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再挑戦

アーク歴1506年  肆の月


ヴェルケーロ領



モトーメの大岡裁きは新しい名物になった。

法を踏まえたうえで独自の解釈も加え、善悪がはっきりしている者は兎も角。

事故のような件についても双方がある程度納得するようにうまく収めた。

いつの間にやら彼の裁きを見学に来る人が増えたのだ。


まあにぎやかな裁判ってどうかと思うけどそう悪いものではない。

裁判所の建物が本格的に出来上がればこうして青空の下で立ち見なんて光景も見れなくなるしな。

悪くはない。


裁判所も稼働しはじめ、街の復興も順調だ。

町割りも終わり、傷の癒えた者たちもどんどんと復旧作業に戻っている。


春の作付けも終わった。

去年が寒く、冷害になったことから今年も米を少し減らして小麦、蕎麦稗粟のような穀類を増やす傾向にしてある。今度は寒くないけど台風連打しよーっと、なんて嫌がらせが来ませんようにと祈るしかない。


復興作業は順調、春のオシゴトも終わった。これからの開発計画も無事に出来た。

騎士団の調練も見たが、シュゲイムもウルグエアルも上手くやっているようだ。

団員の士気も高い。二度と去年のような事を起こすまいと訓練に力が入っている。


内政も軍事も順調なのだ。

…ふむ、やることがない。


これはつまりアレだ。

ダンジョンの季節だ。


「という訳でダンジョンに行ってくる。今回こそ…」

「頑張ってくださいませ」

「危なくなれば逃げるのだぞ」

「が…んばって…」

「おう。姉ちゃん連れて帰ってくるからな!」


俺は皆に見送られながら愛車(アカ)に乗り込み、ブルンブルン!ブオオオオン!と出発した。

まあアカは大魔王城でお留守番だけど。





という訳で久遠の塔にきたのだ。

ちょー久々である。


前回、60層までは順調にクリアした。

今回は80層を本気で狙っている。

本気と書いてマジだ。俺はやるぜ。



補給物資も今までになく豊富に整えた。

武器も、防具も、回復薬も。

勿論魔道具だってたくさん持った。


ソロで長時間移動するという事なので自転車も作った。

出来れば車かバイクにしたかった。車なら車内でエアコン付けて寝れる。

サイコーなのだが、内燃機関はまだまだ無理だ。


だが、自転車でも歩いたり走ったりするよりはるかに速くて楽だ。

タイヤはゴム製にしたかったが無かったので代替品だ。

ゴンゾに聞くと何やら魔物の皮やら腸やらを使って?作っただとか…うーむ。


メインのフレームやブレーキなんかは木製なので俺が直せる。というか直せるように木製にしたというか。それと予備のタイヤにチェーン。勿論、ホイールもシャフトも木製なので直せる。

治せないのはタイヤとチェーンくらいだ。


これで30層くらいまではさ~っと終わらせたい。

あの辺を必死にマラソンして余計に時間食うし疲れるしってのが一番馬鹿らしいんだよな。


思えば昔は30層で苦労していたのに、ずいぶん出世したものだ。

すいすい~っと自転車で進みながら思い出す。


1層からしばらく続く、ザ・迷宮って感じの作りは自転車で進むにはもってこいだ。

石畳の段差は結構あるから前世のアスファルトと比べると乗り心地は悪いが、歩いて移動するのと比べるとはるかに楽だ。


稀に見かけるモンスターも木矢ツリーアロー一発で倒せる。

片手運転…というかまあ俺は常に片手運転だが、運転しながら反対の手に付けた盾の先から矢を出す感じ。

シューティングゲームみたいでなかなか面白い。


すいすいすい~っと30層まではあっさり攻略。


「いてて…ヒール。お、おけおけ。」


問題はケツが痛いことくらいだ。

木製のサドルに布を2重にかぶせてあるが…まあやはりお尻は擦り切れて痛い。仕方ない。


朝からダンジョンに入って途中で昼飯食って、おやつを食べながら自転車をこいで。

サクサクと40層のボス部屋前まで来た。


一応30層の狒狒は自転車から降りて戦ったがあっさりと倒せた。

前回ソロで登った時もそんなに苦労しなかったが、今回はもっと酷い。

ツリーアローを8連で撃ったが、3発目くらいでもう倒してしまった。

…どうやら強くなりすぎてしまったようだな。


40層のボスは何だっけ?牛だっけ?

コイツの印象は特にない。牛肉がいっぱい採れそうってくらいだ。


「たのもーう!」

「モ‶モ‶ーウ!」

「とりあえず…ツリーアロー・オクタ!」


ドスドスドスドスド…あ、消えた。

うむ、一瞬である。どうやら本当に強くなりすぎたようだな。

これがアシュレイや親父が見ている景色だったんだろうか。


おかしな感慨を抱きつつ自転車に跨る。

次は…カブトムシだったっけ。アイツは昔のイメージがあるから苦手なんだよなあ。



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