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補給と防寒具

来た時と同じ道を通って帰った。

まあ空だから厳密に言うと道ではないが。


大魔王様のお城の上空に上がり、それから目印にしたのはヴェルケーロ鉱山だ。

アカはあの山を自分のものと認識しているので、ヴェルケーロ鉱山がどこにあるかわかるらしい。


残念ながら俺にはさっぱり分からん。

モクモクと煙を上げる火山以外はどれも同じ山に見えてしまうのだ。

一緒に来てなきゃ迷子になるところだった。


大魔王様にもらったスパルナのマントとやらは防寒効果もあるみたいで、往路ほど寒くはなかった。

全く寒くなかったかと言えば、まあ少し寒かったことには違いないがだいぶマシにはなったのだ。


「でも山越えをするならもっと服着るべきだろうな…アカは寒くないのか?」

「さむい?なんともないぞ!」


ふむ。

まあ寒くないならそれでいいが。

爬虫類は寒くなると動けなくなるというがドラゴンはまた別なのだろうか?

火を吹いたり氷を吹いたりするくらいだから、きっと別の生き物なのだろう。


そうじゃないと空飛んでる時やアイスブレスを吹いた時なんて寒くて動けなくなって墜落してしまう。

さすがにそんなことはないだろう…と信じたい。大丈夫だろたぶん。


「もうつくぞ」

「おー。なんか早いな」


良く知らないイケメンと二人 (と一匹)での旅はいろんな意味で疲れたが、気心の知れたドラゴンとならぼんやりと考え事をしていたらいつのまにやら時間が過ぎていたようだ。

おかげで体感ではずいぶん早く着いた。


「帰ったぞ」

「若、おかえりなさいませ。シュゲイム殿はどうなされました?」

「取り急ぎ俺とアカだけで偵察に行くことになった。いずれ大魔王様の飛竜部隊も出撃するらしいが…マークス、ウチでも山越えに耐えられそうなのを順次出発させてくれ。」

「ハッ」

「数はそれほどいらんはずだ。あちらがどのような状況下ははっきりせんが、大っぴらに我らと事を構えようとするアホは…まあおらんだろう」


いないと信じたい。

エルトリッヒ公国の周囲がどうなってるかはハッキリ覚えてないし知らないが、頭のおかしな宗教狂い以外は魔族とそれほど事を起こしたいとは思わないはずだ。

そもそも『盟約』がある以上、大軍での侵攻なんかは出来ない。


天罰が下るからな。

嘗ては天罰で軍が集団で寝込んだり下痢になったり、それでもやろうとした国は天災が起こったりして大変なことになったらしい。最終的にはその国は無くなったと古文書に書いてあった。でもまあ古文書に書いてあることは嘘クセー話もいっぱいあるから何とも言えん。

地道に大魔王様が下剤盛ってたりしたら笑うけど。


とまあ、そういうわけで戦いになったとしても賊と見分けがつかないような規模での小競り合いが精々だ。


「もし若をつけ狙う賊が居ればどうなさいます」

「そりゃ逃げる。エルトリッヒ公国の生き残りやアリシャ姫たちには悪いが、俺も今死ぬわけにはいかんからな。」

「ようございます。それでは我らも準備しておきましょう」


マークスは満足そうに準備に取り掛かり始めた。

どうやらいい答えだったようだ。


さて、俺も自分の準備をしないと。

まずは追加の防寒具。

行きより高度の高いところを飛ぶことになる。

当然寒さも酷いものになるだろう。


毛布に耳あてに、手袋にマフラー。

上空は眩しかったり、下手すりゃ吹雪みたいになったりするかもしれんな。

ゴーグルか、無ければサングラスでいいんだが…ないか。

顔を覆えるようなものを用意しよう。耳やら鼻が凍傷になるってよく聞くし。

手足の先は…うーむ。靴下何枚も履くとか?

とりあえず適当に用意。


俺はアカにしがみついてれば大丈夫…とは思うけど怖い。

手綱や鞍が欲しい。そうすりゃ鞍に羽毛でもいっぱいつけて防寒にもなるのに。


鞍はアカが嫌がるから諦めて、防寒の続きだ。

焼いた石を布にくるんで保温する。温石という名前で昔からある即席のカイロだ。


燃料になりそうな薪や油も持っていこう。

補給物資はもらったけど、他に何が必要になるかわからんからな。

食料も追加でもうちょっと入れとこ。



俺がリヒタール領から連れてきている兵たちは、魔界と人間界の最前線のリヒタール領の中でもさらに選りすぐりの強さと忠誠心を持つ精兵たちだ。


装備は言うほどいい物がないが、素手でもそこらの魔物や人間に後れは取らない。

何か有るとしたら山越えで疲れたり風邪をひいたりだな。

そっちの対策はしっかりしてもらわないと。


「俺も無理をするつもりはないが、後続の兵たちにも無理をさせてはならん。食料や装備、防寒具の用意はしっかりするようにな」

「心得ております。若こそ決して無理はしないようにして下さい」

「分かってるよ」

「いいえ、分かっておりませぬ。若は普段は物わかりも良いのですが、こと自分の命については軽く扱っておられます。我々家臣一同、若の事を「いってくらあ!」若!まだ話の途中ですぞおおおお」


お説教が始まりそうだったのでサクッと出発。

アカに飛び乗ってビューンと飛び上がってもらった。

アカもマークスのお話が長いことは良く分かっている。俺が嫌がってるのも。


いやあ、得難い家臣だと思うよ。

言い辛いことをズバズバ言うってのは言う方も嫌だし疲れるのだ。

んで、(上司)にはそれを聞く義務がある。


だから大人しく聞こうとは思うんだけど、ね。


「アカ、目的地はあの山の向こうだぞ。疲れたら途中で降りて休憩しような」

「おー!」


鉱山のはるかに前方、山頂に雪の残る山脈を超える。

いやあ、あの姫や騎士たちは良くあの山越えたてこっちまで来たよ。

一体どういうルート通ったんだろうな?


というか、俺たちはあっちから敵が来るとは全く思っていなかったわけだが。

一国のお姫様が越えて来られるような楽ちんなルートがあるなら大変だ。

その気になればいつでも軍で侵攻できるって事だからな。

今は大魔王様が生きてるからある意味安心だけど…うーむ。防衛計画も立てないといけないなあ。

ファンタジーな世界なので〇〇の籠手のようなものを都合よく用意すれば問題ないと思いますが、すでにマントも貰ったし何でもそれで解決するのもどうかなーと。

炎龍の籠手やら鎧やらだとペットの生皮剥いだみたいにもなるし



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