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情報戦


リヒタールを奪還した翌日の夜、追撃を終えて帰って来た者たちを迎えて軍議が開かれた。

追撃は順調だった模様。何千と討ち取ったとかなんとか。

こういう時素直に喜ぶ演技はするけど、心境はいつまで経っても複雑だ。


とりあえず敵側はリヒタールの再奪還に動く。

いや、実際はもう軍を発しているという情報を得ている。

それを踏まえての軍議だ。



軍議をするうえで重要な懸念がある。

敵兵と我らの兵、人族と魔族の一般的な兵の強さは本来1:3ほどの違いがある。

人族一人に対し魔族3人で対等、或いは魔族が一人いれば人族を三人仕留められる。

…と言う計算が成り立っていたが、恐らくは弱体化した魔族と強化された人族で対等の強さになっている。となるとあちらの数が多い分普通に戦えば不利だ。…と会議で話すと。


「我らはもう弱体化されてはおりませぬ。我などむしろ以前より強くなったのではないかと」

「儂もだ。不思議な事も有るものよと思っている」

「私は…?私は良く解らんな?」


ここのところ急激に強くなったアシュレイはピンと来ていないみたいだが、魔界の武将達は神による弱体化を認識していない。一度弱体化した後、むしろ強くなったと。

なんのこっちゃ?


「失礼、我が義妹のリリーが言っている事ですが…」

「リリーが?魔眼で何か見えたと言う事か?」

「そうです。カイト様から我らに力が流れてきているようです。その、正に心から忠節を誓っている者だけのですが」

「ほう」「確かに」「ならば分かる」「あー?そう言えばカイト様が生き返られた時に…」


…ほう

つまりあれか、ギフトの影響か。


確か配下の強化にもなるのだったと思う。

自らを強化し、さらに配下を強化する。まさにチート能力だと思ったのだ。後半にならないと使えない能力だが…今の俺はいつの間にか魔界全土を支配し、ユグドラシル王国も支配下におさめているようだ。

つまり世界の半分を…支配しているようなものなのか。



世界の半分が支配下にあるならば、いよいよ俺のギフトも極まってきていると言って良い。

ゲームでいうと終盤も良い所。

むしろ通常プレイなら塔も攻略したし世界の半分を支配した。

本来ならばもうクリア判定が出ているんじゃないかってほどなのだ。


その割に模擬戦などをしても俺は勝ったり負けたり。

あまり体感するほど強くなっていないと思ったが、比較対象であるこいつ等も同じような補正を貰ってしまっているのだ。


成程、じゃあそれほど分からんわな。

そう言えばダンジョン90層台の敵でも随分余裕があると思ったものだったか…


「ふむ…では個々の力は対等ではなく、我らが上のまま、と言う事か」

「そうなりましょう」

「魔界有数の武将が揃っている事だし、これなら最上の結果も得られるやも知れんな」


そう言って見回すと皆嬉しそうだ。

皆の意気が上がっているのがわかる。

だが、此処で冷や水をぶっかけるようなことを言わなければならない。


「だが数はまだあちらが上だろう。兵器の方も怪しい。それに…ベラトリクス魔王はどうしたか知っているか?」

「いえ…ここしばらく見ておりませぬ」

「そうだろう。…マリア」

「ハッ。皆さま、これを」


マリアが出したのはベラトリクス魔王が人族と内通している証拠。

それと、今回の侵攻を報せ、挟撃しようとしている手紙だった。


「これはマリアの手の者が連絡役を処分して手に入れた物の一部に過ぎない。普通に考えて写しも作り、何重にも連絡しているはずだ。」

「何ですと!?」

「…奴らの連絡は既に終わっているだろう。俺たちが普通にここを防衛しようとすれば背後から挟撃されるか、それか大魔王城を乗っ取りでもするんじゃないか?と考えている」

「ベラトリクスめが…!」「おのれ…」


ざわつく会議場。

反応を見てもやはり此処に居る連中が裏切る心配はなさそうだ。

こういう時に内通者を入れられないとはあちらも辛い所だろうな。


「だが、裏切りが知れているというのなら悪くはない。こちらが先手を取ることも出来る。敵のやろうとした事の裏がとれる」

「それは…楽しくなりそうですな」


この場で内通の証拠となる文書を出したのはさっきの話で信用できると確信したからだ。

ココに居る者たちは全員以前より力が増していると。

ふと思い出して鑑定してみるとたしかにステータス欄に富国強兵の文字が見える。

つーかこれ、俺に忠誠を誓ってないと駄目なのか。

ドレーヌも、昔からんできてぶっ飛ばした武将たちも忠誠を誓ってるのか…と思うと嬉しいやらなにやら。

複雑な気分だ。

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