ラストバトル②
「小型の相手を頼む!大型には手を出すなよ!」
「承知しております…来るぞ!隊列を乱すな!」
「飛竜隊!行くぞ!」
ベリオロスが生み出した光の巨人ならぬ光の小人…?
いや、大きさは普通の人間サイズ。
やや背が大きい目だが、2mもあるまい。巨人族と比べれば可愛いものだ。
俺と比べれば?ああん???
その光の兵たちは続々と産み出され、雪崩のようにこちらに向かってくる。
第一軍の将であるシュゲイムが防備を固め、そして飛竜隊を率いるギザルムが出撃する。
魔法部隊はさっき魔力を使いすぎてへばっているのばっかりだ。
でも雲の維持のために必要だからがんばれ、もっとがんばれ。
どちらにしろもはや遠距離攻撃のオプションは魔法より火薬を使った物理攻撃に主体を置くようになっている。
俺が何も言わなくてもゴンゾが指示を出す。
「砲撃開始!」
「砲撃!砲撃開始!」
ゴンゾの野太い声は喊声の中でも響き渡る。
途端に『ドオオン!』『ドゴオオン!』と大きな音を何発も発しながら大砲が飛んでいく。
着弾地点にいた光の兵は当然吹き飛ぶ。そしてそこから爆発。
周囲に死をまき散らしながら砲撃は次から次へと続く。
だが、当然ながら敵の軍団はこの程度では止まらない。
「来たぞ!盾を構え!槍を突き出せ!」
大砲による砲撃、銃に、弓矢による遠距離攻撃は確かに有効だ。
光の兵隊はそれほど防御力は高くないし、動きもそれほど早くないように見える。攻撃力も…盾を持つ兵を圧倒するほどではない。
鍛え上げられた将なら楽々勝てる。
だが何より問題は数だ。
接近戦に移るまでに何千と削った。
大砲に、そして鹵獲したガトリングガンにかなり削られていたはずだがその上でなお、何千の弓、何百という数のマスケット銃、さらにそれと同程度の数の後送式のライフル銃に撃たれたのだ。
こちらに来るには川を超え、何重にも掘った塹壕を、空堀を超えてくる必要があるがそんな物をモノともしないほどの数だ。
攻めに来たはずが何時の間にやら攻められる側になっている。
また防戦一方だ。
「またこの感じか、クソっ」
「ユグドラシル防衛を思い出します」
両手を上げる俺に話しかけるのはマイヤ君だ。
かつて、ユグドラシル防衛の時に俺と戦ったマイヤ・メイヤ・カイヤの3人もこの戦いに参戦している。
というかあんまり意識していなかったがエルフたちも沢山援軍に来てくれているのだ。
そう思ってありがとうと言うとキョトンとした顔で『我が国の王が出征されるのだから当然です』と返された。いつの間にか俺はユグドラシルの王にもなっていたのだ。もう訳わからん。
「…そうだな。あの時と同じだ。まるでダンジョンからあふれたモンスターのようだ。あの光の兵も自我のない操り人形のように見える」
「仲間が殺されても怯まないところも同じです」
「全くだ。嫌なことだな」
エルフたちもあれから随分鍛えたようだ。
メイヤとカイヤは前線にいるが、彼らの放つ矢はうなりを上げ、風を纏って薙ぎ払いながら進む。
モーゼの様に敵兵を割り、岩にぶつかっても岩を貫通してどこまでも飛んでいくのだ。
「何じゃあの威力は」
「カイト様のお姿を見て憧れて特訓しました」
「特訓って…」
特訓にもほどがあるだろうと言えばいいか、それともバンザイ野郎のどこに憧れるんだと言えばいいか。
とんでもない戦力が居たもんだ。正直助かる。
「では我らも参ります」
「頼む」
今は一人でも戦力が欲しい。一人戦力が増えれば、2人の戦死者が減るだろう。
コチラの執筆、予約投稿が終わったので短編をサクッと書きました。
40代から始める異世界RTA
https://ncode.syosetu.com/n7620ie/
良ければ読んでみてください。
ドラ〇エ3のRTAをぼんやり見ていて思いついたものです。