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開戦

「来ましたね」

「遅かったですな」


ギロンヌ殿の飛竜隊の偵察では3日くらいと言っていた。

でも実際に来たのは6日目だ。

倍の時間がかかっている。


勿論俺たちもぼんやりしていた訳じゃない。

ギロンヌ殿たちは飛竜隊を率いてブレスや投石で嫌がらせして、天馬が出て来たらサッと引く。


俺はアカと夜襲だ。寝ないと動けないから寝てるところでドッカンドッカンやって寝させないって嫌がらせはいい感じで効くはず。

勿論地上部隊もちょいちょいっとチョッカイをかけはした。

でもリヒタール周辺はマジで平野で…陸戦部隊が隠れて忍び寄るみたいなのに向いてないんだよな。

まず飛竜で偵察したり嫌がらせしたりしたから天馬がチョコチョコ見張りに出て大部隊だとすぐ見つかる。ってことで奇襲は主に空から。後は城壁を使って戦う事になった。


「嫌がらせが効き過ぎたのではないか?こちらの兵も将も待ちくたびれておるぞ」

「相手が元気いっぱいよりいいじゃないですか。それに俺らの嫌がらせだけじゃなくって普通に大砲運ぶのが大変なんじゃないですかね?車輪が壊れたりしそうだし、馬車に乗せると馬がへばりそうだし」

「重いからな…だがマジックバッグくらいはあると思うが?」

「ああ、そりゃそうか。じゃあ他に理由があるんでしょうかね?」


大砲を運ぶ部隊は足が遅い。

輜重隊と同じく行軍中が一番のねらい目…ってのが鉄板だからついついそうだと思い込んでいたが、この世界には何でも入る便利なカバンがある。

つーかこんなんあったら兵站とか無茶苦茶になるな。

いかにも食料積んでそうな荷馬車を襲うとかそういうのが意味なくなるもん。


つーかこんな便利なカバンがあるのにまだ大砲を運んでる部隊が見えてってのはどういう理屈なんだろう。マジックバッグは貴重品だし重い物は入り辛い仕様になっていると聞いた。だからって食料運べるくらいなんだから大砲くらい運べると思うんだがな…こんなの攻城側の不利が消し飛んじゃうじゃないか。

…まあ、散々自分で使っておいて何を今更って説はある。


「理由は分からんが準備だ。皆、配置に着け」

「「「応!!!」」」


伯母ちゃんの声に反応し、其々が動き出す。

俺の配置は前回と同じ、大砲部隊を潰すための飛龍隊だ。


砲の方はオズワルドさんが受け持ちになった。

とは言え、城壁全体に散らばらせて設置してあるので管理するのは大変だろう。


「やあカイト殿、またお世話になります」

「ああ、ギロンヌ殿。こちらこそ宜しくお願いします」


飛竜隊の隊長は前回と同じくギロンヌ殿だった。

まあ、要領も分かっているし、連携は取りやすくて助かる。


「副長も来ている。後であいさつさせましょう。」

「はい…まあそのイベントは無しでもいいですけど」

「何か言ったかな?」

「いえ何も。それで、砲を撃ってくるまでは敵情視察程度に留めましょう。飛竜の戦力は温存すべきです。」

「うむ。そうでしょうな」

「恐らく敵も航空戦力はかなり増強してきているでしょう。それから対空戦闘の用意も何かしてきているかもしれません…弓や銃ですかね?」

「さらに上空に昇れば地上からの攻撃など当たらないのではありませんか?」

「そうなんですけど。あんまり上空だと地上の砲にダメージを与えるのが難しくなるでしょう?」

「そうですな…」


上空から地上の大砲を狙い撃つ。

風があると矢もブレスもそれるし、そもそもあまりに高いところからだと何を撃っても当てられるとは思えない。いっそ岩でも持ってって落とすとか…狙った所に当たる確率は極めて低そうだが、別に無くなるのはその辺の岩だ。試してもいいかもしれん。


でも敵陣のどこかに石を落とすなら大砲ぶち込んだ方が早いじゃん。

石補給するために往復しなくて良いし…と思ったけどココでもマジックバッグがあるのか。


「マジックバッグを借りて上空から岩をポイポイ落とすとか」

「悪くはないですが天馬部隊が邪魔ですな」


そうだな。岩を撒く事自体は悪くないんだけどな。何なら拳より小さいくらいの石でもいい。上空から数ばら撒いたらいい感じの嫌がらせになるだろう。


「でもバッグなしだと石いっぱい持つと機動性が下がるか」

「飛竜のパワーなら20kgくらいまでなら問題ないでしょうが…やはり疲れさせるでしょうな」


上空千mとかから、適当に石をばら撒いたら地上では大変な威力になる。

まあ飛竜がそこまで上昇できるかは知らんけど。


「…うーん、考えてみると。凄く高いところから石をばら撒くのは悪くないと思います。でもピンポイントで狙うのは無理だし、敵に同じことをされたら大変なことになりますね。やっぱり制空権を得て、それからでしょうかね」

「そうですなあ。まずは天馬部隊を排除してから、という事になるかもしれませんな」

「上からと下からと、両方気を付けておまけに大砲狙ってってなると厳しいですからね」


やはり制空権を得るための戦いが基本になる。

つーか逆に言えば上を抑えたらいつでも岩でも石でもポイポイできる状態になるのだ。そう考えたら欲張って対地攻撃考えるより空対空でどう勝つかを考えるべきか。

うん、奇麗に振出しに戻った。


やっぱ上を抑えられるとどうしようもないからな…地対空戦闘も考えて、高射砲やロケットランチャーみたいなのでも開発しないとなあ。

つーか、こりゃ先回りして去年のうちに考えておくべき事だったな…





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― 新着の感想 ―
[一言] カイトが引っこ抜いた木で爆撃出来れば当たれば大ダメージ、当たらなくても馬の移動を妨害出来て良いのだけど
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