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外交チャンネル

アーク歴1510年 伍の月


大魔王城




ダンジョンから帰るといつの間にか2ヶ月ほど経っていた。

これまでの間、人間界からの侵攻は無かったようだ。

思ったより前回の特攻で与えたダメージは大きかったようで…まあ良かったという所か。



なんやかんやで帰りの時にお土産みたいな感じで塔のみんなのおすすめ装備を貰った。

俺は盾を、ガクさんは棍棒のような鈍器を。

(ガクさん棍棒もらってやがるwww最終決戦目前に棍棒装備www)と内心で思ったが、ガクさんの土属性で強化する効果があり、おまけにこの棒自身が攻撃だけでなく防御にも使えるらしい。

おまけにコレも対魔、対聖属性攻撃力が高くなる逸品らしい。


よーわからんが、くれるモノはもらう。

盾は鑑定してみるとアムルタート…?よくわからんが、不滅とかなんとか。強そうだから何でもいい。


これをくれたオッサンは人族だった。

その昔、恐ろしいドラゴンと戦った際にこの盾のおかげでブレスを防げたらしい。

『この盾は不滅だ!』とか言ってたが、盾でブレスを防いでもはみ出したところはきれいに炎上して、ドラゴンは討伐したが本人はその時の火傷がもとで亡くなったんだと。

盾が不滅でもお前が死んだら意味ないやんけ!って話である。

ありがたいのかありがたくないのか、良く分からない逸話だった。


ダンジョンからの帰りにみんなで大魔王城に寄り、お高い装備をわんさかゲットした。


大魔王様が好きに使えと言っていたし証文も貰ったので、証文を持って以前にぼったくり価格でお世話になったザイールの所に行ってこの紋所が目に入らぬかー!とばかりに宝物を強請った。

ちがった、貰ったのだ。


準備は整った。

武器防具、それに回復剤を揃え…乗り物(アカ)の方もバッチリである。

おまけに昨夜はお楽しみで…いやまあ、それはいい。


アシェルはどんどん大きくなってきている。

もう寝がえりをして、ハイハイをしているのだ。

ドンドン可愛くなってきてもう…


「出撃するのやめよう。ここでずーっと遊んでたい」

「またそういう事を言う…」


まあそういう冗談はおいとこ。

今は内政の時間だ。


「マークス、ヴェルケーロの方はどうなった?」

「……カイト様、マークス殿は…」

「…ああ、そうだったな」


大魔王城の執務室。

俺はそこでお仕事をしている。誰も代わりにやってくれなくて忙しいからついマークスの名を出してしまったが…そうだな、もういないのだ。

さっきまで一緒に居たような気がするが…気のせいではないだろうな。


返事をしたのはザイールだ。

かつて財務官僚をしていて俺に宝物この中身をぼったくりで売りつけたザイールは引き上げて財務大臣に任命した。

そして俺と同じ机でガリガリと書類仕事をしている。

ぼったくり価格の罰である。


一応今の魔王城の編成からいうと、俺が魔王でアシュレイが王妃、伯母上が内務大臣でガクさんが軍務大臣…という感じのポジションになっている。

その次のポジションとしてザイールが財務大臣になっているのだ。


で、王妃とその母である内務大臣は現在子守りに必死になっている。

仕事しろ仕事!


ちなみに外務大臣はいない。外交自体が殆ど無いからだ。

これじゃイカンなと思うのだがな。


今回の…この出兵の無さを見るに、やはり彼方も一枚岩ではない。

工作をして分断することも出来そうだし、何ならこちら側に引き込むなり同盟を組むなり出来そうだなとは思う。その為にも外務大臣が必要なのだが…外交なあ…


「マリア、ユグドラシルから一人引き抜けないかな」

「何故ユグドラシルなのですか?」

「人族と外交するなら中立がいいんじゃないかと思った。それかシュゲイムあたりだ。グロードは裏切者扱いされそうだしあいつは頭がスカスカだからアカン」

「誰の頭がスカスカだって!?」


中庭から声がする。

グロードは練兵に参加しているはずなのだが…何故?


「何でも無い!ただちょっと心の声が漏れただけだ」

「ならいい…ああん!?よくねえだろ!」

「気にすんな!今日の夕飯はカレーだぞ!」


外でカレーか…と言っている。もう誤魔化された。

ああいう所がアホなんだ。


「な?あいつはダメだろ?」

「…そうですね。確かに難しいです。ですが、シュゲイム殿でいいかとも思いますが…」

「あんまり俺に近い奴ばっかりじゃな…だからって魔族に外交をさせようと思うと人族との種族の関係で毛嫌いして話にならんって事もあるかもしれん。エルフはその辺中立という事になってるからな。まあ良い人材がいるか、居たとして貸してくれるかはまた別だろうけど…」





そんな話をしていたら、サクッと決まった。


「お久しぶりでございます、王よ」

「俺はお前たちの王になっては無いと思うが…?」


執務室には久々に見た顔が。

まあ半年ちょいくらい前、逃げ帰ってユグドラシルに行った時に見た顔だ。

ラム爺と呼ばれていた…ジジイの片腕のような存在であった男だ。


「外交官をお探しのご様子。何卒、私めに用命くださいますよう…」

「そうは言うが、敵対している国家にも行ってもらう事になる。命を落としかねんぞ」

「大変結構。そのような危険な仕事、私のような年寄りにこそ相応しい仕事にて」

「そうは言うが…お主のような重鎮が」

「重鎮と仰って下さるのなら益々結構。私のような者の命の使いどころは今と存じ上げます」

「うーぬ」


ダメだ。

口で敵いそうにない。


「わかった。だが、…マリア」

「はい、畏まりました」

「ラム爺、護衛を付ける。少しでも危険を感じればさっさと逃げるように。成果はゼロでも構わん。こういう意思があると知らしめるだけでも無いよりマシだ」

「ハッ…」

「すまんな…」

「何を仰いますやら。さあ、命を」

「うん。では…ラム爺よ、叶うなら教国以外の人族国家と盟を。出来ねば通商を。ま、それすら難しいようなら茶飲み話をして来るだけで良い。気楽に頼む。」

「教国は如何なさいますかな」

「トップは兎も角、他の貴族も一枚岩ではないだろう。国のトップ以外にはマリアの手の者や商人たちがすでに接触している。後で感触の良い者も悪い者もリストを渡すようにしよう。そこからは任せる」

「ハッ…それではラムゼイロン・ザム・ユグドラシル、これよりカイト様の命を果たしまする。」

「よろしく頼む」

「ハハッ…!」


こうして魔界に一人の外交官が生まれた。

この後ラム爺はエルフ独特の乗り物、浮遊樹に乗って様々な国を回り、『魔界はそんなに怖くなーい』という迷言を残すことになるのだ。


今頃外交…?

この話書いてたけど挟み忘れてたんですよね…後々どこか前の方にすこんと挟み直すかも

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