新領地に到着
沢山の誤字報告有難う御座います。
一応2回見直していますが、それでも誤字いっぱいでしたね…
アーク歴1498年 弐の月
リヒタール領 領主館
移住準備は無事に終わった。終わってしまった。
俺について行きたいとの希望者は何やかんやで500名を超え…厳正な審査の結果、100名が一緒に移動することになった。
旅は徒歩だと約30日近くかかると言うのに一緒に来てくれるのだ。
徒歩で一日歩くとおおよそ30~40km程度進める。
時速がおおよそ4㎞程度で、休憩を何度か挟みつつ移動しておおよそ一日30㎞。
7時間以上歩いている想定という恐ろしい計算になるのだ。
それを30日…大体1000㎞ほど離れてる計算になるな。
ついてきてくれる皆にはありがたいことこの上ない。
ちなみに馬は何匹か連れ出せたが、牛と豚はダメだった。さすがに毎日の移動が難しいって事なんだけどさあ。こいつら俺の稼いだ金で買って育てたわけじゃん?その辺どうなのよ(怒
金と言えば資金だ。
大魔王様は俺に領地を移動しろと言ったらそれっきりで費用なんかは全く面倒を見てくれない。
スーパー放置プレイだったのだ。
だが、俺は放置されればされるほど金も経験値もたまって強く…なんねえよ。
放置してる間に金が稼げるわけないだろうが。現実を見ろ!
領内のモノは取り上げて売り払うわけにもいかない。
というわけで親父の貯蓄は?と思ったらほとんどない。何やってんだあのクソ親父(怒
しょうがないので親父の正装である裸マントセット一式や重くて持てそうにない親父の武具なんかをポイポイ売り払う。先祖伝来のは…まあ置いとくか。あんま使わなさそうだけど。
売った金は軽く1億zを超えるほどになったが、そこから移住にかかる費用からあっちに移動してから開墾する費用やらを捻出しないといけない。また金の残高に青い顔をする日々が来るのだ。
お金は兎も角、旅の道のりは順調だった。
途中でアークトゥルス城に寄り、伯母ちゃんとアフェリスに最後の別れをして…それから大魔王様の居城へも挨拶に寄る。そこからはどんどん奥へ奥へと進む。
大魔王様がくれるって言ってた牛馬は後で送るって言われた。
まあ実際一緒に連れて行けないんだよな。
そしてまた置いてきた豚さんたちを思い出す。
ああ、うちの領の豚ちゃん達…トンカツ…ベーコン…角煮…チャーシュー…(名前
途中からは道はかろうじてあるものの、点在する町はどんどんと小さくなり、最後は村と言っても良いのかというような休憩地点へ。
そして道中の脱落者も無く、無事に予定地であるヴェルケーロに着いた頃には参の月になっていた。
道中、雪の日も有ったりして思ったより時間がかかった。
振り返ると短いが30日も旅をすれば大変なのだ。
だが、それにしても冬の野営ってのは最悪だ。
寒いし途中で腹も壊すし寝れないし。
雪を踏んで足が濡れて寒くて寒くて最悪だった。
冬だから虫は少なかったけど、暇を見つけるとマリラエール師匠は特訓をさせようとするし。
あー、やっと着いた。疲れたわ。
え?訓練?今ようやくついたところでヘロヘロで…関係ないの?まじで?ちょ、ちょま…アッー!
「……酷い目に合った」
「大丈夫ですか?坊ちゃま」
「だからマリア、俺はもう当主様だって…まあいいや」
ようやく目的地であるヴェルケーロにある領主館に着いたわけで。
元々ここに住んでいるのは1000人ほどの開拓民か屯田兵かって逞しい人たちだが、そこに俺たちが100人加わるわけだ。古参と新人、どこの世界でも揉めること間違いなしである。
そこで舐められてはいけない。
威厳を…と思うのも束の間、マリラエール師匠にそんな言い訳も何も通用しない。
長い髪を後ろに束ね、キリッとした表情もいい…なんて思う暇もなくボッコボコにされてしまった。
だから俺は剣なんて得意じゃないのに。
ようやくたどり着いたヴェルケーロ村。
村の様子は…まあ寂れてる。
村人たちもどう見ても意気軒高という感じではない。
疲れ切った老人と目つきの悪い若者たちって感じだ。
前任者などいないので着任の挨拶も無し。
村人に到着を報せ、とりあえず領主館へ。
その領主館は現在空き家だ。
まあ住人がいても困るけど。
だーれもいないところに入り、マリア達を筆頭に掃除を始めた。
俺も適当に手伝いをしながらマークスと大声で相談する。
「明日か明後日かでいい。領民を集められるだけ集めてくれ!」
「挨拶をなさるので?」
「まあ大体そうだ。俺たちは少数派だからな…何につけても反抗されても困る。向こうもご挨拶したいってのもあるだろう」
「はあ…」
「まあ段取りは任せた。飲み食いの用意もしておけよ」
「ハッ」
それにしても汚い領主館だ。
まるで何年も使ってなかったような…まあ使ってなかったんだろうな。
その割に作り自体はしっかりしている。
おかげで抜けた壁を塞いだり、蜘蛛の巣を取ったりするくらいしかやることがない。
天井が雨漏りするかもしれないけどパッと見て大きな穴がないから漏れて来た時にまた直せばいいか。
寝床は今まで野宿がメインだったのだ。どうという事はない。
領内は1日歩けば1か所村があるという感じで、飛び飛びに小さな村があった。
ここから先にもそこそこの村はたぶんあるのだろうが…あるのかな?もう山しか見えない。
救いなのは住人が魔族なので、鍛えなくてもそこそこ戦える事。
だからモンスターによる被害があまりない事だ。
そして逆に問題点は、その腕っぷし自慢の魔族にどうやって言う事を聞かせるか、だ。
おそらくだが、高等な教育を受けた者などほとんどいないだろうし…子供にも仕事をさせて子供も教育を受けられないという貧困ループの縮図のようなものが見られるだろう。
そして町が大きくなると貧富の格差からの犯罪、治安の悪化が起こる。
まあ小さい村のうちは問題ないと思いたいが…実際はどうだろうな。
領民1100人からのスタートです。
領主館の建物が良いのは偉い人(大魔王)肝入りの事業だったから。
どこも似たような事が起こるって事ですね
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