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突然の襲来

3章はじめました

アーク歴1498年 玖の月 下旬


リヒタール領



ドラゴンのアカをテイムしてから3ヶ月が経ち、もう冬に入っている。

テイムするまでは大きく見上げるような大きさだったが、テイムしたら柴犬サイズになった。

その柴犬ドラゴンのアカは鉱山に放置しているが、今の所特に問題もないみたいだ。


鉱山は冬には閉鎖する予定。

その間はあいつは町に連れて来るか、それとも鉱山に放置しておくか…一回ペットにしておいて外で放置飼いはどうなのだろうか。犬なら色々アウトであるがドラゴンならいいのか?


おっと、正しくは放置ではない。

鉱山付近で教育中なのだ。

火力と一般常識についての教育だが…どっちも上手くいってないようだ。


俺の言う事しか聞かないかと思ったが案外素直だ。

ロッソやゴンゾがエサを持っていくと素直に食うし、その食事もそんなに無茶な量も食べないから食費もそれなりで済む。よかった。

柴犬サイズの癖に毎日牛10頭とか食うようなら、そんな燃費の悪いドラゴンこそ『肉』になってもらうところだった。




折角テイムしたのに鉱山に放置はかわいそうだろうか?

だが、アカをもし領主館で飼ったとしよう。


ペットとしては可愛い。すばらしくかわいい。

可愛いし触り心地もとてもいいのだが、寝ぼけてたりゲップと同時にうっかり炎を出したりしたら町も農地も壊滅である。


一緒に寝てたりしたら俺も死んじゃうだろう。

ドラゴンの炎に耐えられるような野菜が有るだろうか?いや無い(反語


あるわけねえだろって話だ。そんなモン大体どうやって調理するんだ。

そんな野菜あるなら食うより防具に使うわ!


トマトやキュウリをぶら下げて戦うのだ。

炎も防げるし、いざとなれば食える。


ふむ、食える鎧か。

良いな!籠城戦に最適だ。

食えば食うほど防御力は下がるし日持ちも悪いけど…っていかん。



アホなこと考えてる場合じゃない。

今は割と危急の時だったのだ。


「それで…“相手”の様子は?」

「ハッ。人間を主体として歩兵が50を超える程度、馬車が1、騎兵が分かっているだけで10ほどです。」

「思ったより少ない。余裕…だといいな」



山を越えて遠征してきた部隊がいるらしい。


それも商隊などではなく軍人のようだ。

その軍の目的が偵察か、交渉か、それとも武力行使なのかはまだ不明である。


ヴェルケーロ地方は山しかないド田舎として魔族の中では有名だ。

貴族どころか一般市民までも、ヴェルケーロ地方から来たと言うと『あんな遠いところからよく…』という反応をするらしい。

そんなに遠くないぞ。徒歩1か月くらいだぞ。

でも俺もこっちに来るまでそんなところあったっけ?って認識だった。くそう。


そこに鉱山があることも一部の人にしか知られておらず。

まだまだ平野部にも開拓の余地がある魔界から見れば、まあ鉱山がなければどうしようもない土地である。有ってもあんまりどうにもならん土地かも…そんなことないよな?


元々のヴェルケーロと言えば、農作物の収穫も少ないしこれと言った特産物もない。鉱山はあるけどロクに使われてない。その割に土着のモンスターも割と強いのが多くて…まあどうしようかと持て余しているところに勅命で俺がスポッと放り込まれたという形だ。


リヒタール領という人間界と隣接しているものの、世界でも屈指の恵まれた土地からいきなり誰も要らない超ド田舎への左遷である。俺の事を憐れむ者もいれば、蔑む者もいる。


まあ俺としては田舎でのんびり力を蓄えるのも悪くないと思っているし、大魔王様もそう考えていたみたいだ。

それに実はこの辺りにはダンジョンがあるはず。ゲームでも出てきた。

これは俺の記憶を見た大魔王様も知っているはずで…それも含めてここへ送られた。たぶん。





―――ここまではこちら側の視点での話だ。



一度、我々魔族と対立している人間側の視点から見てみよう。

リヒタール領と言えば歴戦の強兵(つはもの)が支配する恐ろしい土地である。

当然指揮官である父は人間界にまで知れ渡る暴れん坊で…その息子が突然ヴェルケーロ山脈に配置された。

ここは最前線とは言い辛いが、実はエルルスローニ連邦という小国家群と山を隔てて隣接しているのだ。つまり山を隔てたすぐ隣に鬼のような奴らが引っ越してきたわけである。

鬼のような、というか鬼そのものだけどね。



まあ山を隔てて、と聞くとすぐ近くかと思うがそうでもない。

山脈の頂上付近には万年雪があり、実に風光明媚な風景である。

この辺りは冬場は酷い雪になるが、夏場はそこそこ温暖な気候なのでそれだけ高い山だという事である。


そのくらい高度が高い山々に隔たれているのだ。

だからまあ、あっち側から山越えをして人が来るなんて思ってなかったんだけど。


「しかし、あの山を越えて来るとはなあ」

「何か特殊な方法でも獲得したのでしょうか」

「魔族なら鳥人族のみで構成するなんてのもあるかもしれんがな。飛竜部隊とか…ああ、人族の天馬部隊はいなかったのだろう?」

「はい。通常の馬だったようです」

「どうやったんだろうな。トンネルでも掘ったのかなあ…余計な事しやがってクソ」


こちらはたまたま遠出していた猟師のグレンが見かけたという状態だ。

グレンも軽く見ただけで大体の数は分かるが詳細な数は不明。

こうなると…


「しょうがない。アカも呼びつけるか。折角大きくなってきた街を潰されるわけにもいかん」

「そうですな。我らの総数なら負けることはないと思いますが…」


ゲームだと人間の通常兵をすべての基準となる100として、魔族兵は300ほどの戦力だ。

つまり3倍の能力があるのだ。

ちなみにドラゴンは雑魚で5000、成龍なら10万くらいという計算になる。

まあその代わり当然のように人間の方が数も多いし増える速度も速い。

魔族兵は強いが、替えが効かないのだ。



俺がいつの間にやらテイムしたアカはまだまだ子供なので3000くらいか?

でもそこらの人を30人集めたところでドラゴンを倒せるとは思えないのだが…まあその辺はゲームのシステム上の数字だから。



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