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アシュレイ戦記①

アーク歴1508年 什の月


アークトゥルス魔王領

マークス・アルハレヴィラ



「か、かいとがいなくなった!どこ行った!マークス、カイトどこだ!?」

「これはアカ殿、どうなさいました?」

「かいとが!かいとがどっか行っちゃったぞ!?」

「落ち着いてください」


冬がいよいよ本番になってきた。

カイト様は忙しく諸国を回り、植物の生育を援けている。

そんなある日の事。

留守を守り、アークトゥルス城にて執務をしている私の元へ、カイト様の相棒で乗騎で…ペットでもあるアカ殿が急にこちらへ飛んで来た。

気配を感じて中庭に出るが…はて?カイト様の気配はない。どうしたのだ?


「アカ殿?カイト様はユグドラシル王国では?」

「いない!あっちでも大さわぎだぞ!アシュレイはどこ行った?」

「マークス殿、アシュレイ様も先ほどから妙な胸騒ぎがすると…」


マリア殿がアシュレイ様の様子を語ってくれる。

確かに先ほどから落ち着きがなかったような…

それと、私自身も何やら体が重いような…?


カイト様はあちこち忙しく飛び回っておられた。

冷害と蝗害の連鎖に人間界も魔界も食料が全く持たない。

輸入しようにもどこも余っていないので買うところがないのだ。


そのためカイト様は魔力を使い、知恵を使って食料を産み出そうとあちこちで奔走されていた。

先日はベラトリクス魔王領へ、予定では昨日今日明日とユグドラシル領に滞在し、ヴェルケーロから回って帰って来られる予定だったと思うが…


「アカ!カイトはどうした!」

「オレもわからない!消えた!」


アシュレイ様もアカ殿を見て飛び出してこられた。

今はお勉強の時間であったはずだが。


「あ、あの…姉上…アカさん…」

「あふぇりす!カイトは?」「どうしたアフェリス!」

「カイトさんは…その、あの。」

「「どうした!?」」

「カイトが死んだ、と<天の声>が先ほど告げていた。アシュレイ…にはもう聞こえんのか」


混乱している我々にマリラエール様が告げた。

各地を転々と移動しているカイト様の代わりにこちらに来ておられたのだ。


「<天のこえ>?なんだそれ?」

「マリラエール殿…<天の声>、とは?」

「<天の声>とは、突然頭に響く声の事だ。大魔王様が崩御為された時にも聞こえたと思うが。我々『種』の継承者には聞こえるようにできている。誰かの種が喪失しただとか、獲得しただとかな…アシュレイにはもう聞こえていないようだな」


私にも大魔王様のご崩御の際にはおかしな声が聞こえた。

後で聞くとロッソ殿にも、マリア殿たちにも聞こえていたようだ。

カイト様は『それだけか?』と仰られていた。

つまり、あの時何か他にも聞こえていたのだ。

恐らくは『種』の保持者にのみ…


「大まおー死んだとき?おれは聞いてないぞ」

「アカ殿にはそもそも聞こえなかったのか?ふうむ?よく解らんがカイトならそういう仕様だと言うだろうな?」

「成程。言いそうです」


カイト様の良く解らない言葉を借りれば、確かにそういう仕様だと言いそうだ。

うんうん、などと頷く私とマリラエール様。だが、アシュレイ様は落ち着いては居られないようだ。


「皆、何を落ち着いているのだ!カイトが、カイトが死んだのだぞ!」

「…そうだな。だが、私にはこれも天の配剤だと思う。このタイミングで良かったと、そう思えるのだ」

「どういう意味ですか!まさかカイトが死んだ方が良いとでも!?」

「それこそまさかだ。私が言いたいのはそういう事ではない。カイトは目立ち過ぎた。誰が下手人かは分からんが恐らく暗殺されたのだろう。だが、間に合ったのだ。」

「間に合った?」

「ああ…。奴はお前を生き返らせた。奴の言う『最強』を、な。…そして今度はお前がカイトを生き返らせるのだ、アシュレイ・アークトゥルスよ」


マリラエール様はアシュレイ様を指さし、そう言った。

成程、確かに今のアシュレイ様なら…80層くらい一気に攻略してしまえるだろう。

今回はマークス視点でしたが、次回からは基本アシュレイ視点になります。

サブタイは暫定。

世紀末アシュレイ伝説とかいろいろしょうもないのと悩みましたがとりあえず無難なものに…

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― 新着の感想 ―
[一言] 今度はアシュレイが塔登るのか カイトが裸パンツマンとして復活するのか まさか低層階のボスとして出ては来ないだろう
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