買った装備が呪われている⑥
それから少し遅れてミラさんたちが戻ってきた。
依頼か何かで頼まれていた物と、それとは別に見つけた珍しそうなものを手に持っていた。
持ち帰って街で売ってもいいものなのかをおばあさんに聞いていた。土地の所有権ってこっちでもあるんだ。
俺が来ていた鎧はステラが受け取ることになった。というか呪いの品を渡さないと依頼が達成されたことにならないから、当たり前と言えば当たり前だ。
流石にもう一度誰かに着せても脱げないということにはならないが、わずかに呪いの気配みたいなものは残っているらしい。
「やったーありがとね!どこに飾ろっかな~」
鼻歌を歌いながら鎧の頭の部分を持ってくるくる踊っている。
どうやら寝室か玄関が候補らしい。玄関はやめておいた方がいいと思うな。
しばらくするとおばあさんとの交渉を終えた三人がこちらに歩いてきた。
「なんだかその顔を見るのも久しぶりって感じがするのお」
「俺も、この視界の広さが久々です」
本当に嘘のように視界が広いし、体が軽いし心も連動して軽くなった気がする。
お邪魔しました、と頭を下げて外に出ると中から小走りでステラが送りに来てくれた。
「また呪われてきてね~!」
それは流石に御免だ。それともいざという時のかかりつけ医ができたと思えばいいのだろうか。
何かあった時に相談できる場所があるのはとてもありがたい。
「それと、あたしもギルドに登録してあるから、もし向こうで一緒になったらよろしくね~!!」
「それは…、よろしくお願いします」
片手をぶんぶん振ってくれているのを見て、こちらも軽くではあるが振り返す。
そうしてオガルへ向かって歩いていく。来た時よりも鎧の分体が軽く、視界も広々としていて歩きやすい。
「ところでエンヤ、呪術を受けたのじゃろ?体は大丈夫か?」
血を取られたりせんかったか?と心配と興味が半分混じったようにエリーシャが聞いてきた。
見学するか迷っていたぐらいだし、呪術の話も聞きたいのだろう。
「髪の毛一本渡したぐらいで、あとはほとんど椅子に座ってただけだったから、体とかは特には…」
まあ大丈夫です、と笑いを作って答える。
めちゃくちゃトイレに行きた過ぎて具合が悪くなってたことは内緒にしておこう。これは自分のプライドを守るためでもあるし、呪術への余計な風評被害を防ぐためでもある、と自分に言い聞かせる。
「ほお、一度見てみたかったの」
「オガルにもたまに来てるみたいだし、一緒になった時に見せてもらいましょ」
遊び足りない子を宥めるようにミラさんが言う。
そんな二人のやりとりを見ながらふと考えてしまった。ステラはギルドに登録していると言っていた。彼女は準のつかない冒険者なのだろうか。
人と比べてもどうしようもないことだってあるのはわかっているが、それでいいんだろうかという気持ちだってある。いつまでもこの人たちに着いていくだけでいいわけがない。
ここに来たばかりの日、ギルドに登録するときに得意武器を空欄で提出したことを思い出した。
「あの、聞きたいことがあるんですけど―」
武器適正試験というものがこの世界というかオガルにはあるらしい。
英語検定や漢字検定の各武器版みたいなもので、俺はこの武器が得意ですと言うはっきりとした目安になる。
本来ギルド登録するときの得意武器欄は完全に自己申告らしいが、どの程度が得意と言っていいかわからない俺のような人はまずこっちを受けたりする。
ちなみに略称に派閥があり、大手はブキケン、その次にテキケン、最近勢力を伸ばしているのがブシ、いやそこは本当どうでもいい。でもちょっとブシかっこよくないか?俺はブシ派でいきます。
話がそれたけど、武器適正試験ことブシでどの武器でもいいので一つでもCを取れたら、冒険者として登録するのに十分らしい。
そうだ、ブシ、受けよう。
明確な目標が決まった少年こと俺の目は、多分希望に満ちて輝いていた、と思う。見てないからわかんないけど。多分きっとおおむねそう。
連載は続けますが、オタクに優しいギャルを出せたので今後の更新はゆっくりになります。
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