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親父

「ところで、何で…はおかしいですね。どうやってここに?」


勝利に喜ぶ一同。

ワイワイと語り合う中、俺は聞きたいことを聞いてみた。

こいつら塔の中で封印されてたんじゃないか。そもそも死んでいたはずなのに?


「101層攻略した後、虹色の珠を飲ませたろう」

「ああ、あのゲロまずかった奴…」

「アレには塔と同じような作りになっている。アレを飲んだ者の魔力が広がる空間には疑似的に塔の階層と同じようなものが発生されるのだ。つまり、今ここがその状態という事だな。」


今ここが、塔と同様になっている。

だから大魔王様たちが援軍に来れた?という事になるが、魔力が溢れる…ああ。


「俺が雲を出したからですか?」

「そうだ」


俺の魔力がそんなにこの空間にあるかと言えば…すごくある。むしろ溢れてます。

雲はすでに上空というよりはすぐそこにある。


水分を含みまくった雲は雷雲と化し、航空機も危なっかしいからゴンゾが飛ばさなくなったほどだ。

高さもものすごく低い。小山くらいというか…地上から100mもない。

そんな低い位置まで雲が降りてきているのだ。

少しコントロールをほどけば、土砂降りの雨が降るだろう。


「付け加えれば、カイト君が雲を出さなくても大丈夫。戦って魔法を使ってダメージを受けて回復して。そこら中に血液や魔力が溢れる状況になればそれで大丈夫だったはずさ」

「ほーん…?」


つまり、それを先に言っておいてくれれば…俺が盛大に魔力の無駄遣いをすれば強力な助っ人を、いつでも召喚できた。という事になる。恐ろしいな。

まあどのみち雲を出すのに近いことをするようになったと思うが。


「まあいいか。助太刀助かりました。親父もありがと。ベロザを喪うところだった」

「有難うございますだ」

「良いという事よ。アムルタートもお主を気に入っていたようだ。さあ、使うがよい」


親父は装備していたアムルタートを外してベロザに渡す。

恭しく受け取るベロザ。だが待ってほしい。


所有権は未だ俺にあるはずなのではないか。もしくはこれを俺にくれた人族の英雄だ。

いつの間にかオヤジの物になって、王が配下に下賜するようにベロザが恭しく受け取っている。

おかしいじゃないの?


釈然としない思いはあるが、まあ親父のやることだ。

仕方ないかと思い、前線にいるアシュレイたちと倒れているベリオロスの元へと移動する。


「よう、生きてるか」

『…俺はこの世界で、成り上がってやろうと思ってたんだ』

「ああ…そうみたいだな」

『元の世界の、知識を、使えば…クソ!!なんで、なんでこうなった…お前は…憎い…グッ』

「お前が間違ったとは思わない…俺はツイてたんだ。家族に恵まれたんだな」

『妬ましい…最後に……お前も!』


ベリオロスから何かが流れ込もうとする。

だが、隣にいるアシュレイに手を握られるとその何かは跳ね返り、またベリオロスに戻っていった。


『クソッタレ…』


最後に一言いうとベリオロスは灰になって消えていった。

元の名も知らない、一人の転生者は最後に俺に恨み言を言って死んだのだ。


「…哀れなことよ」

「俺だって…俺だって…親父が好きにさせてくれたからこうなっていますが…」


俺だって一歩間違えれば幽閉されたり、殺されたりしていたかもしれない。

親父が好き勝手させてくれたから、今の俺があるのだ。

そう思えばこの大雑把で適当感あふれる親父に感謝すべきなのだ。


「親父…ありがとう」

「なにを言う。息子のピンチを助けるのは当たり前のことだ」

「そうじゃない。俺は…俺はここじゃない、別の所から来たんだ。子供のころから変な事ばっかりやってたと思う。なのに…受け止めてくれて…」

「馬鹿なことを。お前は儂の息子だ。自慢すべき息子だ」


ギュッと抱きしめられる。

大きな親父とやっぱり小柄な俺。


いつまで経っても大人と子供のような身長差だ。

汗臭い、だが嫌な気分じゃない。

親父の匂いだった。

呪いを弾いたのはアシュレイが大魔王様に貰ったお守りのおかげ。

アレがなければ今度はカイトが取り憑かれてカイトデーアになっていました。

でも親父の背中で終わるのでした。


という訳で一応完結。

明日17時エピローグ投稿予定です

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。途中ほぼ終盤から読み始めましたがよかったです。 エピローグ楽しみにしてます。
[一言] 最後もアシュレイに護られるの図 カイトの絶頂期はアシュレイを復活させた時だった?
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