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農場を作ろう!

「ちくしょう…手伝ってくれてもいいだろうが…」


農場を作ろう!と言ったが誰も手伝ってくれなかった。

マークスに向かってゴネてみると「お金がないからです。せめてある程度の実績を示さないと難しいでしょう。」だって。

アシュレイは「先日叔父上に怒られたからなあ…」だってさ。




仕方ないから屋敷の裏手にある森を勝手に切り開くことにする。


樹属性魔法はウンコ魔法だと思ってたが案外使える。

森を拓く際に、邪魔だなと思った木は樹属性魔法で根からホイホイ抜けるのだ。

そして重くて動かせないはずの木が宙に浮いてかるーく運べる。


さらに、ちょっと頑張れば製材として使えるほどに成形も可能だ。

うむ。これは便利。



いい感じだと悟った俺はホイホイと木をぶち抜いて庭に並べる。

並べた後は木材として大工に売り、木材に使えないような細いのは薪にした。

うんうん、素晴らしいな。


そして木材の売却益10万(ゼニー)とマークスに前借りしたお小遣いから『スコップ』と『鍬』を獲得した。


勿論鉄製だ。

木の鍬なんて怖くて使えねえよ。

こりゃいい木だと思ったら地雷だしさぁ。



この世界では、というか中世では鉄製の農具は高い。

鉄は基本武具になるからだし、そもそも鉄の産出量が少ない。


現代じゃ山全部鉄鉱石みたいなところからホイホイ採掘されているが、日本刀の原料の玉鋼なんて砂鉄から作ってたくらいだ。

鉄を採るために川に砂鉄を拾いに行くという某アイドルグループもびっくりな事をやっていたのだ。


でもまあ俺はそんなことしない。お小遣いにモノを言わせ、鍛冶師に作らせたのだ。

柄の部分はもちろん自作だが。



さて、裏山をはげ山にするほど木を伐りまくり、売った値段は10万ゼニー。

(ゼニー)はほぼイコールで1円だという感覚なのであれだけ切って10万円である。

1z1円換算というのはだいたい野菜の値段から見ればそんなものかなと思う。


だが、細かいところでの物価は日本とこっちじゃだいぶ違う。


鉄材、それに衣服や本が高く、木材や木材加工品、あとはザルやゴザのようなものは安い。

食べ物は比較的安い。ただしモノによる。

例えば魔物肉は安いが、卵は高い。

小麦は日本より高いと思うが、葉物野菜なんかは同じくらいか。根菜類も大差ない。


甘味はものすごく高くて、塩も高い。

それに胡椒のようなスパイス類は砂糖よりもさらにめちゃくちゃ高い。

おかげでそこらで売っている肉はほとんどスパイスなしの塩焼きしかない。


それどころか本当に困ったら素焼きだ。

塩が振ってあればまだまし。

素焼きの魔物肉は味があんまりないし臭い。

だがリヒタール領での庶民の主食は素焼きの魔物肉だ。俺が文句を言うわけにはいかない。



木材は安いが、製材まで終わらせたのを何本売ったのかわからないくらい出荷したのに10万zにしかならない。そして1年分のお小遣い5万zを前借りしてやっとスコップと鍬が買えた。


ちなみにスコップはATK+30 鍬はATK+25である。

木刀よりはだいぶだいぶ強い。分かってたけどね。今度からダンジョンにスコップ持っていくか。

でも疲れそうだな。こんなの振り回してたらヘロヘロになるわ。



それにしても金がない。

武器や防具どころか種を買う金すらない。

肥料も買えない。


それにしても、スコップや鍬がこんなに高いとは。

近所のコ〇リだと2000円くらいで買えちゃうのに。

鍬なんて高くても1万もしないだろうと勝手に思い込んでいただけに厳しい。

スコップなんて持ち手まで総鉄製のヤツにしようと思ってたのに、そうすると値段は鉄の量に比例して高くなるからもっと買えない。くそう!








開拓し始めてから今更のように気づいたが裏山と勝手に呼んでいるこの森は勾配が少ない。

だから正しくは裏森だ。まあそれはいいか。


日本で住んでいた時は森と山との区別がつかないような土地しか残っていなかったが、それは単に平野を開拓しつくした後だったからなのだと今さらに気づく。

少し高い木に上って森の奥を見てみると、どこまでも続く樹の海があるのだ。

これ全部開拓して畑にしたらどうなるんだ?オラワクワクしてくっぞ!


まあワクワクするが、開拓しても維持するのは大変だ。

何せ畑1枚分作るだけでもう限界なのだ。


木を除去できるというだけでかなりのアドバンテージなのは分かる。何せ根っこごと引き抜けるのだ。魔力の消費が多いのか、一日3本も木を引っこ抜くとヘロヘロになってあとは手作業でコチョコチョいじるしかできないが…今更だが俺は年が明けてもまだ9歳児だ。


調子に乗ってスコップと鍬を買ったが、全体重を乗せてもスコップは3cmくらいしか刺さらないし、鍬は荒地の表面を掻き混ぜるだけだ。こりゃあ大人を連れてこなきゃダメなんじゃないか…?


だが俺の知り合いで暇そうで力の有り余ってる大人はいない。

うーん、こうなったら奴隷を連れてこよう。


奴隷を使って農場の作業をさせる。

まさに中世的な感覚だ。



だってしょうがないじゃない、中世なんだもの。かいと



下らんことを言ってないでとりあえず開拓だ。

奴隷に何かをさせる。

それは大変結構な世界なのだが、肝心の奴隷を買う金がないのだ。


しょうがないから暇そうな奴ことアシュレイ(お姫様)を奴隷のように使う。


大丈夫だ。

こいつは力が強い。

おまけに真面目で勤勉だ。


俺なんかよりよっぽど単純作業に向いてる。

ねえ君、魔王なんかやめて農家にならない?



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― 新着の感想 ―
[良い点] 最近読み始めました。 作品の投稿有り難うございます。 [気になる点] 申し訳ありません。細かい部分が気になってしまいました。 主人公の年齢間違ってませんか? 始まりが6歳でそこから数年過ぎ…
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