表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/391

巨人

久遠の塔 71層


前回の続きである71層に侵入した。


マグマの海の後は氷の大地という地獄のような60層台。

だが、ここからは地形に特に問題は無い。

平原と森という、いわゆる普通の地上と大差ない地形で…そして普通に強いモンスターが出現するようになった。主に巨人族のようなモンスターが…うーん。


村人に似たような巨人族がいるんだけど、どこら辺からがモンスターでどこら辺からが魔族の『人』なのか俺にはよく見分けがつかん。


たぶん本人たちに言うとすごく失礼だと思われるんだろうな。

だが俺には基準がよくわからんのよ。

でもまあ、それ言っちゃうと人族と魔族の境目も微妙だ。

エルフは人族寄りなんじゃねえのかと思うけど、俺の血統なんかを考えると完全に魔族だ。うーむ。


「こらカイト!ボーっとするな!」

「おう、済まん。こいつ等と町の住民ってどう違うのかなって」

「モンスターははなしがつうじないぞ」

「そうだよな。そこくらいしか無いよな」


やっぱりダンジョンに出現する巨人は巨人族じゃなかった?

見た目はそんなに変わらんのだけどな…運営もっと頑張れよと言いたい。


「おい!行ってるぞ!」

「おー」


生返事をしながら殴りかかってきた3m程度の巨人の腕をかわし、そこに右手から出した木矢を突き立てて固定。同時に足からも木矢を出して下半身も固定。抵抗できなくなった巨人型モンスターの目に短剣を突き入れ、


「フレアボム」


剣の先から生ずる小さな爆発。


「かいとすげー!かっこいいな!」

「ふふん、もっと褒めていいぞ」


アカは慣れてないから難しいらしいが、俺は巨人の相手は慣れている。

なんせ生まれた時から巨人にばっかり囲まれていたわけで。

自分の倍の身長だから一体何だってのって感じだ。


俺の組手の相手をしていた親父もロッソも俺よりまだまだ強い。

この巨人型モンスターは一番下っ端のリヒタール兵よりは強いかなってくらいの強さだ。

そう考えるととんでもない環境だったんだな…


「まあこれくらいなららくしょーっすよ」

「たのもしいな!」

「よせやい、照れるじゃないか」


いつもおんぶに抱っこってわけにもいかん。

この階層からは俺が引っ張ってやんよ!


ってなわけで順調に進んだ。

75階層のフィールドに入ると今までのボス部屋とは違い、荒野のようなところだった。

凸凹があちこちにあり、洞窟の様な洞穴もある。


そこに遠くに見えるボスはこれぞ巨人というサイズだった。

親父は2.5mくらい、ベロザやロッソは3mくらいある。が、このボスはそんなもんじゃない。

ウルトラマンかガンダムかってくらい大きいのだ。


まあガンダムは18mくらいだっけ?でウルトラマンは40mくらいあったと思うから2倍以上の差はあるが。そのデカいボスにまあ試しにと軽い気持ちで矢を射かけてみたのが俺の間違いだったのだろう。




「うえええええ!でかすぎだろおおお!」

「カイトがんばれ!おれはノンビリおうえんするぞ」

「無茶言うな!手伝えよおおお!」


無茶な事を言う。

大きいから動きが遅いかとは思うが、相対的に見て遅いだけで巨人が普通に歩いているだけで俺の全力疾走より早い。

何故それを知っているかというとちょっとちょっかいかけて追いかけ回されているからだ。

何とか急ブレーキからのドリフトで凌いでいる。インベタのさらにインを突く走行で段差のある下り坂を走っているがどうにもならんかも。


「ふおおおお!アカン!ツリーアロー・ストーム!テンペスト!トルネード!タイフーン!?」


もう自分でも訳が分からん。

とりあえずどれか当たればええわの精神で逃げながら矢をブチ撒ける。


あんなでかいのに踏まれたら確実にミンチである。

巨人って言っても程があるだろうが!


ドスン!ゴスン!ドゴン…と鳴り響いていた足音が止まった。


「お、止まった!?」


走りながら振り向くと全身から木を生やした巨人が。

ようやく俺の樹魔法が効果を発揮したらしい。

辺りには乱発した樹魔法のおかげで樹木が生い茂り、まるでジャングルのようである。


何やら清浄な空気がして少し力が沸いてくるような…まあ乱発したおかげでMP消費が酷いから±ゼロどころかクソマイナスであるが。


「こらカイトー!ばらまきすぎだぞ!」

「ごめん!危なかったんだもん」


パタパタとジャングルの上から飛んでくるアカ。

巨人に絡みついた木はまるでツタのように体中を何重にも這い回り、締め上げている。

顔面にも目、鼻、口にもツタでびっしり覆われて身動きもロクに出来なさそうだ。

このまま放っておいても窒息で倒せそうな気もするが。


「とりあえず攻撃しよう」


後に忍び寄り、カカトの辺りに行く。

ここにも樹がいっぱいで邪魔だなと思うとスイッと避ける樹たち。


「お、あざーっす」


アキレス腱を狙い、斬りつける。

ぶっとくて中々切れない。爪切り短剣じゃなくて斧かなんかが欲しいと思いながら何度も切る、刺す。えぐる。


何度かチャレンジすると無事アキレス腱を切断。

反対側の左足のアキレス腱も同様に切断し、足の拘束を解いて倒れた所で目から短剣を突き入れてボンッ。

結局これが一番楽なんだよなあと酷い感想を抱く。


「終わったぞ」


ドロップは大きな大きな…


「なんだこれ?ヨロイ?」

「これは籠手だな。まあ俺の胴周りよりデカいけど…。どうやって使うんだろ?」


ロッソにあげてもいいけどあいつでも胴鎧に使えるかってサイズだろう。

ベロザだと胴周りは逆に足りないけど、だからって籠手にはどう見ても無理だ。


「収納して持って帰ろ。はあ疲れた。」

「おれもつかれた」

「お前見てただけじゃんか!」

「おうえんしてたぞ!ダメなカイトをおうえんするのつかれたぞ!」

「はあ、左様で…」


とりあえずMP切れもいい所だし、帰って寝よう。

はあ、疲れた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >ダメなカイトをおうえんするのつかれたぞ! 中身は別物にすり替わってるから内政面はともかく外側に依存する方はねぇ 素質のレベルで向いてない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ