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退屈な女  作者: 青山えむ
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麻衣

 あれから数日経ちました。


 佐々木さん、どうして返信をくれないの? 返信がないのに次のメールは送れないわ。まさか、それが目的?

 いやだわ、ふふ。落ち着いて、私。既読はついてあるから読む気はあったのね。私を拒否する気持ちはないってことね。


 そうよね、佐々木さんはあんなに私のことが好きだったんだから。毎日メールをくれて必死で私を誘って。私の体を見て嬉しそうだったわよね。細くて白い女が好きなのね。

 嬉しかったわ。私、痩せている自分の体が嫌だったから。男の人は少しぽっちゃりした女子が好きだってよく聞くから。


「痩せたーい」


 堂々とそんなことを言っている女子がずっと羨ましくて憎かった。


 女子は私の体型を羨ましいと言い、男の人は「麻衣さんはスタイルいいですね」と言いながら私を誘うことは一度もなかった。


 みんなお世辞。標準より少し細い女には「細い・痩せている」と言っておけばいい気分になると思っている。そんなの全員に当てはまるわけではない。私はもっとぽっちゃりした体型がほしかった。


 もう少し太ろうと思い、食事を増やそうと思った。でもだめなの、胃がそれ以上受けつけなかった。お菓子なら食べられると思った。


 コンビニスイーツやカフェに行く回数を増やしてみた。けれども体質なのか、私はなかなか体重が増えないし太ることもできなかった。


 でもこの体型でよかったと思えたことが一度だけあった。佐々木さん。佐々木さんは痩せている女が好きだと言っていた。そのときばかりはこの体質に感謝をした。


 佐々木さんの奥さんは結婚してから幸せ太りをしたと言っていた。結婚を選んだのだから、佐々木さんだって当初は奥さんを愛していたはず。けれども十年以上経つと、そうでない気持ちも芽生えてくるのでしょうか。

 もともと痩せた女が好きなのと、奥さんが太ってしまったこと。この二つが重なり、私は佐々木さんに選ばれたんでしょうね。


 二人の時間は幸せだった。あんなに話して笑ったのはいつぶりだろう。私と佐々木さんの相性は抜群だったはず。それなのに……。


 ああいけない。取り乱したところなんて見せられない。大丈夫、準備はしているから。


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