きた、だからもう下行って待っといてくれ」


「さっさと準備してよね、まったく」


ミリスは不機嫌なのを隠しもしないまま扉を

出て下に降りていった


「助けたときは大人しそうな女の子だと思ったんだけどなぁ」


そんな事を考えながら支度を済ました辰は、ミリスを更に不機嫌にさせないように急いで下に降りた






「遅いわよ」


「これでも急いだんだよ」


下に降りた先には机で頬杖をつきジトッとした目でこっちを見ていたミリスがいた


「それより、依頼請けるんだろ」


「あんたが来るまでに、あらかた依頼は見ておいたわよ」


ミリスは依頼の書かれた紙が貼り付けてある掲示板を指差して話し始めた


「私がいいと思ったのはこれと、これの二つよ」


「へぇ〜、薬草採取と探し人ねぇ」


手に取ってある紙を出してそれぞれの違いを説明し始める


「薬草採取は簡単だけど、報酬が安くて、

探し人は時間が掛かるけど報酬が高いわ」


「どっちの方がいいかな〜?」


「まぁ初めてだし、薬草採取が無難なんじゃない?」


「確かに」


「じゃあ、決定ね」


ミリスは選ばなかった方の紙を掲示板に戻してから薬草採取の依頼を持って受付へと向かった


「この依頼を受けます」


「はいよ、じゃあ冒険者プレートを出してくれるかい?」


「どうぞ」


昨日と同じ受付のおばさんはプレートを受け取ると、プレートを見ながら紙に書き込んでいる


「冒険者ランクが木で」


「これは、なにをしてるんです?」


辰は何気なく、感じた疑問をおばさんに尋ねた


「一応帰って来なかったりした冒険者の確認とかに使うらしくてね、まぁ正直面倒くさいけど決まりだからねぇ」


「へぇ」


「あんたらも気を付けなよ、冒険者が依頼中に死ぬなんてのは、ありふれた話しだからね」


「はい」


「よし、これで依頼の受理が完了したよ」


おばさんから自分達のプレートを受け取ると依頼の詳細説明を受けた


「この依頼は、薬草のアスズの採取だね。

この薬草はラスーミ平原によく生えてるからそこに行くといいよ。これがここら辺一体の地図だよ」


「ありがとうございます」


地図を受け取り、説明も受けた辰とミリスは受付のおばさんに感謝を伝えて依頼に向かった






「おぉ〜広いなぁ」


「当たり前でしょ平原なんだから」


ラスーミ平原は広々とした草原にところどころに花が咲いていて、心地のよい温かい風が吹いている場所であった


「ほら、ボケッとしてないで早く薬草探してよね」


「そういえばそのアスズって薬草、どんな見た目なの?」


ミリスは依頼書に書かれている特徴と簡単な絵を見て説明を始めた


「ん〜と、アスズは紫色の花が咲いていて、根っこがトゲトゲしてるんだって」


「この広い中探すのはだいぶ大変そうだな」


「そんなこと言ってないで、さっさと終わらせるわよ」


「じゃあ、俺はあっち探してるから見つけたら言ってな」


辰はミリスから少し離れた所で薬草を探すべく距離を離そうとすると、ミリスが辰を急いだ様子で呼んでいた


「ちょ、辰! 辰助けて!」


「なんだなんだ」


辰が向かった先には何故か花に囲まれているミリスがいた


「こいつら、確かマンドルートか言う薬草に擬態する魔物よ!」


「何でそんなに囲まれてんの?」


「私が聞きたいわよ! ちょそれより見てないで助けて! こいつら弱いけど毒持ってるんだから噛まれると結構ヤバいのよ!」


「【風操】」


辰がスキルでマンドルートをあっさり切るとそれっきり動かなくなった


「ミリスはスキルとか魔法使えないのかよ?」


「私は後衛職なの! あんたみたいに、

すぐ発動出来るような魔法じゃないし」


「へぇ〜、まぁいいけど」


マンドルートを片付けたので元いた場所に戻り薬草を探していた辰だが、また同じような声が聞こえミリスの元へ戻る


「ちょっ、辰! 助けて!」


「また、囲まれてる」


ミリスの周りには、さっきの魔物の色違いがミリスを囲んでいた


「何で珍しいほうのマンドルートがこんなにいっぱいいるのよ! 辰こいつら洒落にならないレベルの毒持ってるから早く!」


「はいはい【風操】」


「た、助かったぁ」


ミリスは珍しいマンドルートが相当危険だったらしく、緊張が抜けた様子で座り込んでしまった


「これ、俺一人でやった方が早くない?」


「そ、そんなことないわ! この珍しいマンドルートの素材は結構な値段で売れるし!」


「じゃあ、ミリス餌にしてマンドルート狩りしたほうがいいか」


「何でそうなるのよ!」


ミリスはさっきのマンドルートの素材を、持っていたカバンに入れる手を止めて辰に抗議した


「冗談冗談。じゃあ、またマンドルートに囲まれても面倒だし、ここら辺から離れずに探そうな」


「じゃあ、絶対に私が先に見つけてやる!」


「頑張れ頑張れ」


気合十分な様子で薬草を探し始めたミリスに負けじと、辰も薬草を探し始めた





「あったー!」


何度かマンドルートに囲まれる事はあったにしろ、探し始め一時間程経ったときに遂に薬草は見つかった


「どうだ? ミリス、俺の方が早かったぞ」


「たまたま先に見つけただけでしょ」


「それでも俺の方が早かったぞ」


辰はミリスに向けてドヤ顔で話すとそれがだいぶミリスの気に障ったのか若干強めの口調でギルドに戻るのを急かしてきた


「見つかったんだからもういいでしょ、

さっさとギルドに戻るわよ」


「マンドルートの素材もギルドで売れるかな?」


「知らないわよ、自分で聞けば」


「ちょっ、歩くの早い」


「あんたが遅いのよ」


帰る道中でミリスを怒らせたことを後悔しつつも二人はギルドへと戻った

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