動物実験?
リリーってやつが俺らのダンジョンを荒らしてるんだってよ!?って情報をゴンゾから入手。
リリーとは誰かとゴンゾに問い詰めるとあっさりゲロった。
以前にエルトリッヒから亡命してきた王女だ。
シュゲイムの奥さんが第一王女で、リリーは第二王女。魔眼持ちの子らしい。
ああ、そういやそんなの居たわ。
エルトリッヒ公国から亡命してきた王女の妹の方だ。まだ中学生くらいかと思ってたけどアレから何年も経ってるなそう言えば。
というか、ゴンゾは別に問い詰めなくても言うつもりだったようだし、当然俺も知ってると思っていたらしい。
領内で優秀な冒険者がいれば、領主なれば目を付けない方がおかしいからな。
うんうん。そうだそうだ。
…最近領主の仕事をほぼ全部マークスに丸投げしてるからな(遠い目
「リリーはよく来るのか?」
「ほぼ毎日ですな。ヴェルケーロダンジョンは領民なら出入り自由ですし、裏ボスである水龍の存在が領主様より布告された後、数日してからほぼ毎日水龍素材を持ってきています。売り上げたお金で亡命してきた人を養うのだとか…」
「…それは立派な事だ」
立派な事だとは思うが俺は少し違うとも思う。
働けない者、病や怪我を得た者を養う事は大切だと思うが、金はうまく使わないとすぐ怠け者を生み出す。そこで金をどう使っているのか。使えているのか。
「リリーが来たら俺の所に来るように言っていたと伝言しておいてほしい。ああ、それと本命の用事だが。片手で扱える剣を頼む。水龍の魔力が宿った、火属性の相手をバッサバッサ切れそうな剣でお願い」
「畏まりました」
「じゃあよろしくね」
軽くゴンゾに手を振って外に出る。
よし、このまま水龍素材を狩りに…
「お帰りなさいませ、若。此度の出張は随分と長かったですな」
「やあマークス。ご苦労!俺はこれからもう一回出撃に…」
「若!お仕事が!溜まっておられますぞ!」
「…ハイ」
俺の楽しいダンジョンの時間は終わりだ。
これからは内政のターン。
まあ内政頑張っても強化に、アシュレイの復活に繋がるってわかってるからいいんだけどさ。
「ヴェルケーロ鉱山ですが、露天掘りはもう限界になって坑道掘りに移行しております。その第一坑道の産出量はやや減少傾向にありますな。坑道を新たに掘りなおす、もしくはさらに深部まで掘るか…」
「専門家に聞いてよ。俺が分かるわけないじゃん」
「その専門家が分からないと言っているのでカイト様に決めて欲しいと。」
「危なくない方で。駄目っぽかったら露天掘りで山の土全部抜くでやっちまえ!次!」
「ではこちらの案件を。農業用水についてですが、鉱山からの下流にある溜め池の水を使いたいとの申請がきております」
「そっちは却下だ。どうしても必要なら少し遠回りになってでも別に溜め池を掘る。」
「ハッ」
坑道をどっちに掘ればいいかなんて俺に分かるわけがない。
でも鉱山から流れる水はダメだ。
3段階に溜め池を作り、濾過しているが、一つ目の池は緑やピンクの明らかに変な水だ。
二つ目と三つ目は見た目は問題ないが、中身がどうなっているかは知れたものじゃない。
使わんに越したことはない。
こういう時どう判断すればいいんだったかな?
えーっと…
「エビを放せばいいんだったかな??」
「エビ?ですかな?」
「水生生物が生息できるかどうかで水の状態の把握はある程度できる。魚も住めない水を飲む気は起きないだろう?」
「はい。左様ですな」
「中でも、甲殻類は繊細だ。甲殻類が生活できる程度ならある程度浄化された水だと判断できる。勿論そのまま生水を飲むと腹が痛くなるとは思うが…」
アクアリウムをやっている友人が魚よりエビの方がデリケートでうんたらかんたらと言っていた。
3つ目の溜め池に川から採ったエビ何かを放流してみて無事に生き残って増えるようならたぶんイケる。駄目ならやっぱり封印だ。
あ、いや。大丈夫だとしても田んぼや畑に使う程度に何とかという所でやっぱり飲み水にはどうか。
でも直接飲まなくても米や野菜から吸収されたら同じ事か?うーむ。
「参ったな。動物実験でもするか?」
「動物実験ですか。子豚に水を飲ませるのですか?」
「…そうなるな。気の長い話だが、エビ飼ってみて問題なければその水を使って育てた豚グループと他の水を使って育てた豚グループを作る。そこで差が無ければそれでいい。あー、でも3ヶ月や半年じゃ微妙だな。かなり長期に見ないと…それに実験に使った豚は食わない方が良いかも…やっぱりすぐにどうこうできる問題ではないな」
種族によるが、長命種なら200年以上生きる種族はたくさんある。
弱い毒性でも何年も何十年も積もり積もればどうなるやら。
碌な事にはならんだろう。
やはり君子危うきに近寄らずだな。
「うん、実験はしてもいいが、当分飲用は禁止だ。野菜に使うのも他のルートから水路を掘るからそちらを使うように。鉱山の水を飲むと体が緑やピンクになると噂でも流そう。マリア、頼んだ」
「はい。」
気配も何もなかったが、言ってみたら返事が返って来た。
やはり忍びの者。
カッコイイ。
と言う訳で実験をやるほどの余裕はないのだ。
君子危うきに近寄らずで危なそうな水は飲まない方向で。
話が変わりますが私もアクアリウムをやってます。
海水にも手を出したけど今は水草ボーボーの沼みたいな淡水だけ。
エビも元気いっぱいだったけど蚊の薬のおかげで沢山お亡くなりに…