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出発準備

マークスが仲間になった。

アカの体の大きさを考えると、もう一人は楽々入る。でももう二人と言えばキツイ。

まるでどこかの世紀末なシェルターだ。

一人と言ってもロッソみたいなデカい奴もダメだ。ゴブリンの爺さんとかなら2人くらいは入るが戦力になるかというと…


「と言う訳で伯母上をスカウトに来ました」

「…残念だけど、私はいけないの」

「そうですか…」

「代わりにこちらの方が行ってくれると言っているわ」


そこに居たのは灰色の髪に浅黒い肌、スッキリ引き締まった体に…顔には仮面が。

顔には仮面がある。だが、服やら佇まいやらで誰か大体わかる。

おまけに俺には使ってないが鑑定技能もある。

まあでも鑑定なんかしなくても誰かはわかる。


「何やってんだクソジジイ」

「…何故分かった?」

「何故って…カッコイイ細マッチョダークエルフだし、こんな素敵なオーラを出すのはお爺様以外ありえないと思いました?」

「ん?フフン…そうだろう。余も罪なものだ」


うん、適当に言ったんだけどな。

コッチのジジイもアホの子だったか。

俺の周りにアホの子が多すぎる件について。





「いいんですか?帰れるとは限りませんよ」

「余はもう十分に生きた」

「国の事は」

「何の問題も無い。後継者も選んだ」


良かった。俺の事を後継者にするとかなんとか言ってたけど、そうじゃなかったんだ。

きっと伯母上とか、俺の知らない伯父さんや伯母さんがいるんだろ。

エルフは長寿だからな。知らないところで子供の10人や20人、居てもおかしくない。

何百年もいい大人をするわけだ。

そりゃいい関係にもなるしうっかり羽目を外すこともあるだろう。うんうん。


「高い確率で死ぬ。それでもいいのか?」


だが、念を押す。


偵察と可能なら暗殺もしたいとは思っている。

だが、嫌な予感は強くある。

アシュレイやロッソが死んだときと同じような。


だから大切な人は連れて行きたくない。

本音を言えばジジイもマークスも…だが、強くて頼りになる人材と言えば他に居ないのも事実。


「構わん。どうせこのまま放っておいても同じ事だ」

「当然、覚悟のうえですな。そんな危ない所に坊ちゃん一人行かせるわけにも参りませぬ」

「…分かりました。では参りましょう」


準備はある程度整っている。

マリアたちの仕入れた地図、そして教皇がいるという館の見取り図。


これは捕虜に書かせたものと比べても特に違和感はない。

グロードたちにも書かせれば良かったかもしれんが、あの時は別に捕らえた訳でもなかったからな…


ヴェルケーロで酷い目に遭った連中は割と洗脳が解けて言う事を聞くようになっていた。

その中でも特にひどい宗教狂いと思しき連中の洗脳はやっぱり解けていなかったようだが、アレは元々だったのだろうか。わからん。


兎に角、まともに会話できる連中や付いて来ていた酒保商人からは色んな情報を入手している。

地図をはじめ各国の情勢、物価、人工推移、食糧自給率から金貨の使用状況まで。

分かる範囲でいい、と言う前提で色々書かせた。

個別に分けて同じタイミングで。

事情聴取のようだが、まあ事情聴取だ。


そうして得た情報とマリア達から得た情報。

重ね合わせて出来た情報なので…早々間違いはないと思うのだが。


「まあ問題はどうやって見つからずに行くかです。幾ら我々でも軍に囲まれればそのうち疲弊して死にます。その間に本命は逃げるでしょう。」

「アカ殿は夜も飛べるのでしょう?夜間に上空から奇襲するしかないのでは?」

「寒そうだな…」

「防寒装備は必須ですね。それから…」


もう年の暮れも近い。

秋も深まり…というか普通に初冬である。一言でいうと寒い。


ヴェルケーロは既に雪が降っているだろう。

という事はヴェルケーロ方面からの侵攻は今年はもう無いと思う。

無いと思うけど俺が指揮官なら、幾ら死んでもいい兵でしかも無駄に士気が高いなら…雪中行軍はさせる。


だが、普通はやらない。

損耗率の割に得る者が少なすぎるから、そして防衛側に有利過ぎるからだ。


夏に侵攻して負けた所に冬行くか?

うーん。無いだろうと見せかけてやるってのも策の一つではあるが…


「俺たちが出ている間、防衛準備は怠らないように」

「当然の事ですな」

「それと、大軍が侵攻してきてるとかなったら引き返そう」

「それも当然の事だな」

「じゃあ、明日出発です。各自準備を」

「おう!」「ハッ」「おー!…おれのおやつは?」

「300円までな。バナナとミカンはおやつに含まないから」

「わーい!いっぱい持っていこ!ばなな!ばなな!」


そう言ってアカは俺のマジックバッグに果物を詰め込んだ。

コイツ、いつの間に出し入れできるようになったんだ…?


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