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謁見③


アーク歴1499年 弐の月


大魔王城



「…と言う訳で30層は無事クリアしました。」

「うむ、中々梃子摺ったようだな。まあ30層くらいはサッサと攻略してもらわねば困る。目的は80層なのだろう?」

「そうですね。でも領地に戻るとダンジョンがありませんからなかなか…毎回出張も大変なので出来れば領地から出て5秒でダンジョンに行きたいですね」

「転移魔法を覚えればよい。楽だぞ。」

「はあ。」

「もしくはそ奴に乗って飛ぶかだな…あまりお勧めはせぬが。」

「そうっすね…」


ここは謁見の間。


俺はいつもの様にかなり砕けた口調で大魔王様と話していた。

もうなんかすでに俺の中では親戚のお爺ちゃんと話してるような感覚だ。

()生の先輩であるし、遠いとはいえご先祖様である。

そう考えりゃ親戚のオッちゃんオバちゃんや爺ちゃん婆ちゃんより近いのか?いや遠いか。


「おいリヒタールの子倅…先ほどから黙って聞いておったが、大魔王様に対し何たる無礼!そこになおれ下郎!」

「そうだ。あまりにも無礼!我と決闘しろ!その首叩き落してくれる!」


…でもまあそう思わない人もいる。

最初に声を上げたのは…えーと、名前はちゃんと覚えてないが、リヒタールの近くの領主さんだ。

豚とゴリラの混じった、まさにブタゴリラ的な種族の人である。

あれってトロルになるの?それともオーク?わかんねえ。


そして次に声を上げたのはヴェルケーロ近くの領主さんだ。

ワニっぽい人で、うちの領の爬虫類系の魔人さんに聞くとイケメンらしい。難しい。

まあそのワニさんは俺が前に異動のご挨拶に行った時にめちゃ嫌そうな反応してた人だ。


「ゲガルス、それにウルグエアル。ここは謁見の間だぞ」


注意するのはイケメン魔族の…名前は覚えてない。

羽と尻尾がある正統派の魔族さんだ。

たしか近衛騎士団の人のはず。


「しかしな、ルグエルア。大魔王様に対する無礼は許しがたい。」

「さよう。挨拶に菓子など武人を馬鹿にしておる。」


菓子ってまずかったの!?

良かれと思ったんだけどな…後で謝ろう。

しかしこの人がルグエルアか。

ゲーム中ではトップクラスのステータスの人だ。やや戦闘寄りだが…それを言うとほぼ全部の魔族が戦闘寄りだからな。


「申し訳ありませぬ。何分、礼儀作法を父に習う前に死んでしまいましたので…今後は気を付けます。ご指導ありがとうございます」

「む…ならば良い。おぬしも早く父上のような立派な武者にならねばならぬぞ」

「はい!」


良い返事をしてみたが、父上のような立派な裸マントマンには絶対なりたくねえ!

あの裸マントがまともな礼儀作法なんて覚えてたとは思えないしな!

と心の中で思いながら謁見の場から去る。


裸マントマンのあたりで大魔王様は後ろで『ブフッ』って吹いてた。

そんなとこまで心を読むなよ!






「先ほどはありがとうございました。」

「いえ、カイト殿は常識に欠けるところがある故フォローするようにと大魔王様に聞いております」

「ナハハ…」


謁見の場を去り、少し待って出てきた近衛騎士団の団長のガザルムさんにありがと!とお礼を言っておく。礼を言ったからもうチャラだ。そうだよな?と圧をかけるつもりは特にない。だって借りだなんてそもそも思ってないし。


ついでに注意してくれたっぽいブタゴリラとワニにもヨロシクって言っといた。

でも、ゴマすりは好かん!みたいな反応をされてしまった。

まあ古き良き魔族にありがちな反応だ。

こういうのは俺が力を付ければ勝手に仲良くなるのだ。たぶんそう。


いい加減周辺諸国の事も知らないとまずいかなと思って、謁見の間から出て師匠に色々と教えてもらった。


まずヴェルケーロ領についてである。

魔界のみんなの認識では、ヴェルケーロ領は大魔王領の中でもクッソ山奥の僻地だ。



キングオブド田舎という扱いだが、一応高い山脈を隔てて反対側には人間の国がある。

なんちゃら連合だか連邦だかって連合国家があるのだが…まあ正直、大したことはない。


『連邦』と言えばジ〇ンと戦ってあれやこれやで、結局質より量で押し切るイメージがあるが、このゲームだとカイトの次くらいにホイホイ滅亡するくらいの雑魚ポジである。


カイトの次くらいの雑魚だね。

雑魚雑魚ざーっこwwwwwwwwwカイトよりちょっと上のざーっこwwwってうるせえ!



その連邦軍から北側にある広大な森がユグドラシル王国、コレは俺の母方の爺ちゃんの国。

そして、大魔王領の隅っこである俺の領地との連絡通路になっているのがさっき怒られたワニさん領主、ウルグエアルさんの治めるカニエラル領だ。


移民が増えた時にこのウルグエアルさんの土地から少し貰ったわけで。

まあ貰ったというか…ウルグエアルさんは俺が土地を貰うときに交換として、より大魔王城に近いところを代替地にもらった。

むしろあっちの方が得してる説はある。くそ。

まあそれはそうと、その件のお礼?も言わないとな。



ゲーム開始時、魔界は4つの勢力に分けられる。

アシュレイのいるアークトゥルス魔王領。

カイトのいる人間との戦いの最前線のリヒタール領。

アシュレイとカイトの2人を隔てる形で存在するケルニア国。

そして大魔王領の大半を占めるアーク正統魔王国。


人間側はなんちゃら連合になんちゃら聖王国…とにかく俺は名前も特徴も憶えてない。やばいな。

あとは中立を保つエルフの国、ユグドラシル王国もある。


何と言ってもアシュレイでプレイしている時は鎧袖一触という感じだったし、カイトの時はそもそもそこまで話が進まない。何もせずに死んだからなあ。


そしてそれらゲームの記憶は全部体感時間で10年以上前の話だ。

くそ、メモでも取ればよかった。


いまから思えば多分いろんな豆知識をホイホイ忘れてるだろう。

もし諸君が異世界転移したら、まずは日本語でいいから思い出したことを何でもメモしまくることをお勧めする。



サブタイもう思い浮かばない問題。


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