出撃
良くキク魔法の薬の効果が効いてるおかげで?気分はスッキリ爽快である。
汽車もそろそろ現在の終点、アークトゥルス城前まであとすこしというところである。
だが、アークトゥルスの一駅前、本来は通過するところで汽車を止めていいかと車掌が言っている。
マリアの報告によると昨日から人族の軍が攻めてきているという事だった。
ざわざわとする気配に窓の外を見ると、遠目に見えるのはアークトゥルス城の城壁。
大魔王城側は特に変わり無いが、城門の反対側は火の手が上がり…どう見てもアカン。
そんなところに汽車を突っ込ませるわけにもいかん。
勿論手前に止めさせてそこで降車することに。
停車と同時に物資と人員が降りるのを待たず、窓から飛び出す。さあ戦いの時間だ。
「アカ、元に戻れ」
「おー!」
「よし…行くぞアシュレイ!」
「応!」
「ピッ!」
巨大化したアカに乗り、戦場へと空を駆ける。
戦場にたどり着く前にどんな様子か見ようと思ったが、見るまでもない。音がすごいのだ。
リヒタール側から侵攻してきている敵軍は大砲をバンバン撃ち、銃も単発式じゃなく連発でパンパン喧しいことこの上ない。こりゃあアカンな…
なんちゃらの法則で兵力を分析すると同じ武器なら兵力が大きい方が勝つ、って事になってる。
まあ一部例外はある。有名どころでいえば桶狭間の戦いのような例外はあるが、アレだって最近の研究では信長軍はうまく相手を散らせて同数程度のところに突っ込んだってことになってる。
2000で4万を蹴散らしたわけではないのだ。
ただし、ただしがつく。
この法則には概ね素の実力が同じ人間同士の場合でしょ?って前提がある。
基本的に魔族と人族の個人の兵力差はおよそ3倍ある。
つまり魔族兵一人に対して人族兵が3人でほぼ対等に釣り合うようにできている。
つまり軍団規模だと魔族1000対人族3000でほぼ対等の戦いとなる。元のシステム的に。
でもそれは武器がだいたい同じ場合と言う前提である。
コッチが弓と槍で戦ってるのに連装式の銃をバンバンやられたら人間同士じゃどうにもならん。
インディアンとアメリカに来た白人との戦いだ。どうなるかは歴史が証明してしまっている。
せめて数で圧倒できるならやりようはあるが、数もあちらの方が多い。
頼みの綱の魔力だって弱体化されている。
いまは人族対魔族は1:3どころか1:2も厳しいだろう。
武器を計算に入れると1:1すら厳しいかもしれない。
そして相手の人数は数倍だ。
炎を上げる城内、混乱し逃げ回る兵に必死になって怪我人を治療している女性陣。
最早落城目前と言った状況か。
ここから逆転するとすれば…
チラリと後ろを見る。
そこには怒りに震える超絶クソチート野郎が。
「アカ…ブレス適当にぶっこめ」
「おー!がおおおおん!」
ドン!ドンッ!と打ち出されるブレスは背の上に居てもとんでもない熱を感じる。
一発目は城壁を超えようとしていた前線少し後方に大爆発を引き起こした。ナイスだ。
だが、敵の前線を超えて中央付近に命中するかと思われたブレスは魔法障壁によって防がれた。
「あー!おれのブレスふせいだぞ!」
「何か腹立つな…もっと撃て」
「がおおおん!ぎゃおおおん!!ぐおおおおん!!!」
「いいぞ!もっとやれ!」
「がはは!がおおおん!!」
ドン!ボカン!!バカン!!!
とパカパカと撃ち出されるブレス。
簡単にポイポイ撃っているように見えるが、以前のものとは桁違いの威力が秘められているのは見れば分かる。
撃ちながら進んでいるので敵陣上空に来ているが、足元からは『防げー!』『障壁!はやく!』『もう魔力がありません!』などと必死な声が上空まで聞こえてくる程だ。
だが、結果として5発ほど撃ったブレスは防がれてしまった。
悔しそうなアカ。もっと追撃を撃とうとしているが。
「…アカ、もういい。私がやる」
「おい!アシュレイ!?」
そう言うとアシュレイはアカから飛び降りた。おい、ココは上空百メートルくらいあるぞ!?
止める間もなく飛び降りたアシュレイは張ってある障壁に弾かれるその直前で槍を構え。
「レイジング・ゲイザー!!!」
超必殺技をぶっ放して障壁ごとぶち破った。
「いきなり超必か…落下ダメージも防げるしよく考えてる、のかな?」
なるほど。無敵時間が付いているから落下ダメージは防げるのか?
うーん???
というかゲージとかどうなってんだ。
アレは色々溜めてからじゃないと撃てないような仕様じゃなかったのか。
ウ〇トラマンだって初手スペシウム光線は撃たなかった。そういうのはやっちゃいけない決まりがあるんだと思うが…色んな疑問はあるが、破壊された城や泣き叫ぶ女子供を見て怒りゲージが溜まってたみたいだから多分セーフなんだろう。
城壁内部は俺たちの姿を見て士気が上がっているようだ。
城壁に取り付いていた兵も次々と落下しているし、アシュレイが飛び降りたところは見るまでもないほどの壊滅だ。この分ならどうにかなるんじゃないか。
んー、何か難しいです。加筆や書き直しをするかも…