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いっけね~遅刻遅刻!

初投稿です。よろしくお願いします。

「本当に遅刻する!ヤバい!」

まだ早朝だというのに、本日三度目五分振りの言葉を口走る。食パンをくわえていたら様式美ということで許されたいところだが、その食パンは30分前に炭にしてしまった。焼き直す時間も惜しく、コップ二杯ほどの牛乳を飲んで朝食ということにして家を出てきた。その時も「ヤバい!」と言ったような気がする。そしてそこから現在地点までの信号に全て引っかかり、段差で躓き、水たまりに思いっきり足を踏み入れるなどして最寄りの駅に辿り着いた。時計に表示されている時間は、自分が乗ろうとしていた電車の発車時刻そのものだった。今日は風が非常に強く、もしかしたらダイヤの乱れか何かしらで間に合うのでは、もしくは走ってホームに行ったら間に合うか、と淡い期待を抱いたその瞬間に電車が動き出す音が聞こえてきた。

もう終わった。今日は本当に運が悪い。


―訂正させていただきます。今日も本当に運が悪いの間違いでした。


俺は諏訪原燕也(すわばら えんや)、どこにでもいそうな高校一年生。放送部所属。いやどこでもいそうな割に所属が地味すぎるな。そんなザ地味で頭ではたくさん喋ってるタイプの俺ですが、特筆すべき点があります。聞きたいですか?俺は言いたくないです。というか誰が聞きたいんだよ、唯一の特徴が運が悪いそれだけっていう高校生男子の話を。


そんなわけで、逃した電車の代わりになりそうな移動手段を検索しようとスマホを取り出す。充電が黄色くなっている。そりゃそう。そもそも昨日の夜、ちょっといつもより夜更かしをしてしまった昨日の夜、そんな時に限って充電プラグを差し込むのを忘れて寝てしまい、その間に電池がスッカラカンになり、朝のアラームをスマホに依存している俺は寝坊をしたのである。せめてもと起きてから家を出るまでの間充電器に差し込んでみたが、この電池も長くはもたないだろう。


色んなものが差し迫っている中見つけ出した答えは、三分後発のバスに乗るのが一番早く着きそうだ。バス停までは少し距離があるが、三分あれば大丈夫だろう。心の余裕が生まれたせいか、飲んできた牛乳が腹の中でちゃぽちゃぽいっている気がして気持ち悪い。とにかくバス停へ向かおう。そして学校に着いたら友人に頭を下げてでもモバイルバッテリーを貸してもらうなどして充電しよう。


バス停に着いた俺は流石に泣きたくなった。無情な張り紙がそこに貼り付けられていたから。バス停しばらく移転するってよ。しかも今日までだってよ。今日まで移転だったら今からここにバス停まってもよくないですか?しかも移転先はさっき通りましたね、えっあそこまで戻るんですか?いいですけど間に合いませんよね。よくないじゃん。


もう俺は既に心が折れかけていた。そもそも遅刻って言ったって本来の授業開始の時間はまだ先だし、今というかさっきまで俺が間に合わないって言っていたのは部活の朝練ってだけで。放送部でも朝練ぐらいするんですよ。っていうか今が大会前で一番熱心な時期なんだし運動部よろしく朝練したっていいだろ。ただその熱心な時期の朝練に遅れた場合、あの一年生意気じゃない?うちらの時はもっと厳しかったよね?とかそういう嫌な空気を生みかねない。あまり人が多くない部活でそれはよろしくない。半分、いや七割ぐらいは投げやりな気分になりながら駅に向かう。もうバス停より次の電車に乗って行った方が早い、そう思っていた時だった。


人が立っていられないぐらいの突風と轟音、何が何やらわからないまま頭部に感じた強い痛み。


結局それが何だったのかわからないまま意識を失ってしまった。



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