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神滅

「さあ、総攻撃が始まるぞ」


という親父の声に誘われ、前戦を見るとアシュレイたちのさらに前にアルスと大魔王様とロッソとマークスと師匠に叔父上に母上に…他にも、名前も知らない塔の英雄たちがそこに集結していた。

そこでアルスが全軍に語り掛ける。


「さあ、我と共に神と戦わんとする英雄たちよ!今こそ支配から抜け出す時!世界を我らの手に取り戻すのだ!」

「「おおおおお!」」

「塔の英雄たちよ!この1000年の修行の日々を活かすときは今ぞ!我に続け!」


アルスが皆に語り掛けると親父たちに、それに俺たちに強烈なバフ(強化魔法)が掛かったと体感できる。

それに大魔王様が先陣を切って突き進む。その姿を見てまた力が漲るのが分かる。

ハッキリとわかるほどすごいバフだ。


「うおおおお!」


俺の元にも強烈な力が流れてきた。

その力を振るいたい欲求にかられる。

すぐに飛び出してしまいたいほどだ。でも我慢しなきゃ


「全く、いつまで経っても子供のような…寄越せ!」

「あっ、ちょ!」


ウズウズしているのがバレたのか、師匠が手を重ねてくる。

いつの間にか背も追いつき、追い越したのか。

髪が…いい匂いだ。

いかんいかん。こんな時なのに。全く。


俺から制御を奪った師匠は散々にバフのかかりまくった魔力を全開で放出する。

その力の向かう先は雲だ。


空に浮かぶ雨雲はドンドンと厚みを増し、地平線を覆った。今や世界は完全に夜になった。

暗闇の世界が訪れると、さらにベリオロスの力が弱まったのが分かる。

光の兵たちの圧力も弱まる。

一方のこちらの兵の士気は言うまでもなく最高潮だ。


危ない所で一騎当千の者共が援軍に来たのだ。

その実力は見ればわかる。

彼らの振るう槍の一振りで光の兵は何十と消し飛び、剣を振れば巨人の触手も本体もズパズパと斬れる。

アシュレイやグロードとほぼ同じクラスの武人が突然何人も出現したのだ。


年寄りの者たちには知っている顔もいるだろう。

魔族の中には大魔王様を見て思わず伏せる者も、涙を流す者もいる。

アルスの光の剣を見て人族の兵も騒めいているのが分かる。


アシュレイとグロードの二人で戦った時は明らかに相手の勢いの方が強かった。

だが、現代トップクラスの二人と同ランクの戦士たちが一度に何十人も襲い掛かっているのだ。


「行け!カイト!」

「はい!」


おっと、俺も参加せねば!こんな祭りは二度とないぞ!


「どっせえええい!」


魔力を込めて爪切り短剣で斬る。

あんなに手に負えなかった装甲はサクリと斬れ、再生力もかなり弱まっている。

ハッキリと手ごたえがある。

ベリオロスはもはやリリーに見てもらわなくてもわかる程の弱体化をしているのだ。


『ガ、ア…ゴアアアアアア!』


だが、奴もタダではやられない。

ボコボコにされ、このままではまずいと分かったのだろう。

起死回生を狙って戦士たちが集まった所に巨大なブレスを吐く。

オマケに後ろは兵たちがいる。逃げるわけにもいかん。


「やらせるかよおおおお!!!」


俺は前に出て防ぐ。

障壁を全開で展開し、親父の盾と爪切り短剣でブレスを受ける。


『ゴオオオオオ!』

「がああああ!こん…の!」


熱い。

まさに光の奔流だ。

親父の盾と爪切り短剣を構え、そこに魔力を流すと簡易障壁が出来る。

それで受け止めているわけだが…ぐぬぬぬ!


『―――!!!!』

「ぐぬ…どらあああ!」


押し勝った。

特大ブレスは無事に俺が防ぎ切ったのだ。

当然、その隙を見逃すような甘い者たちは居ない。


「これで!」

「終わりだ!」


そして最後にはアルスと大魔王様が両側から攻撃。

半ば以上切断された胴はもはや回復しそうにない。


「レイジング・ゲイザー!」


アシュレイがドガーン!と大技を決めて胴部を切断。

だが頭部がまだ不穏な気配を発しようとしている。


『オレヲ…拒絶スル世界ナド…』

「ベリオロス!アイツ戻ったのか!」

『ホロ…ベ…』

「させるか!」


さっきまでブレスを防いでいた俺の方に倒れ込んでくる頭部。

俺がアイツに止めを刺す。


決意を込めて進む。

マジックバッグの中の『俺はこの時のためにあるんだ』と言わんばかりに自己主張する武器、『神殺しのマインゴーシュ』を装備して…


「貫けぇぇぇ!」

『グオオオオオ!』


倒れ込んでくる巨人の頭部、その額からマインゴーシュを突き刺した。

人間で言うと前頭骨を突き破って下垂体、そして延髄まで貫いて向こう側に出た。

…振り返っても、もう再生するようには見えない。

ついに俺たちは神を打倒したのだ。



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