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紡績


アーク歴1508年 弐の月


アークトゥルス領



線路の敷設は順調だ。

2方向から設置し始め、既に大魔王領~ヴェルケーロ領の数百キロに及ぶ工程のおおよそ30%ほどは完了した。この世界、工事が早すぎないか?とおもうが重機並みのパワーを持つやつらとトラック並みの輸送力を持つマジックバッグが合わさるとこうなるらしい。


だが、工事はココでいったん中止。道を均す作業を先行して完了させることになった。

何故かというとあまりに急激な消費に、また鉄の生産が追い付かなくなったのだ。まあしょうがないな。

というか沿線を視察したがマジで何にもないところが多い。

これから色んな所に駅を作っていくことになり、そうすれば駅の周りは発展してくれると思うが…


沿線に町が発展すれば今度は事故が起きやすくなる。

踏切なんかも開発しないといけないがカンカンと鳴るアレの仕組みはどうなっているのだろう。

汽車が近くを通ればそれを検知するシステム…なのか?


うーん、ちょっと考えてみたけど今の技術じゃ当分無理そうだな。

作るとすれば有人で、近くに住み込みでこの時間は通るな!って看板を出すとか。

それか遮断機っぽい物を上げ下げする (人力で)くらいしか出来まい。

ヒトならそれでいいが、魔物や野生生物はどうなるんだろうか。


「…線路の周りに野生動物や魔物が来たらどうするんだ?」

「魔物避けの効果のある枕木を使っているではありませんか」

「そうだっけ?どうりで同じ木ばっかり育てさせられると思った…」


この木を増やしてね、って言われたから大量に増やした。

樹魔法ってウンコ魔法だと思ってたけど最近やばい神性能だと思う。紙にもいいだけに。


紙と言えばトイレットペーパー用の柔らかくてお尻にやさしい紙も作りたい。

でも、ウンコ拭いて捨てるだけの紙なんてとても生産できる状況ではない。

じゃあ今、出すものだした後どうしているかと言うと。

水魔法が上手い奴は奇麗にあらう。じゃない奴はその辺の葉っぱとかだ。


俺は水魔法が苦手だけど、自分で尻を洗う程度は使える。

女性陣にはその辺聞きづらい。師匠は水が得意だから何の問題もないと思う。

でもアシュレイは…聞いたら絶対ぶっ飛ばされる。

アイツこの何か月で一気に強くなってもう俺負けそうなんだけど。何なのアイツマジで…


ちなみに貴族の中には態々お尻洗い係を雇ったり奴隷にしたりしているのもいるらしい。

他人にケツ洗ってもらうとか最悪じゃん。と思ったけど、よく考えたらめっちゃ美人のお姉さんにお尻洗ってもらうと考えると…まあ無いな。どう考えても無いわ。



「若、こちらにおられたので」

「ん、ああ。ゴンゾと試作糸つむぎ機について話そうとおもってな。気が付いたら線路のことを考えていたが、そうか。折角だからこれをマークスにも見てもらおうか。」


俺が線路…とウンコについて思いを馳せていると、マークスが近寄って来た。

線路の状況について相談したいからそのうち来てね、って伝言していたがホイホイと飛竜に乗って飛んできたのだ。


糸つむぎ…紡績機は、今まで手動であったり水車の力を利用していた物を蒸気機関に置き換えるだけだ。

冬はついでに暖房になるとも言えるが、熱があんまり漏れるようだと効率が下がっているという事だから喜んではいられないな。

そしてそれが発展したら蒸気機関からの発電だ。ぶっちゃけて言うと火力発電所である。


「糸つむぎ…機?ですか?」

「ああ。ゴンゾ、動かせるか?」

「ちょっと時間かかるぞい」


電源をONOFFすればいい電動と違い、蒸気機関は待ち時間が長い。

火種を付けて燃料に燃え移り、それからお湯を沸かして蒸気が機械を動かすのだ。

火力の高いガスコンロでヤカンの湯を沸かすところを想像してほしい。


いくら最新のガスコンロでもそれなりに時間がかかる。業務用でもガスを付けた瞬間に鍋の水がフットーしちゃうよお、なんてことは起こりえない。薪や石炭に火をつけるのだ。推して知るべしである。


「この待ち時間がなあ…」

「先に説明すればどうです?」

「…そうだな。マークス、この蒸気機関が稼働するとここがこうなってこうであーで…」


雑な説明だが、マークスは以前に水力での紡績機を見せてある。

水力と蒸気による紡績で何が違うか。実際大した違いは無い。場所にこだわらなくてよくなるとか、洪水の時に水没してダメになる危険が少なくなるとか。そういう点は良い。欠点としては燃料と水の補給と、燃えやすい物と火を近くに置かなくてはいけない事くらいか。


後は大体同じだ。太く、雑に撚ってある繊維を細くしなやかで洗練された糸にしていくのだ。

そこのところは大差ない。変わるのは効率のみ。

スピンドルの数が少し増えて、操作が少し楽になって…の改良の繰り返しである。この辺の改良はキリがないだろう。


最終的には材料をコンテナ単位でポーンと放り込んでスイッチオンしたら後は勝手にボビンにクルクル巻かれた糸が何個も出来上がるという風になるのが理想だ。

現在の状況から考えると遥か遠き理想郷である。


まだまだ大人がかかりきりで世話をしないといけない機構だ。

ガンガン改良してほしい。

ゴンゾ…は忙しそうだから誰かほかの奴が、頼むぞ誰か…!

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