国境での戦い②
この時戦ったのは教国最強の機工兵団だった、というのは戦いの後で聞いた話だ。
戦っている最中はそんなの気にする暇がない。
やけに動きが速いし、射撃も正確だ。
格闘戦においても相手の兵は魔族兵とほぼ互角か一部はそれ以上。
勿論将も強い。
コチラの武将と大差ないほどの強さ。
こちらも俺のバフとアチラからのデバフが釣り合った状態なので通常の力を発揮できるとは思うのだが。
地上の軍と交戦している中、ゴンゾが呼んだウチの航空部隊は無事に迎撃に来た。
それもかなりの大編隊だ。
大編隊の航空部隊ってこう…大変態みたいで、パンイチかもしくはパンゼロのかなり頭のおかしいヒトがいっぱい飛んでくるみたいだが…ええい、今はそれはいいんだ。
敵機は当初100くらいかと思ったがドンドンと増えてくる。
こちらはエース級の飛竜とアカが頑張っているものの、総数ではかなり劣る。
アカを含めて上空の戦いは互角よりやや劣勢。
そこにお互い増援が加わってどうなるかと言うところだが。
飛行機部隊の性能は…正直言って少し負けているというところだ。
飛竜も竜騎士も魔力切れがあるので…厳しいな
ドゴオオン!
「おわっと」
空に気を取られているとすぐ近くに弾丸が撃ち込まれた。
一撃でウオータードームの障壁は突き破られるほどの破壊力だ。
障壁を突き破り、さらに盾を構えた兵がぶっ飛ばされている。
あのくらいじゃタフな巨人族は死にはしないだろうが…大丈夫か?威力もすごいな。
戦車からの一撃かと思ったがそうでもない。アレは…
「あれ列車砲だ!ゴンゾ!アレ!アレが列車砲だぞ!」
「ほー、あれが…遠くて詳しく見えませぬが、なかなか良さそうですな」
「だよな!口径もかなり大きそうだぞ」
「そうですな。あの距離からここまで飛ばすとは…我らもやはり開発すべきだったのでは」
「そーだよな。もったいない事したかな」
開発は大変だし攻めにはあんまり向かないと思うけど悪くは無いと思うんだよな!
コロコロする大砲と比べたら随分移動速度も速いだろうし、何ならついでに兵も補給物資も運べる。
ロマンの塊のような兵器だ。
なんてゴンゾと話していると…
「お二人とも!あれは敵軍ですぞ!」
「アッハイ」「少々ええじゃろが…」
俺氏、無事シュゲイムに怒られる。
「大体カイト様は緊張感が「あ、どけ!不滅ナル者!ウオーターシールド!」なっ!」
列車砲の巨大な砲弾を受け止める盾。そして着弾からの爆発。
だが、見えていれば弾丸は防げるし、予想していれば爆発はカバーできる。
信じられるかよ?初速700m/sほどあるだろうか。音速をはるかに超える弾丸を見て避ける、或いは受け止めることができてしまうのだ。
雷を避けるアシュレイにはまだまだにも程があるが、俺もクソチートが極まってきたなあと妙な感心をする。
「お返ししないとな…アロー・ペネトレイション!」
魔力を思いきり込めた、全力に近い貫通矢を放つ。
魔力量に従い、太くなる矢の直径。早くなる矢の初速。矢の重量。
今の俺の全力はもはや矢ではない。
抱えきれない大きさの丸太だ。
みんな丸太は持ったか!
「くらえ!」
その破城槌のような丸太を放つ。
だが距離は遠い。
魔法で作った物質は距離が遠くなるほど威力が減算する。
届くかなと思ったが、無事狙いを違わず列車砲の砲口に丸太をぶち込んだ。
そして列車はその勢いを受け止めきれず、何両も脱線して後ろに倒れる。
「よっしゃ!いけた!」
「あー、そこに当てると一番見たい機構が…」
「あ、そっか。しまったな…」
「何もしまってませんよ!あれでちょうどよいのです!」
またシュゲイムに怒られた。