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買った装備が呪われている③


歩いて二時間ほど、休憩をはさみながら進んでいく。呪いの鎧の効果なのか元の運の悪さからなのか、数分おきに何かに躓いたり、枝にぶつかったり、鳥のフンが落ちてきたりした。ここ最近で最も運がヤバい日に認定するぞ。


更に歩みを進めると、ぽつりと建っている古民家が現れた。

ここが呪術師とかいう人が住んでいる家なのだろうか。そう思うと不気味な佇まいをしているようにも見える。

近づいていくと何か看板のような板が置いてある。


「営業中…本日のワンコインランチ…チーズオムレツ、パンとスープ付き?」


丁寧にオムレツとサラダのイラストも描いてある。隠れ家風カフェか何かなのだろうか。というかこんなところでやっていてお客さんは来るのだろうか。

「オムレツ…?」とメニューに反応したエリーシャの目が輝いている。好物なのだろうか。


「丁度お腹もすいてたし、ここでお昼にしましょうか」

「賛成なのじゃ~!」


これ普通にここで食べていく流れになってるな。だが近くに他の家らしきものが無い以上、入ってみるしかないことには変わりは無かった。もしかしたら中にいる人が何か知っているかもしれないし。


ドアを開けると上部についていたベルがからんと音を立てた。


「こんにちはー。ランチやってますか~?」


やはりというか、お客らしい人は他におらず、中はがらんとしていた。

奥の方から「ちょっとお待ちくださ~い」と声が聞こえて、パタパタと足音がする。


「いらっしゃいませ!好きなところにおかけください!こちらメニューです!四名様ですね、今お水持ってきますね」


慌ただしく中から出てきたのは同い年ぐらいの女の子だった。金髪の髪を横で二つに結んで、派手な顔立ちをしている。

最後に店内に入った俺と目が合うと、固まったように動きを止めた。

そういえば鎧を着たままこういう店に入っていいものなのか、やっぱ脱がないと駄目なのだろうか、と事情を説明しようとすると急に距離を詰められ、両手を掴まれた。



「どうしたのキミ、めっちゃ最高じゃん!!!」


掴んだ両手を胸の前に持っていくと、目を輝かせてそう言い放った。

最高って何が?俺はただ呪われてるだけなんだが。




「あたしはステラ!おばあちゃんと一緒にこの店をやってるの。あ、この店って言うのはカフェと呪術品を扱ってるのと両方あって―」


テーブルには各々注文した料理が所狭しと並んでいる。あれから彼女のおばあさんも奥からやってきて、お客さんを待たせるんじゃないよとステラを引きはがしていった。


頼んだ料理が全部届いたところで解放された彼女が近くの席から椅子を持ってきて、相席のような形で入ってきた。


他の三人は最初は驚いたような顔をしていたが、料理を出されると普通に食べているし、普通にステラの自己紹介を聞いているようだった。

それぞれ頼んだ料理をおいしそうに食べている。


ちなみに俺は鎧が外れないので、特別に冷製スープを飲み物用のコップに入れてもらい、隙間からストローで飲んでいる。ジャガイモのポタージュらしいがこれも凄くおいしい。

おいしいのは問題ないが、こちらをずっとニコニコ顔で見ているステラのことが気になる。というか視線を感じてそわそわする。



「ところで、ギルドの依頼書を見て来たんじゃが、依頼を出していたのはステラで間違いないかの?」


料理を食べ終わったエリーシャがそう尋ねる。思い出したように言った風に見えたが、タイミングを逃していただけだと信じたい。

そういえばそんな依頼あったなって顔をしている人もいるが。そこは逆によくこんな全身鎧と一緒のテーブルでご飯を食べておいて忘れられるよなって感心する。



「うん!って言っても随分前に出して忘れてたんだけど…。もしかして、他にもなにかあるの?!」


目を輝かせて前のめりになってエリーシャに迫るが、残念ながら俺…というか持ち込みはこの鎧だけだ。

首を横に振るのを見ると、「そっかー」と少し残念そうに言った。


「あの、この鎧を外したいんですけど。解くのって、出来たりしますか?」

「えっ?せっかく呪われてるのに?!」


せっかくって何だ。心外そうな顔をされてもこっちはその為にやってきたことに変わりは無いぞ。そんなに呪われてるものがいいのだろうか。


「まあでも大変だもんね。三時間ぐらいで解けると思うけど、大丈夫?」


「じゃあそれで…よろしくお願いします」


三時間が長いのか短いのかはわからないが、とにかくこの鎧とおさらば出来るのならそれに越したことは無い。

呪いを解くまでの間、ミラさんたちはこの近くにある洞窟に行って来るらしい。

エリーシャは呪いを解く方法に興味を持ったのか、洞窟に行くかここで見学するか悩んでいたが、ミラさんたちと一緒に行くことにしたようだ。


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