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命の洗濯



アーク歴1506年 陸の月


ヴェルケーロ領



アシュレイと一緒にアカに乗り、空の旅をする事数時間。

特に問題なくヴェルケーロについた。


すでにアカ発着場と化している屋敷の中庭にはマークスと屋敷で働くマリアの部下のメイドさんたちとがお出迎えしてくれている。

上空から見た野菜の感じから、2か月くらいは経ったようだ。

相変わらずダンジョン内部は時間の流れが無茶苦茶だ。

かなり急いで、俺の感覚ではトータル1週間くらいで攻略したと思ったのだが。


「お帰りなさいませご当主様、アシュレイ様」

「ただいま。」

「おお、マークスか。久しぶり…になるのか?」


当たり前だろ何年ぶりだと思ってんだ。

と思ったがアシュレイからすれば昨日ぶりくらいになるのか。うーむ。


「何だご当主様って。その言われ方したの久々だな」

「そうですかな?カイト様は見事に力も得、失った希望を取り戻されたのです。ならばもうお坊ちゃんではなく立派なご当主様でしょう。」

「そうか。まあそうなのかな…」

「私には良く解らん」

「ではこのマークスめが若のこれまでの武勇伝をた~っぷりお聞かせしましょう」

「やめろよ恥ずかしい…」


何だよ武勇伝て。

踊るのかよ。ちょっと古いな。

ジジイだからしょうがないか


「そうか。では頼む」

「畏まりましたアシュレイ様。おっと、奥様の方がよろしいですかな。ホッホッホ」

「う、いやまだそれは早い」


アイツ等はサッサと話しながら進んでいった。

主人を放置するマークスもアレだが、アシュレイも俺をさっさと放置していった。うーむ。


「まあいいや。疲れたから風呂入りにいってくる」

「ではこれを。行ってらっしゃいませ」


俺はマリアから着替えを受け取って銭湯の方へ向かった。


昼間のリヒタールの湯、1号店はガラガラだった。

かけ湯をして体を隅々まで洗う。

何日もダンジョンに籠りっぱなしだったからゴミやら垢やらいっぱいだ。

ダンジョン内だと倒したモンスターは消える。

だからそのモンスターの返り血は戦いが終わると一緒に消えてなくなる。


返り血やモンスターの唾液、斬った腕や落とした爪なんかは消えてなくなるが、自分の出した血や汗は勿論服と体に染みついたまま。ダンジョンから出て風呂に入る時にその汚れを実感する。


「ナンボでも取れまっせ。だなあ…」


独りボヤきながら汚れを落とす。

今回は特にひどいな。


親父に、ロッソにボコったりボコられたり結構あったからな。

でもなんだかいつもより楽しい戦いだった。

知り合いと文句を言いながらの戦い。

悪くなかった。



それにしても帰った時のマークスはやたらテンションが高かった。

正直ちょっと鬱陶しいくらいだ。

まあジジイが元気なかったら死んじゃわないか心配になるし、テンション高いくらい別にいいか。



10分くらいかけて念入りに全身ゴシゴシしたら茶色い汁も出なくなった。

んで風呂に入って体を大きく伸ばす。

サウナに入って水風呂はいってもっかいサウナに行って…風呂に…


「ぶえええ…気持ちいいなああ…」

「おれもフロはダイスキだぞ」


隣から声が聞こえた。

柴犬サイズの赤いドラゴンが湯舟にぷかぷか浮いている。

随分気持ちよさそうだな…


「ああ…?アカか。どしたんだ?」

「マークスがそろそろ帰って来いって」


そう言えば良い加減時間が経っている気がする。

まああいつ等にしてみれば2か月待ったんだし、そろそろ帰るか。


「…じゃあ帰るか。おい、お前も帰るぞ」

「おれ今きたとこだぞ。もうちょっと待って」

「しょうがない奴め」


じゃあ、という訳でもう少し風呂を堪能してから帰ることに。

アカをゴシゴシ洗ったりもう一回使ったり。


「ふい~」

「きもちよかったな!」

「久しぶりの風呂はサイコーやな」


気分爽快、スッキリしてシワシワになった指で着替えコーナーに戻ると、異臭騒ぎになりそうなほど臭い服があった。


「ウェッ!くっせ!何だこりゃ!」


何だ、じゃない。

俺の服だ。

やべえなこれ。


俺はこんな臭いの着てアシュレイに抱き着いたのか…

ってああ、それでカイトの匂いか。

同じニオイがしみこんでてもおかしくはない。

よっぽど臭かったんじゃろな。


帰る途中も引っ付いてた。臭かったろうに…

悪い事したな。


反省しながら屋敷に戻った。

服?服は勿論予備に着替えたよ。

臭くて着てられるものじゃない。


まあその臭い服を仕舞ったのはアシュレイのマジックバッグだが。



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