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逃避行二日目 昼

「さて、騎馬と歩兵が来ているらしい。で、まずは騎馬対策から始めよう。」

「はい!」


予想通りに追撃があるようだ。

まずは足の速い騎馬が、続けて歩兵がしずしずと迫ってくるだろう。

足の遅い歩兵とは言え避難民たちとは比べ物にならない。騎兵がいまから追いついたとして、明日か早ければ夕方にも歩兵が追いついてくるだろう。そうおもっておくべきだ。


「騎馬は恐ろしい兵科だが、弱点はいっぱいある。まずはこんな山や森のような土地での戦いは基本的には向いていない。騎馬が本領発揮するのは草原のような凹凸の少ない、視界のいい土地だ。森や山のようなところはまるで向いていない。問題は相手がそれをわかっていて運用してくるか、それともただのアホか、だ」


ただのアホなら話は簡単だ。

騎馬で突撃するところに落とし穴でも投げ綱でも、何なら綱一本でもいい。

何でもいいから罠を仕込めばいい。それだけで騎馬の勢いは止まり…止まった騎馬は遠距離攻撃の的になる。的がでかい分なおいいね。


分かってる奴ならそういう運用はしないし、常に退路を考えて動くだろう。そうなると非常に厄介だ。

俺たちは常時自分たちより遥かに足の速い敵に追われていることになるし、相手は何時でも俺たちを捉えることが出来るのだ。


「という事でアホであることを祈って罠を仕掛けよう。まずは頑丈な木にロープを。次に…」


山がちな地形だが、木もたくさんある。

馬は足元にロープ一本張ってあるだけで満足に走れなくなる生き物だ。

何も考えずにパカラッってくれればこれだけで複数名が落馬からの脱落コースである。

…まあそう上手くはいかんと思うが。


少し前にいる民を追い越して、そこそこ広い道になるところには馬防柵を作る。

樹魔法はこういうのを作るときに本当に便利だ。

まあ土魔法なら落とし穴を作るときに本当に便利なわけだが。


崖があるところには岩を運んで梃子を使っていつでも落とせるようにセットし、騎馬が広がって行動できそうな所にはわざと木を倒して道を塞ぐ。

俺たちが避難しているところもいい加減道はないが、もっとどうしようもない山を越えてくる可能性もあるのだ。


魔界の山ならそういう所には必ずと言っていいくらい魔物が住み込んでいるわけで、そこを軍隊で荒らすと魔物たちと盛大に戦う事になるから音が凄く出るわけだ。と言うか対魔物のほうが対人より酷い結果になると思うから普通は通らないが…こっちはその可能性もある。


というわけで鳴子を設置したり、狼煙の準備をしておいたり…警備隊員に狩人上がりが2人ほど混じっていたからそいつらに狼煙の作り方を教えてもらった。

狼煙は狼の煙と書く。つまりは狼のウンコを燃やすのだ。


ってことでアカのエサ用の狼を袋から出し、腹を裂いてウンコを取り出した。

そしてそのウンコを魔法で乾燥させたのだ。


死体の腸を取り出してウンコを搾り取り乾燥する。

当然のことながら気分は最悪だ。


ウンコと言えばウンコをばら撒きまくるのも戦術として有効だ。

気分は最悪だし、疫病にでもなれば大変追撃軍は困る。

あー、でも水魔法のあるこの世界じゃあんまり役に立たんかもな…面倒だしやめとくか。


適当に馬防柵を何十個と作って、それから敵を待ち受ける。

避難民は追撃の報告をしたら速足で通り過ぎて行ったのでもう何キロかは離れている…といいな。


「おいアカ、そろそろ起きろよ」

「…ふがー。…ぐぴー。」


ダメだこりゃ。

そう言えば俺は思い切り戦っていいのだろうか?そもそも戦闘行動なんてここしばらくしてない。

訓練も師匠にボコボコにされるだけで他の人とはまともにやってないし、ダンジョンはヴェルケーロにあるはずだが忙しくて探してすらない。

参ったな。








「き、来ました」

「来たね。弓隊は射撃用意!」


警備隊だけじゃどうにもならんから騎士団の方にも応援を頼み、さらに領民の男手を追加して総勢300の弓と150の槍隊を作った。後は10名ほどの魔法使いだ。

若い男女がほとんどなんだからもっと戦えそうだが、前方にもちょくちょく魔物が出るらしいから戦力が必要になるのでこれ位しか殿(しんがり)に人手がない。


その分、陣地はきちんと構築した。

もう避難民の後続は来ないだろうと割り切って罠を作っている。今は発動待ちだが…とりあえずはこの貧相な部隊に騎馬が突貫してきてくれることを祈るのみだが、今俺たちがいるところは割と広くて平らな道。そこに形だけの馬防柵を置いてあり、その後ろに50人ほどの槍隊と50名ほどの貧弱な弓隊がいるという構図だ。


「相手は少ないぞ!かかれ!」

「「「オオオー!」」」


ドドドドっと馬を走らせて突貫してきてくれている。

人数少な目にしといてよかった。

アホみたいに突っ込んでくれてるわ。

というか指揮官がアホなんだな。騎兵の皆さんはかわいそうに。


「よし、弓隊は撃て。軽めにパラパラと撃てよ」

「うてーい!」


指示通りにバラバラに矢が落ちる。

数も少なければ威力もない…何の足しにもならんような弓矢である。


それでも運の悪いと言うか、間の悪い奴はいて数名に当たっているようだが特に怯んだ様子ではない。馬がさらに加速して迫る。残り50、40、30…


「今だ!」


引かれる綱。

人間で言う膝の高さくらいにピンと張られた綱に足を取られる馬、そして飛び越えた一部の馬の所には土魔法で陥没する地面。転倒したところにドドドドドドと後ろから突撃してくる馬。

そうだよな。車もバイクもトラックも、そして馬も急に止まれるようには出来てないんだよ。

おまけに土煙でよく見得ないから後ろからドンドン来るし。


抜けてくる数頭の騎馬隊には本気を出した弓隊が襲い掛かり仕留める。

その次は落馬した騎士たち、そして前がつかえて動けなくなった騎馬や歩兵の所には上から落石をプレゼントだ。


「アローシャワー!ツリーアロー・ダブル!」


俺もパカパカ打つ。

経験値も稼げるし?


「引け!引けー!」


後の方から後退の合図が出たようでどんどん敵は引いて行く。

よし。とりあえず一度目は凌いだ。

ぱらぱぱっぱぱ~ん。

レベルも上がった。やったぜ?




捕虜を取ってもしょうがないので生き残りはそのまま武器と防具、馬を取り上げて帰してあげる。

ただし治療なんかはしてやらない。

もし道中襲われたらそれまでだ。


生きている馬は何頭か確保し、死んだ馬は飯にする為に袋に放り込む。

戦いの最中に死んでしまったので勿論ちゃんと血抜きなんかできていない。

アカ行きかもと思わなくもないが、まあとりあえず避難民も食べるものが出来たな。


馬防柵は袋に仕舞い、そこらの木を切り倒しまくって行軍の邪魔をする。

まあ正しくは木を引っこ抜いてポイポイと雑に並べる…だが。


それにしてもアカはまだ起きない。

さっきの戦いだって、あんなに直線的に来るならブレス一発で終わったんじゃないかと思う。

まあ子供とは言えドラゴンが待ってたらまっすぐ突っ込んでくるアホはいないと思うけどさ。


さて、殿部隊はとりあえず道に小細工だけして後は避難民に追い付こう。

通り辛くするためにあちこち木を倒しまくったが、こりゃあ自然破壊もいい所だなあ。


でもコッチの世界じゃ自然破壊や環境保護なんてだーれも気にしない。

CO2も出し放題だし森林伐採も野焼きもやり放題なのだ。

ついでに俺も大きく深呼吸しまくらないと!


どうもこの小説には下から出て来るものがよく登場します。

それだけ生活の基盤になっているって事ですね!

やっぱり人類はウンコで出来ているのだ



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