表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
375/391

教都包囲

戦いは終わり、後始末も終わった。


戦死者と重傷者を送り返す。送り返すための部隊も必要になる。

そうして残り半分ほどになってしまった手勢を率い、そのまま進軍する。

言うて5万が2万になったくらいだ。一般的にはまだまだ大軍である。


魔族主体の軍なのでかなりの精鋭揃いという事になる。

普通に考えれば一都市を攻略するのには十分だ。


先の戦場から、教都の城壁まではロクに戦闘にならなかった。

メラク山脈の西回りで侵攻しているアシュレイたちとはまだ出会えない。

俺たちは戦闘とその後始末で3日ほど時間を食ったので、アシュレイたちは先に到着して教都を包囲、或いは攻撃しているかと思ったがまだのようだ。


そう思っているとマリアのところに誰か来た。

連絡隊員だろう。こそこそと話す二人に話しかける。


「あっちも激戦だったのか?」

「手の者によると、マーイョリスで籠城戦をしているようです。彼方のほうが遠回りだという事もあります」

「そうか。距離的にはアッチの方が遠いしなあ…」


地図を広げながら言う。

マリアの配下の者は畏まっている。名前を聞くと聞いたことがある気がする。ヴェルケーロの学校出身のやつじゃないかな?聞いてみるとやっぱりそうだって。

危ないことすんなよ?なんて言いながら、ぺこりと頭を下げて去っていくところを見送った。


それにしても…飛行機でなくとも、トラックやバスがあったらもっと早いと思うが、この世界だといくら強者でも行軍の時は遅いものに足を合わせる。つまりは徒歩と大差ないスピードだ。

例外としては飛竜や天馬などの航空部隊だ。あんまり早く動かすと飛竜隊は寒いところとかじゃ急に元気なくなるからなあ。ヴェルケーロ牧場なんて冬場は大きなお部屋に暖房付けてゴロゴロ食っちゃ寝させてるだけだった。


それはそうと、徒歩の行軍に飛竜は付き合わせるわけにはいかない。

仕方なくのんびり歩いているが空を飛べるアカなんて付き合って同じ速度で進むのがアホらしいようだ。あっちにフラフラこっちにフラフラして危なっかしい。

軍を見れば火球を撃ち込むのが楽しいみたいで、歩くのが退屈になれば空を飛んで適当に見つけた敵軍やモンスターにポンポン火を撃っている。モンスターは腹減ってたら捕まえて食っているが。

間違ってこっちに撃ち込んでこないか変な心配をしなければならない。


もしアカの火球が撃ち込まれたら…運よく俺やリリーなどがすぐそこにいればいいが、そうじゃない場合はたいてい火の海になって大惨事になるだろう。うーむ。

むかし、ヴェルケーロにいた時代にこいつが寝ぼけてゲップしたら工場丸焼けになるなと思ったが、戦場に来ても似たような心配をすることになるとは…


「籠城戦の進捗はわかるか?」

「優勢に進めてはいるようです。昨日の情報ですと、もう少しで落城かと」

「そうか。」

「あちらは各個撃破を狙ったのでしょうか?西側は籠城で時間を稼いでいる間に全軍を持って野戦にて我々を打ち倒し、返す刀でアシュレイ様たちを…という作戦だったのでは」

「そうかもしれん。まあ、返り討ちにしてしまったわけだが…」


恐らくはシュゲイムの言うように、各個撃破を狙ったのだろうと思う。

かなりの精鋭部隊が必死の形相で襲ってきていた。

それをほぼ破壊したわけだが…


だからって教都内部にはまだまだ稼働している工場もあるだろうし、防衛設備も作ってあるだろう。

それもバリスタのような旧型の物から長距離用の狙撃銃や対物ライフル、対空砲も沢山あると思わない方がおかしいのだ。

それにナパーム弾も使ってきた。

他にどんな爆弾があるかは俺にも分からん。核は無いと信じたいが…


「とりあえず包囲しよう。何者も逃がすな…と言いたいが、身元を改めて問題なさそうなら逃がしてもいい」

「ハッ」

「身元確認には帝国やタラモルの者を使うように」

「畏まりました」


一般市民や農民が逃げるならそれでもいい。目標は上層部だけだ。

とはいえ、今更逃げ出すようなのがあそこに残っているとは思いづらいが…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ