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買った装備が呪われている①

初給料、それは心が躍る響きだと親戚のお兄ちゃんが言っていた。


先日のマンドラゴラの報酬が昨日手に入ったのだ。報酬は単純に四人で割った額だったので、決して多いとは言えない額だったが、それでも自分で稼いだお金だと思うと何とも感慨深いものがあった。




オガルの市場はとても人がいて賑やかだった。青果物やお酒、食器や家具、宝石のようなものや武器を売っているところもあった。


綺麗な装飾がされた武器は正直心が惹かれるが、今の俺には手の届かない値段だったり、使えるようになるのかと言われると何とも言えないものが多かった。

そうではなく、今日は防具を見に、いいものがあれば買いに来たのだ。


「よくヘマするんならあった方がいい」とは先日のフォーゴットさんからの有難いお言葉だ。

めちゃくちゃご尤も過ぎてそうですね、としか言えない。とりあえず、鎧のようなものではなく、肩当てや胸当てのような部分的なものが手頃だし、ガンガンに戦うとかでなければそれで充分らしい。




「おう兄ちゃん、何探してんだい」


いかにも行商人のような男の人に呼び止められた。こういう声かけって日本人として凄く警戒してしまうんだが。賑やかな市場にイマイチ馴染めなくてすみませんね。


「はい、ちょっと防具が欲しくて」


「それだったら、ウチにいいのがあるよ!これなんてどうだい」


前に出されたのは所々錆びてはいるが、まだ十分使えそうな鎧だった。決して派手ではないが、所々に装飾が施されており、あまり詳しくはないがなんとなく高級そうなものだった。


「ああ、いや、そういう立派なものじゃなくて」


「まあまあちょっと着てみなよ!及ばざるは過ぎたるが如しっていうし!装備してみたら気に入るかもしれないし!」


それは使い方としてどうなんだ?

ていうか逆じゃなかったか?と内心思ったが、その言葉を外に出すまいとしている間に、男は手際よくその鎧を俺に装備させていった。なんか、ていうか大分怪しいぞこの人。


「わ~!凄く似合いますよお兄さん!今ならこの鎧兜もつけてトータルコーデでお値段なんと1000G!」


待て待て待て。なんか買わされようとしてるなこれ。


「あの、俺別にそんなんじゃ」


「あもしかしてちょっと動かしにくかったりします?大丈夫その内なれますよ~。お代はお兄さんのカバンの中から失敬させて頂きました」


失敬するな。ここはそういう無法地帯なのか?子供はミルクでも飲んでなってことか?

抗議の声をあげるが、鎧の中で音がこもってうまく聞こえてないのか、それともこの人が話を聞く気が無いのか、一切気にも止められなかった。


しかも視界が悪くてよくわからないが、どうやら背中から押されて市場から追い出されようとしているらしい。

カバンの中から本当に1000Gだけ引かれたのかも確認できない。「毎度あり~」というのんきな声が聞こえてきた。

もはや反抗する気力すらも沸かなかった。



少しの間途方に暮れていたが、とりあえずもうこの鎧は脱ごうと決めた。


でも往来で鎧を脱ぎだすのはちょっと恥ずかしいな、まあ頭の奴だけでも、と思い鎧兜を外して…外して?アレ?外れないぞ。

頭がでかくて引っかかってるとかそういうのでもなく、力を入れて上に引っ張っても何をしても外れる気配が無い。


あれか、あの有名なゲームとかでよくある、この装備は呪われているってやつか。


だとしたら鎧にしては確かに破格だったことにも説明がつく。

いや説明つけとる場合じゃない。しっかり詐欺にあっとるやないかい。いや、マジでどうするんだこれ。終わったな。

エンヤもうおうちかえる。


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