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別離②


「うぬ…ぬ…」

「あ、起きた?ヒール!ヒール!…どう?」

「おお、儂の可愛いカイトか。…ううむ、何やらおかしな夢を見たようだ。大きくなったカイトが儂の股間にめり込むのだ。アレは…?」

「臭そうだね」

「そうだな…儂も臭そうだと思う。下着を暫く変えた記憶が無い」

「マジかよ」


手を火魔法で熱消毒する。

熱いがまあヒールをかければいける。臭いよりはマシだ。


「だが、そこからの記憶が無い。儂の可愛いカイトは大きくなっても可愛いままで…ところでここは何処だ?屋敷ではないようだが」

「屋敷…屋敷は1回燃えて砲弾も喰らってたよ。あと俺の畑は潰されてた…畜生」

「燃えて…?ああ??あー…ここは久遠の塔か。そうか…」


判断が遅い!

まあ親父だししょうがない。

それにさっき記憶が飛ぶほどの攻撃を大事なところに直撃させてしまった俺の言うセリフではないかもしれん。


「思い出した?」

「ああ。やや卑怯ではあるが、気迫の籠ったいい打撃だった。顎に喰らっても昇天していただろう…強くなったな、カイト。」

「苦労したからね。あの後…」


あの後。

とんでもねえ田舎に飛ばされ、10万を超えていた領民は1000人まで減った所からスタートした。

でもリヒタール時代に苦労してモノにした技術は山地のヴェルケーロでも流用出来る物が多かった。

おかげで初年度からそう酷い苦労は無く。

まあまあ順調に開発は進んだ事。

何やかんやであちこちの戦場に飛ばされ、その各所で鍛えられた事。

いつの間にやらギフトの効果もあり、ドンドン強くなった事…


親父はうんうんと頷いている。

知っていたのかと言うと、また返事のしにくそうな顔をして何とも言えないと。


「ふーん?それでさあ、最近はなんちゃらの種がどうこうで強くなった感じがする」

「魔王の種か…あれは然程良いものではない。知っているか?」

「何となく師匠がそんな事を言ってたような…」

「師匠とは誰だ?」

「マリラエール師匠だよ。えーっと、大魔王様の直系になるんだっけ?って言ってた。それがさ…何やかんやで婚約者みたいになっちゃっててさあ」

「マリラエール様がカイトとか?…うーん、儂にはちょっとついていけない話だ。アシュレイ様はどうなった?マリラエール様とも?うむむ…???」


おやじ は こんらん している


まあしょうがない。

俺だってその辺の折り合いはついていない。つけられない。


アシュレイを生き返らせて、それからだと思っているけどもしかしたら嫁が2人、いやマリアも含めると3人か?うーむ。ロッソはアフェリスもどう?なんて言ってたな。姉妹丼かよ。しかも従姉弟の…冷静に考えるよ色々ぱねえ。

さすが異世界、ハーレムかよなんて思うが、俺あんまりそういう性癖は無いんだけど。

正直そんな何人も相手にするなんていろいろ大変そうだし喧嘩した時とかめちゃボコられそうなんだけど…ウーム。


「儂には良く解らん話だ。うむ、ところで種の話だが」

「あ、うん。俺もそっちの話の方が良い」


嫁がどうとか、政治がどうとか。

気が重い。

戦いの話の方が気楽だわ。そういう所は親父に似たのかも。


「魔界の有力者が持つ魔王の種と、人間界の有力者が持つ聖王の種、その二つをバランスよく集めることで覇王の種に変化するらしい」

「あ、俺のは今覇王らしい」

「そうなのか…まあ何せ、種を集めることで魔神だか何だかの封印が解かれてしまうらしい。それゆえ大魔王様は世界を征服してしまわずに途中で止めたのだと。」

「…ほう」


成程な。

ゲームでそんな設定あった気がする。クリア条件の一つになっていたはずで…いわゆる世界征服をするか、種を集めるか…ダンジョンを攻略するか、それがクリア条件だったかな??


ゲームや小説なんかでありがちな話だ。

俺らは盤上の駒であり、駒同士を戦わせて勝ったほうの神が蘇る…とかなんかそんな感じだろう。

大魔王様はそのギミックに気が付いて途中で種集めを放棄した。そして自らを使って封印を継続させる、つまりは人と魔族との争いを強制的にやめさせたのだ。


「成程成程…」

「まあ、儂らは既に亡き者。今を生きるお前たちが決めることだ。うむうむ。儂、今良い事言っただろ?」

「ああ…最後の一言が無ければ最高だった。」

「ガハハ。元気でやれ。悔いの無いようにな」

「ああ。親父も…元気で?」

「さらばだカイト。成長したお前を一目見れて良かったわい。ワハハ。ではまたそのうちな…」


さらさら、と。

笑いながら親父は砂になった。

そのうちってどういう意味だよ…


親父が消えた後に残っていたのは大量の砂と…それと馬鹿みたいにデカい盾だった。

どうしろってんだと思いながら持つと俺にちょうどいいサイズになった。

伸縮自在のようだ。こりゃいい。


こういうの見ると質量保存とかなんちゃらの法則とかどうなってるのか問い詰めたくなるが、まあ異世界だ。魔法で何とかなってんだ。こまけえこたあいいんだよの精神でいいだろ。


深く考えてはダメなのです。

でも異世界だから何でもいいんだよ!だとつまんないなあとも思うのです。

難しいところですが武器や防具が伸び縮みするのは今更なのでオーケーで。


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