楽しいピクニック
ピクニック会場に到着した。
ここでバスケットを広げてアフェリスとメイド長のマルチナはお留守番。
そしてアフェリスのための護衛もお留守番だ。
「じゃーアフェリス、ちょっとトイレに行ってくる」
「いってらっしゃーい」
トイレに行くと嘘をついて4人で抜け出す。
そんな嘘でだまされるかと思うが騙されてくれる。やはりアホの子だ。
俺とアシュレイと猟師グレン、執事マークスは狩りに出撃なのだ。
ふふ、こう言うとなんだかモンスターを狩ってレベルを上げに行くみたいだな。
ただまあ、狩人はともかくとして…執事、子供A・Bはどうだろう。
狩人 執事 こども こども
の4人パーティーだ。
どうみてもあんまり強そうなパーティーには見えないなあ。
ああ、犬は良い戦力かも。ある意味一番強そう。犬Lv75とかね。
「まずは罠を見回ります」
「おう」
くくり罠とトラバサミはいつも通りにしかけてある。
トラバサミの場所の近くには看板を立て、分かりやすく絵と文字でここに罠があるから近寄るなと書いてあるのだ。
「トラバサミにはかかっていませんね」
「残念。次いこ」
次はくくり罠。
狩りをしてレベルを上げるのもいいが、目的は肉だ。
それに魔物ならともかく、通常の動物ではレベルは上がらない。肉食った方がマシだ。
「居ます」
グレンの一言。
くくり罠の方にはどうやらかかっていたようだ。
くくり罠は簡単に言うと手錠のようなもので…罠を踏んだ瞬間にキュッとヒモが締まり、脚に絡まる。そのもう一方は丈夫な木などに固定されており、手を使わないと紐が取れなくなるという造りだ。
「小さいな」
「はい」
捕らえていたのは小さめの鹿。少しかわいそうだが勿論仕留める。
「俺がやるぞ」
「ああ」
アシュレイの得意な火属性をぶっ放すとまだ子供っぽい鹿なんて一瞬で消し炭になってしまうだろう。肉を獲りに来たのに本末転倒もいい所だ。
「ツリーアロー」
目から入った矢は脳を貫き、一撃で仕留めた。
「ナイス!」
「お見事です」
「よせ。それより血抜きだ。俺は美味い肉が喰いたいぞ」
「分かっておりますとも」
グレンが罠の紐を使って鹿を釣り上げ、トーマスが首を切断する。
俺たちは放血するところをぼけーっと見ている。ワンワンは尻尾をふりふりしている。愛い奴め。
放血をぼんやり見ていた。
頭の方は既にマークスが埋めている。さすが執事、手が早い(誉め言葉
待ち時間はすることがないのだ。
豚骨はまだもうちょっと無理だが、鹿骨ってどうなんだろ?いいダシ出るのかな?などと食い物について考えながらわんわんを撫で繰り回していた。
「グルルルル!」
暇つぶしに撫でまわしていたら突然グレンの飼い犬がうなり始めた。
嫌がったってわけじゃない、これは。
「何か来るのか?」
「グルル!」
来るんだろな。グレンは弓をつがえ、マークスは短剣を抜いた。
そういやマークスの武器持ってるとこ初めて見るけどカッコいいな。
なんと言うか堂に入ってる。
「モンスターかな?」
「じゃあ私の出番かな?」
アシュレイはやる気満々だ。
「俺が拘束するから撃てよ」
「まかせて」
ガサガサっと気を掻き分けて現れたのは熊だ。
でかい。3mくらいある熊だ。うーんでかい。こんなのゲームにいたっけ?
「キ…灰色の狩人殺し!!」
「ああこいつが…ってなんだそのカッコいい名前!」
「なあカイト、もう撃っていいか?」
「ッ!ああ、ちょっと待て!」
ビビる猟師の叫んだ名前は俺の聞き覚えのある名前だった。
でもなんかカッコいい響きだったもんで変に気を取られてしまった。
アシュレイは何もやってないから早く攻撃したくてしょうがないみたいだが…
「ツリーアロー・ダブル!おいアシュレイ!出来るだけ傷を小さくしろよ!アタマか心臓狙え!」
「おう!ファイアライフル!」
俺が直立する熊の手足を拘束するとアシュレイの指から放たれた炎の弾丸。
銃弾系の特徴は矢系よりも高い威力と命中精度を誇る。
熟練度を高めることで射程と威力のを高めることが出来るライフルや数で制圧するマシンガン、さらには高火力でおまけに追尾するミサイルへと進化する。
まあミサイルはその後に高MP消費もつくわけだが。
逆にアロー系魔法は長い射程と習熟すると数を増やすことが出来るところにある。
矢の雨や矢の嵐のような範囲制圧型魔法へと進化する。
こっちは燃費ヨシ!だ。
果たしてアシュレイの放ったファイアバレットはキラーグリズリーの頭部に命中。
頭を吹き飛ばしたかと思ったがそうでもない。でもダメージは大きそうでフラフラになった。
「もっとやれ!あ、毛皮を大事にな!」
「分かってる。バレット!バレット!」
5発目のファイアバレットを撃った時、でかい熊は動かなくなった。
でもアシュレイもMP切れでぶっ倒れた。
うん。ナイスファイト。
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