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別離

「…それで、前線はどこまで押し込まれているのですか?」

「リヒタールは陥落。アークトゥルス領も陥落寸前だ。ガクルックス魔王領は出入り口を塞いであるから大して問題は無い。あそこは天然の要害だ。道をいくつか潰せば徒歩や騎馬ではどうにもならんからな…」

「…ヴェルケーロは?」

「オレが守ったぞ!カンシャしろ!」

「マジか。アカありがとう」

「畑と山がもえたけど気にすんな!がはは!」

「…まあしょうがないって事にする」


情報担当のザイールの言う所ではトンネルを封鎖していたがそこを突破。

出てきたところをアカがさんざんにブレスを打ちまくり、トンネルも崩落。一時撤退した。

だが、そこで完全に撤退したわけではなくまた攻めてきている。

そして外壁に取り付き、突破しようかというところでアカがまた大暴れ。


地雷を埋めてあるところにブレスをバカバカ撃ち込んで一瞬で何千という数を屠ったらしい。

そこでまた敵は撤退。

アカはそのタイミングで俺の復活を感知し、こちらに向かってきたらしい。


ザイールの手の者はそこから再度侵攻の気配があると。

それが昨日の話なので…今はどうだろう。

師匠もザイールも、また攻めてきているんじゃないかなという意見だ。


どうも敵の士気はおかしいほどに高いらしい。

十万に届こうかという軍勢だが、その中にはどう見ても兵ではなく一般人のように見えるものが沢山混じっていると。

武器も防具もバラバラで、しっかり武装している集団もあれば平服に草刈り鎌のような装備の者もいるという事で…よくわからんな。

そしてやたら士気の高いものが多く、味方の死体はホイホイ乗り越えてくるとのことだ。

さすがにトンネルの崩落や何千単位が一瞬で消し飛ぶとその士気も一時下がって引くようだが、何度でも諦めずに攻めてくると…諦めてくれよそこは。


防衛しているシュゲイムたちのプランとしては、いよいよになった場合は避難民を送り出した後は出来るだけ内壁で防ぐ。

そしてさらに最悪の場合は街に火をつけて敵ごと焼き払うらしい。


「おれの街が…」

「元気を出せ。人がいればどうにでもなる。それよりお前が生き返ったことをあちこちにアピールした方が良い」

「ふぁい…」

「シャキッとせんかシャキッと…ゴフ!ああくそ…」

「師匠…クソは…師匠!?」


奇麗なお嬢さんがウ〇コなどと言ってはいけませんと言おうとした。

だが、師匠の口元を抑えたハンカチから真っ赤な血が滴っているのを見るととても何も言えない。


「よく聞け。私はもう永くない。」

「そんな、師匠は」

「黙って聞け。…騙し騙しやって来たが、もう無理だ。私にはやはりこの種を背負う程の力はなかった。だからこれは譲る。お前たちは二人ともその権利がある。正統な権利が…ゴホッ」

「師匠!」「マリラエール!」


喀血はもはや吐血と言ったほうが良いか。

コップ1杯より多い程の血の量だ。

顔色も悪いし、息をするのも…苦しそうだ。


「分かりました。師匠、俺が継ぎます。これは俺の戦いです」

「よく言った。それでこそ我が弟子だ…。『カイト・リヒタールに種の所有権を移す』」


師匠がそういうと頭の中に声が響いた。


<マリラエール・ラ・ルアリから魔王の種の委譲要請があります。魔王の種を受け入れますか?>

「『はい』、だ」

<カイト・リヒタールはマリラエール・ラ・ルアリから魔王の種を移譲されました>

<カイト・リヒタールは覇王の種を一度開花済みです。魔王の種が開花しました>


「魔王の種が開花したようです?…良く解らんな」

「ああ…では後は任せた。魔界を頼む。弟子に押し付けるような不詳の師で…すまん…すまんな…」

「そんな最後の言葉みたいな…師匠?師匠!?」

「嘘でしょ…マリラエール!?ちょっと!起きなさいよ!」

「ああ、すまん…私はもう…たの、む…アシュレイ…たの…」

「師匠!」「マリラエール!」


蒼白な表情の師匠はそのまま返事をする事は無く。

微弱だった心臓の動きは夜を超えることなく止まってしまったのだ…

というわけで急な展開に思われるでしょうが師匠は退場です。

ちょこちょこ調子悪い描写を挟んではいましたが、カイトに気づかれないようにと振舞わせる必要があったので読者にも唐突な印象を与えることになるだろうなと思いつつ、こういう流れになりました。

体調が悪いのに侵攻に対応していて疲れも溜まり…

こっそり回復していたアフェリスも前線に行って…という流れです。


種の力のせいで死んだように感じるかもしれませんが実際はむしろ逆で、原作ゲームではマリラエールはゲーム開始前に死亡しています。大魔王が死期をハッキリと読み取り、先にマリラエールへと種の継承を行ったので今まで持った、という構想なのですが…まあ本文中でまたそのうちこの辺も書こうかなと思ったり書くタイミングないからここで書いちゃえと思ったり。

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[一言] ああ、亡くなる前に嫁にしてやれなかったか 甲斐性なしめ
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