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はじめての冒険①

ジージさんのもとで住み込みで修行の日々が始まった。

まず基本中の基本である体力作りからはじまり、野宿をすることになった時の為の火の起こしかた、薪の割り方、応急手当。それから日々の生活に欠かせない掃除洗濯料理。初めはどれもまともにできなかったが、どうにか様になってきたように思う。


そしてジージさんは本当に強かった、というか凄かった。あの噂も話半分で聞いていたけれどどれかは本当だったりするのかもしれない。

スポンジのような柔らかい棒状のもので剣道やチャンバラよろしく見合ってみたけれど、一度も向こうの攻撃を受けずに当てることができなかった。気軽に残像とか見えてたし。

いっそ仙人とかそういうもんなんじゃないのかこの人。


俺の剣の腕前も順調に上がって…いる…ようだ。正直自信が無いが、ジージさんの見立てによると「一対一で丸腰のチンピラに喧嘩を売って勝率五割程度」らしい。ほぼ勝てるぐらいになる日は果たしてくるのだろうか。



数日に一度はミラさんたちも顔を見せに来てくれた。差し入れと言って街中で売ってるパンやクッキーを持ってきてくれたり、夕ご飯を一緒に食べたりもした。

俺がここに連れてこられた時はいなかったフォーゴットさんだが、それはもうめちゃくちゃにジージさんと相性が悪かった。前からずっとそうらしく、ご飯の席でもテーブルの下で小突き合っていたり座る直前に椅子を引いたり、小学生でも今時見ないようなやり取りをしていた。

というか、よくジージさんとまともに喧嘩できるよな。喧嘩というかじゃれ合いに近いものだけれど。

そんな思いを抱きながら、時には観察するように、時にはまた始まったという目でミラさんがストップをかけるまで観戦するのだった。



そんなある日、少し離れたところでちょっと高度なチャンバラをしている二人を眺めていると、ミラさんが話しかけてきた。


「そうだ、エンヤくん。明日って時間あるかな?」

「明日ですか?」


明日の依頼は難易度も低く、そんなに遠くまで行かないから一緒にどうか、という誘いだった。珍しい植物を探すだけだから、安全な方だと思うんだけど、と遠慮がちに提案してきた。

確かに初日以来、そういう冒険みたいなことをしてないし、一応準がつくとはいえ俺も冒険者だ。

断る理由なんてもちろん無いし、内心ちょっとワクワクしていた俺は元気に返事をした。


「いいですよ!!」


「それじゃあ明日の朝、ギルドで待ち合わせね。それともここまで迎えに来ようか?」


少し心配そうにこちらを伺うミラさんに「大丈夫です!」と返す。エリーシャは俺という後輩が出来たのが嬉しいのか、俺よりもずっと楽しそうに「楽しみじゃな」と言っていた。

三人を見送った後、俺は明日へ備えるべくすぐに布団に入った。初めての冒険、ちょっとロマンがありすぎるフレーズに心が躍る。だが心が踊ってる場合じゃない、早く寝なければ。冒険は体力が資本。遠足前の子供みたいに興奮で眠れなくなって最悪のコンディションで臨むわけにはいかない。いやこれフラグになりそうだな。なるなよ。絶対なるなよ。


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