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激戦

激戦、激闘である。

これまでにこれほどの厳しい戦いは…前にも一回あったな。

だがもう無理だ。体が最大限の悲鳴を上げている。

もう少しで限界を突破してしまうだろう。



「もう無理…これお持ち帰りにしてよお(プルプル」

「カイト様、匙を付けた分は食べて頂かないと」

「ふええ…うっぷ(ブルブル」


『大人のお子様ランチ・超特盛』。食べ始めて既に半分は過ぎている。

いや、2/3を超えたと思うがどうか。


だが、ここら辺が俺の限界だったようだ。後はもう…ちびちびっと…キツイ…

前よりは進んだ。気がする。いや、同じくらいだったか?

あの大食い大会の時はどうだったっけ?

もし同じくらいなら、俺はあの時から全く成長していない奴という事に…ウップ


「カイト。お残しはダメだぞ」

「俺もう無理。吐きそう…アシュレイ食べて?」

「しょうがない奴め…どれどれ。うむ、やはり美味い!何度食べてもこのおむらいすとやらは絶品だな。はんば~ぐも素晴らしい!どちらかと言えば温かい方がうまいが、多少冷めても全く問題ない。ううむ。」

「儂もまだ食えるぞ。カイトどのはもったいない。どれどれ」

「あっ!私が食べようと思っていた唐揚げ!」

「早い者勝ちである」


どうしてこうなった。

俺がお腹いっぱいでウップウップしている時に、目の前では妻であるアシュレイとさっきまでド突き合いをしていたガクルックス魔王が俺の食べ残りのお子様ランチをバクバク食べている。

そしてそれを生暖かい目で見る叔母上。


向かいに座ってたベラさん?

ベラさんなら10分以上前に蒼い顔してトイレに行って帰ってきてないよ。

ガクさんはしょうがないなあって言いながらベラさんの食べ残したお子様ランチをぺろりと食べた後、俺の所に来ているのだ。



魔王が残飯食っていいのかと思って聞いてみたが、ガクルックス魔王の領地ではかなり食糧難が酷いのでそういうのは気にならないんだと。

だから食料とその辺にある石を交換してくれてる俺の所には感謝してるってコッソリ言ってた。

まあそれはいい。今のこの状況だが。

アシュレイは…まあ夫婦だからいいんだ。でもガクさんは…うーむ。


「所で先の戦いの件だが」

「あ、はい」


吐きそうで朦朧としている時に真面目な話はちょっと止めていただきたい。

そんなのをおくびにも出さずに俺はガクさんの話に耳を傾ける。

まあ割と全面に出てるだろうとは思うが。


「なかなか楽しい勝負だった。先のアークトゥルス魔王殿と戦っている時はまだまだと思っていたが、随分成長したな。攻撃魔法や武器を解禁すればもう儂はお主には敵わんだろうという事も分かった。儂はお主の下に付こう」

「おお!」

「ベラトリクスは…まあ奴の好きにするだろう」

「貴方が共に降ってくれるとなれば心強いです。これからもよろしくお願いしますね、ガクルックス殿」

「よろしく頼む。しかし、アークトゥルス殿は良い婿をお持ちになられたものだ。内政家の青白い奴かと思えば見た目とは違い魔族らしい獰猛な面もある。父上である先のリヒタール伯に似ておられるのだろうな。いや、先ほどの戦いを見せられれば殿と仰ぐに相応しいと皆が感じるというものよ」


そんなに獰猛だっただろうか?

なんだか楽しくなって大暴れをしていた気もする。


「ところで儂にも娘がいるのだがな、儂とは違い色白でなかなかの美形だが、どうだ?」


そう言った瞬間パクパクと食べていたアシュレイの口が止まった。

そしてこちらをギギギと視る。


「あ、大丈夫です。間に合ってます」

「そう言うな。魔王たるもの、人質を兼ねて嫁を有力貴族から複数取るのが普通だ。お主は…いや失礼。“殿”は大魔王であらせられる。複数の嫁を持つことなど常識よ。むしろ一人だけならアークトゥルスに肩入れしすぎと思われようぞ」

「はあ…」


チラッと叔母上を見る。

叔母上はアシュレイの様子をジロリと見た後、口を開く。


「アフェリスも一緒にいかが?それからガクルックス殿とベラトリクス殿、それにドレーヌ殿あたりもかしらね?ドレーヌ殿とは過去のイザコザなんてなかった、仲がいいって事をアピールするために必要よ。確か妹さんがいらっしゃったはず。それにマリアさんもでしょう?」


以前から予約済みだったマリアはともかく。

ドレーヌの妹ってドレーヌ本人が大昔に推してきてた奴じゃん。

可愛いって言ってたけどどう考えても身内贔屓だろう。

俺はありえんと思うがな…


とかなんとか考えてるとジト~ッとしたアシュレイの視線を感じた。

うーむ、碌な事にならなさそうだが…だが必要かと言われれば仕方ない。

…正直面倒だなと感じる自分がいる。絶対揉めるしなぁ



「わ、私はお前の嫁が何人になろうと構わんからな!」

「あ、ハイ。どうしたの?」

「別にどうもせん!しかし、戦いの時のカイトはカッコ良かったぞ」

「そう?ふへへ。」


夜、風呂に入って寝所に行く。

ここのところ忙しくて夫婦で一緒にゴロゴロするなんて時間はなかなかなかったからな。

さっきは偉いさんたちとの会議で肩も凝ったし戦いで疲れた。


―――さあ、お楽しみの時間だ。

いい加減叔母上の孫はまだか攻撃がしつこくなってきているのでそろそろ…と思うけどアシュレイは戦場に出ないといけないし、子供が出来たらいろいろ困るかもしれない。


…そんな思いが見透かされたのだろうか。

激しく襲い掛かるアシュレイにいつものように手も足も出せず。

為すがままになったのだ。野獣こわい。でもメッチャ良かった。サイコー。



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[一言] 夜の戦いでも身体能力差を覆すだけの技巧も知略も無いのか
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