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絶許

大魔王様とのお話は特に何事もなく終わった。

俺の発言を聞いてやや不機嫌な師匠以外は何事も問題はない。


いや、弱っている相手をフルボッコにするのは普通に一つの方針として考えておくべきだと思うんだけど…師匠にとっては絶対にやってはいけない事だったのだ。

まあ俺も利益はともかく道義的にはアカンとは思うけど。



「ではこちらへ来い。お前とアカの分の食事を用意してある。食事が終われば補給物資を受け取ってさっさと出立しろ」

「はい」

「騎士の方は話が長くなっても困る。会わずに出て行け」

「…はい。師匠、お願いします」

「おれは、ハラがへったぞ!」

「お主の好きな肉があるぞ」

「わーい!」


ドラゴンは何でも食べる。

人間より何でも食べるかもという感じだが、一番好きなのはやっぱり肉類だった。

勿論野菜も好きなのだが…魔物肉が大好きだ。血の滴るのが特にいいらしい。

俺らが頑張って血抜きしてるのを上げたのに、コイツは血抜きしてたら味が薄いとか言ってあんまり食べないのだ。


その点ではこの肉はあんまり上等ではなかったようだ。アカにとっては。

最初は飛びついて食べていたが、途中からは渋々と食べている。

俺?うめーよ!やっぱ高級な肉は脳にビンビン応えてくるな!


「おかわり!」

「おれはもういい…」


しょんぼりしてるアカ。

しょうがないからカバンから死にたてホヤホヤの魔物を取り出す。

途端に貪り喰う。


「うまいか?」

「うまい!」

「二人とも、たくさん食べて早く大きくなりなさい」

「「はーい」」


ガツガツ食った。

でも脂の多い肉は美味いけど量は食べられ…る!?若いって素敵!


「うめえ!」


溢れだす肉汁。

それでいて噛めば噛むほど濃厚に出てくる旨味、甘味。

脂がのっているが、下品じゃないのだ。だからいっぱい食べられる。これ何の肉なんだろ?


「あーうまかった。ご馳走様でした!」

「おれもうちょっとたべたいぞ」

「ふむ。お前のはカイトにもらえ」


お代わりをもらい、俺はもう腹いっぱいだがアカはまだ足りないという。

しょうがないからアカ用に置いておいた血抜きされていない狩りたてホヤホヤの魔猿を袋から出す。

血も滴る良い猿だ。


「わーい」

「たんと食えよ」


このクソ猿共は俺の野菜を盗み食いしにくるとんでもない野郎共だ。

トマトを作ればトマトを、キュウリを作ればキュウリを。



モンスターなのに領民を襲わずに野菜を食うのだ。

まあ領民襲ってきたらたまったもんじゃねえからまだマシなんだけど…丹精込めて作った野菜だって大切なんだぞ(憤怒

食い方もとんでもない。

トマトを一口齧ってはポイっと捨てて他のを食い、キュウリも真ん中だけ食ってポイポイ。

そんな食べ方である。

そら俺も領民もブチ切れ待ったなしよ。


そんなわけで猿を見かけたら総出で狩る。

魔法で、弓で。

遠距離攻撃しかないのは向こうも近寄ったらぶち殺されると良く分かってるからだ。

近寄る前に逃げるがその足が速い速い。


ぶち殺されるって分かってるなら野菜なんか食うなよと思うが…まあ猿だからね。

農作物見たら食べたくなるよね。だが許さん。


「猿はうまいのか?」

「いまいち!おとついたべたぶたのほうがよかったぞ!」

「そうか。まあ豚は今持ってないからまた捕まえたらやる」

「おー!」


やるとは言ったが実際には多分やらん。

アカが豚と言っているが、ワイルドボアだ。まあ大きなイノシシで、肉はとても美味いのだ。

きっちり血抜きして仕上げればサイコーだ。

でもこいつは血が滴ってるような肉のほうが好きなのだ。

だが俺らはわざわざ血抜きしないで不味くするのは嫌だからコイツにはやらん。



そうだな、養豚や養鶏…はニワトリがいないんだった。

前みたいに牛や馬を飼おう。

いや、前よりもっと飼おう。


食肉用にも農耕用にも、軍事用にも飼おう。そして出荷して儲けるのだ。

そういや牛や馬と言えばいっぱいくれるって話だったのにまだ届いてない。ぐぬぬ。

あとついでに豚もいっぱい頼みたいところだが、まあ畜舎がまだ出来てないからなあ。


リヒタール領にいた時に出来てたことがまだまだできていない。

まあ、まだ1年目の途中なのだ。仕方ないと言えば仕方ないが…


「くったくった!」

「終わったか。そろそろ行こうか」

「かえるのか?」

「お前大魔王様の話さっぱり聞いてなかっただろ……とりあえず一度帰って、それから俺とアカの二人で偵察に行こう。山を越えて…また寒そうだな。防寒具をもっと持っていかないと」

「おー」


食堂を出ると補給物資が山のように積まれていたのでそれを受け取り、ポイポイと袋の中へ。

アシュレイの袋は今や俺の物でいっぱいになってしまった。

出来るだけきれいにして返さないと、めっちゃ怒られそうだ。



ああ、いつかは再会できるのだろうか。

いつになれば…俺は彼女を取り戻せるのだろうか。

猿については割とガチな話です。

知り合いのブドウが採っては捨て食っては捨てされたそうで…ブチ切れてました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 猿は餌が豊富なら美味しいとこだけ一口食って捨てるからね
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