明るい公園計画
「あー、死ぬかと思った」
「こしょばくてなみだがでた」
「龍の涙って何かの素材になる奴だぞ。クレ」
こんなこともあろうかと!ってやつである。
何かの時に使えるかと、袋に入れてあったビンにアカの涙を入れてもらう。
レア素材の龍の涙ゲットだ!
えーっと、これで何が作れるんだっけ?
何かの薬だったと思うけど…しかし、ペットをくすぐっただけでゲト出来るならいつでもレア素材取り放題だ。
ただ、恐らく周りに火球が巻き散らかされることになるので…畑や市街地でやると大変なことになりそうだけど。
空から城壁の中に入ったあと、適当な空き地を見つけて降りた。
『適当な』とは、あんまり人がいなくて、それでいてお城に近いところだ。
あんまり人がいっぱいの所だと話をする前に矢でも飛んできそうだからな。
アカから降りて改めて周囲を見渡す。
うん、だめだこりゃ。
王都周囲のあちこちに火球によって出たと思われる火の海が。
中には王都の民家に落ちたものもあるようで、何軒かは燃えている。やばいなこりゃ。
こんなに燃やしといて援助に来ましたって顔するのか俺は。
「まあしかたない。必要な犠牲だったって事にしよう」
「そーだそーだ!おれもなくほどだったんだぞ!」
泣く程辛かったわけではないだろう。
こいつむしろ笑ってたし。
「よし…お城の方に行こう。偉い人とお話しするんだぞ」
「おはなしするぞー!」
「そうそう。アカは偉いな。お話したら大体の人とは仲良くなれるぞ」
「おー」
「でも話しかけてもいきなり殴ってくるようなのはぶっ殺して良いからな!」
「わかった!」
まあこいつは最初から俺と話も出来てたし。
分かり合える良い子なのだ。
というかむしろ前に鉱山をいじろうとした奴は何をしていたのだろうか?
普通に話しかけりゃいい気がするんだけどな。
「い、いたぞ、ドラゴンだ!」
「ん?」
「んあ??」
「こっちむいた!ひいいい!」
あん?そりゃでかい声出されたら振り向くだろ普通…
というかこの人たちは攻めてきてる連合軍の兵隊さんだろうか?それともエルトリッヒの兵隊さんだろうか?うーん、見ても分からん。
「俺たちは大魔王様直轄領のヴェルケーロから来た。お前たちはエルトリッヒ側か?連合軍側か?」
最初が肝心。
ガツンと威嚇混じりに問い詰めよう。
「わ、我々はエルトリッヒの者です!」
「なーんだ。そうならそうと早く言ってくださいよ。俺たちは姫さんに頼まれて様子見?手助け?に来た…来ました?」
「「おおお!」」
「姫…ご無事で…!」「魔族の援軍とは!」「これで勝てる!」
言うほど魔族の援軍じゃないだろ。
一人と一匹だけだぞ?
そんな戦力じゃどうにもなんないでしょ。
っつーか『魔族が積極的に援軍を出した』ってなるといろいろ不味い。
まあ適当に誤魔化そう。
「とりあえずあいつらは一回引いたみたいだから…ちょっと偉い人の所に連れてってくれないか?できれば王と話がしたい」
「ハッ!」
その場で一番立場の高いらしいトルネル隊長さんとやらに付いて行く。
途中で何度か誰何されるかとおもったが、隊長さんが先触れを出してくれたみたいでスムーズに進めた。
そしてアカと一緒にポテポテと大人しくトルネル隊長に引っ付いて歩くこと5分。
お城の門が見えてきた。
俺はポテポテと歩き、アカはパタパタ飛ぶ。
結構目立っててみんなが見てくる。
建物から顔を出して手を振る人もいれば、隙間から覗いて慌てて引っ込んでいく人もいる。
お城の窓からも人が覗いてる。
やっぱ派手な登場の仕方したし気になるよな。
それにしても近かった。
お城から広くて近い。
今は戦場になってるからちょっとアレだけど、普段はいい感じの公園だったとおもう。
ああいうところをウチの領地にもほしい。
リヒタール領にはまあまあの公園あったけど、今の領地じゃただの広場しかない。
空き地はどんどん畑になっていってるからな…今の広場もぶっちゃけ店や工場が出来る予定だ。
うーむ、しかしこれからどんどん子供も増える予定だし、子供たちが遊べるブランコや滑り台くらいは欲しい。後は何が良いかな?ジャングルジムとか雲梯とか?
昭和のグルグル回る危ない遊具だって魔族のガキンチョの体力と防御力なら何の問題も…余計危ないだけかも。
あー、野球場やサッカー場を作ってもいいな。
水泳の出来るプールもいい。溜め池じゃ子供が危なすぎるしなあ。
それから競馬や競輪のようなギャンブルが出来るところも…それはまあもうちょっと街が発展してからでいいか。今の殆ど娯楽の無いあいつらにいきなりギャンブルなんて強烈な娯楽を与えると中毒になって破産しそうだ。
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