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対ベラトリクス戦線③

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航空機と飛竜の戦いは互角よりやや押されている、と言ったところか。

あちらに天馬の援軍が来ると考えるとこれからはかなり不利だ。


おかげで地上戦もあちらが活気づいている。

右側の陣地が一つ破られ、少し後退した。中央も怪しい。

左翼は…左翼はまだ大丈夫か。


正面からの敵軍の攻撃を気にしている間に上から打たれるのだ。確かに厳しかろう。

かといって上を気にしていると正面が…


「仕方ない。ゴンゾ殿、航空隊を」

「承った」


ゴンゾ殿が後方に何やら連絡する様子。

だが、司令室でピコピコと機会を触るだけだ。伝令を出すようには見えない。


「む?伝令を出さねば…飛行場は遠いのではないか?」

「これを使えばすぐに指示が出せますじゃ」

「ほう?」


私にはよくわからんが何やら合図を送っているようだ。

鏡を使った光通信もなるほどと思ったものだが、このゴンゾの動きは…ううむ、良く分からん。


「む、もう来たようですじゃ」

「なに?早くないか?」

「音が聞こえますじゃ。いつでも出られるように準備しておいたのでしょう」

「ほう…ああ、この音か」


ゴンゾから一拍、二拍おくれて私の耳にも遠方からバババババ…という音が聞こえて来た。

演習場で何度か聞いたことのある、航空機の音だ。

上空に飛んでいる敵の航空機の音とはまた違うのだ。

似たような作りにしか見えないが何となく音が違う。どうなっているのだろう?


あの空飛ぶ機体に銃を積んであり、操縦者ともう一人の助手が共同で敵を撃つ。

銃はグルグル回る連射式の銃で…私には良く分からん機構で銃弾の後ろを弾けば発射される。


一度、試験用に出来た銃弾を見せてもらった。

ふうん?と思いながら指で(つつ)いてみると急にバン!と音が鳴った。

衝撃にビックリして思わず手を握りしめたが、私の掌に傷が出来ただけで済んだ。

あの時は音に驚いたものだ。


カイトが慌てて回復魔法を使っていたが…まあ放っておけばすぐ直った程度の傷だ。

でもあれから銃弾は触らせてくれなくなった。酷い奴だ。


「しかし、あの銃弾で敵の装甲を破れるのか?」

「…試験では我らの航空機と同程度の装甲なら破れるようですが…」

「なんと、それは脆い装甲なのだな。アカなら幾ら撃っても効きそうにないぞ」

「いやまあ、それはですな…まあ、天馬や飛竜程度なら…」


ゴンゾ殿は何かモゴモゴと言っているが、私やアカなら銃弾が飛んできても少し痛い程度だ。

だがまあ…どうやら普通の兵にとってはそうでもないのか。

勇者にもそれなりにダメージは与えられるのだろうか?


「試しにグロードを的に撃ってもらえばよかったかな」

「儂もそう思いますがな。生き物を的にするのはカイト様に怒られますですじゃ」

「あいつは変に優しいからな。だがまあ、一発なら兎も角。連打できるとなればそこそこのダメージにはなるだろう。騎士や部隊長くらいなら倒せてしまうのではないか?」

「そうおもいますじゃ…さて、頭上の戦いを見ませぬか」

「そうだな」


司令部のテントから出て頭の上を見上げると、飛竜と天馬、敵の航空部隊とこちらの航空隊が入り乱れての戦いとなっていた。

航空機同士の戦いはやや我が方が不利か。

まともに飛ばしたこともないと言っていたしな…さすがにいきなり実践投入は厳しすぎるか。


遠距離火力では航空部隊が通常の天馬や飛竜より圧倒的に強いようだが、一発の攻撃力は低い。

銃弾が連射されるが、何発も当てないと飛竜も天馬も落とせない。

双方とも見た目の鱗や皮より硬いのだ。魔法障壁があるのだな。


騎乗する騎士の魔力を込めた攻撃はそれを貫く事が出来るが、物理的な攻撃手段しかない航空隊の銃弾は一発では障壁に弾かれている。

ただ、二発、三発と当たると…障壁をぶち破り、銃弾が騎竜に、あるいは騎士に食い込む。

耐えきれないダメージを受けた飛竜は沈む。あるいはゆっくりと地面に降りてくる。


天馬も同じだ。

人族の方が障壁魔法は得意だが、結果は大差なかった。

単発の射撃は防げるが、連打されるとやはりキツイ。戻れる者は自陣に戻り…無理な場合はそのまま落ちる。落ちた所は我が軍の陣地なので後は推して知るべしである。



此処までは一般的な飛竜隊、或いは天馬隊だ。

だが、エースの場合は違う。


「ライトニング・ボルトオオオ!」


航空機を投入して、なお劣勢に見えた上空の戦いは一人の乱入者によって掻き回された。

偵察行動に出ていたリリーが戻って来たのだ。

リリーの放つ雷光により今まさに銃撃しようとしていた敵航空機は撃ち落とされ、


「エアスラアアアッシュ!」


それを見て動揺した天馬も斬り落とされる。

銃弾はいくら命中しても彼女とマークスの残した騎竜の障壁を破ることは出来ず。

天馬は近寄る前に斬られる。

正に『無双』だ。


「ふうむ…やはり、まだまだ数は個に勝てぬな」

「左様ですな。これからという所でございます」

「そうだな…」


カイトに聞いたところでは…航空機はこれから何倍もの速さになり、速すぎて搭乗者の失神を防ぐ工夫が必要になってくるらしい。それから、武装もどんどん強化されていき、最終的にはミサイルと呼ばれる敵を追撃して爆発する大砲のようなものを搭載する。空中で対象を追いかけて爆発するのだ。


ううむ、恐ろしい。

並の飛竜ならひとたまりもあるまい。

だが、そこまでいってもアカに乗ったカイトを倒せるかと言われると難しいだろうな。

そんな話をゴンゾと上空を見ながら話した。

銃弾の後ろを弾けば発射されるの所ですが、『弾を弾けば弾が発射される』…ってさらっと書いて変換してそのままで。投稿時にこりゃ意味わからんなと思って修正。日本語って難しい。

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