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調査

果実がどうこうという話をした次の回の行商では早速苗と種が届いていた。


タイムリーすぎやろと思いつつ早速植林。

苗も種も、魔力をたっぷり吸わせて一気に大きくなった。

まあでも果実を付けて木を増やして…ってするにはもうちょっと時間かかりそうだな。


そしてその夜は作戦会議の時間になった。

今日の参加者はマークスとマリアと…今日はどっち?


「今日は?ウロン?カラッゾ?」

「私です。カラッゾです」


するりと顔をなでるとどことなくマリアに似たイケメンが。

驚くマークスと俺。


「お、おお…凄いな」

「信じられませぬな…」


マークスとはリヒタールを去る時に面会させていたからカラッゾの顔は知っていたが…

うーむ。それにしても凄い。それに何かと便利だ。


「その変装って俺でも出来るようになるだろうか?」

「まあ無理ですね。坊ちゃんがこれから一生を費やしてどうにか半人前になるという所でしょう。こういうのにも才能が有るのです。当家でも顔を変える業を持っているのはホンの数名です」

「マリアは?出来るの?」

「出来ません。私にはその方面の才能は無かったようです」

「そうか…」


少し残念だがまあ仕方ない。

本題はそこじゃないからな。


「それで、新しい情報があるのだろう?」

「はい。まずはあの日、起こった事の整理です。」

「おう。確か親父と伯父上が珍しく組み手をしたと」

「如何にも。その前後の事ですが…」



カラッゾが軽くまとめて話してくれた。


あの日は書類仕事がたまっていて、伯父上が嫌になって親父に手伝わせた。

仕事を進めているうちに親父もいい加減嫌になって、ちょっとストレス発散しようぜって事になって二人で訓練場で大暴れしたらしい。


言うて武器は木刀を使った程度であるが、まあ訓練場の木刀は一本も残らずバキバキになったんだと。んで、木刀が無くなったから素手での組み打ちになったと。

まあ二人とも立派な暴れっぷりで、その時は特に体調が悪そうには見えなかったと。


んで、上機嫌で侍女の持ってきた酒をパッカパッカ飲んで飯を食い、それから仲良く風呂に入って部屋に戻り、休憩していたら急に体調が悪くなってそのまま死んだという話だ。

うーむ。


「木刀で殴り合いと聞けば死んでもおかしくはないが、双方がほぼ同時に死ぬなんてこと普通じゃありえんよなあ?」

「ちょっと聞いたことないですね。真剣ならわかりますが」

「だよな。じゃあ、普通に考えると侍女の持ってきた酒や飯がおかしいと思うが」

「酒の残っていた成分は当然城で調べたはずです。食事はほぼ残っていなかったのでわかりかねますが、料理人はいつもと変りなかったと。つまりどちらも怪しい所がなかった事になっています」

「まあそこは逆に怪しいよな。調べた奴は誰でどんな奴?それをチェックした奴は?って話だ。それと後は…風呂に細工したとかな?」

「風呂ですか?」

「ああ。」


密室密閉の風呂だ。

風呂の中で何らかのガスが出たという事も考えられる。

でもまあそれも加減は難しいだろう。

異臭がすれば気付くし、風呂場でぶっ倒れたわけじゃなく普通に風呂からあがってノンビリしててそれから倒れたって事だし…うーむ。


「休憩をしている時はどうだったのだろうな」

「さて…格別普段と変わりなかったと聞いておりますが…」


分からんな。

正直、毒で殺すだけならどのタイミングでも大丈夫だと思う。

木刀に毒を塗っても、酒に毒を混ぜても良いし、風呂でガスを撒いても良いだろう。

風呂から出て休憩していたという事だが、その時も飲まず食わずってことは無いだろうし…分からんなあ。


問題は二人ほぼ同時に亡くなったという所にある。

つい、同じ行動をしたときにと思いがちだが別にそうでも無いかもしれん。

偶々ほぼ同時だっただけで…そう考えると益々分からなくなるな。


「うーむ分からん。ずっと前から毒を仕込まれててたまたまその時に死んだだけかもしれん。」

「偶然にしてはおかしいとも思いますが。それまでに特に体調が悪そうな素振りも無かったわけですし」

「確かにあの格好でウロウロしているのに親父が風邪ひいたところを見たことがない。」


何とかは風邪をひかないというが、親父が風邪をひいて寝込んだところを見たことない気がする。

でも親父はハサミは使えていたから大丈夫か?いや、そうでもないか。


「それで新しい情報になるのですが」

「うん」

「毒見はされていましたが、毒見役の者たちは事件後に右大臣の元で雇われていると」

「…ほう?」

「メイドたちは王城で女王様に仕えていますが、毒見役だけは右大臣の元に移動したとの事です」

「そいつらは父上と伯父上に出された酒や料理を食べたわけだろう?」

「そのようです。詳細はまだ調査している所ですが」


ふむ。

毒見役がちゃんと食べてるなら大丈夫、毒じゃないよ!って事だがまあ必ずしもそうでも無い。

遅効性の毒なんてのもあるし…でもまあそいつらがいま元気なら…うーん。

量を食べないと効かない毒はあるだろうけど、そんなので二人纏めてコロッと死ぬだろうか?

うーむ?


「まあすまんが引き続き調査を頼む」

「ハッ!」


何にしろ今の所、結論は出ない。

もうしばらく調査を続けてもらうしかないのかもしれない。


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